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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

昔は1、2万円が普通の「ロフトプラスワン」トーク、今は配信でカネの雨が降る…(KAMINOGE)

KAMINOGE134号読んでいた。

ジョシュ・バーネット鈴木みのる対談などが目当てで、そっちの話もいずれ書くけど、その前に注目して、懐かしさ込めて論じたくなったこと。
プチ鹿島斎藤文彦(&司会:堀江ガンツ)の「プロレス社会学のススメ」の、枝葉の部分だが…武藤敬司の引退ロードで、abemaTVなどのプラットフォームを通じて、PPV配信戦略(それも世界規模)が論じられた。その中で、余談的に語られた、当人(プチ鹿島氏)らのリアル体験談。

トークライブ配信収入は、今やTVやラジオの出演料より上(プチ鹿島KAMINOGE

画像読めますよね?

「今まではトークイベントをロフトプラスワンのキャパ150人のところでやっていたのが、ここ1-2年で有料生配信を始めたら配信チケットが2000枚売れたりする」
「出てせいぜい1、2万で、3万もらったら『えっ、こんなにもらっていいんですか!?』だったのが、今は桁が違う。金額だけだったら、テレビやラジオの出演料を超えていますから。」


うーーーーむ、実に感慨深い。

というのは、そういうイベント…ロフトプラスワンなどに結構通ったこともある自分が、当時は突飛な空想として「インターネット経由で有料PPVができたら、ロフトプラスワントークとかもそういうイベントになり得るのだろうか?」と考えたのが、ゼロ年代の前半。
ごく試験的な試みとか、野心的かつハッタリ感のある起業家らの将来像トークなどをヒントに、こつこつそんな考えを構築していったのだ。

なんでも、いまのアメリカでも、ネット回線を経由してのPPVが盛んになったので、昔ながらのケーブルや衛星TVを通してのPPVは今では「トラディショナルPPV」と呼ばれるようにもなったんだっって。PRIDEやDREAMがゼロ年代UFCに圧倒された時「日本とアメリカでは、PPVを契約できる世帯が、ケーブル普及率の関係で圧倒的に違う。これではPPV収入に差が付くのが当たり前で、勝てるわけがない」と言われたものだが、いまやネットや携帯でPPVを視聴できる=ほぼ全世帯、という条件が世界中で同じになった、というわけだ。
勿論その結果「録画ができない」等の問題に直面しているのだが、それはまた別の話で。



このブログも年数だけは長いので、まだそれが”夢想”だったころの痕跡が残っている。


2007年。ヴァンダレイ・シウバvsチャック・リデルのUFC大会がネット経由で日本でも見られるよ、みたいな話から…

………夢想といいますか、先ほどのネットPPVのコストのことが分からないと何とも言えないわけですけど、もしけっこう簡単・低コストで出来るのなら、こういうロフトプラスワンのイベントなら、数百円単位の料金であれば行きたくても地方在住で行けないような人からそれなりに購入するのではないかなあ、と思います。


むかーし昔、まだスカパーが出たか出ないのころ、DDT高木三四郎社長が「PPVを500円ぐらいのレベルにすれば、2000人ぐらいの物好きは毎回見てくれる」とそろばんをはじいたことがあったが、スカパーの普及自体もぐんぐん順調に増加、というわけではない。
ただ、ネットPPV中継ということになると、「普及率」という点でスカパーの何倍にもなるわけだからね。


機材が重たいとか大きいとか(無いだろうけど)があるにしても、そもそも、ロフトプラスワンぐらい頻繁にトークイベントをやることろなら、会場側が機材を置いてもよさそうだしな。
もしそのへんに専門技術がいるとしたら、その技術を持った会社を設立し、大会やトークイベントの度に主催者から委託され、そのつどネットPPVの宣伝や中継を一手に引き受けて、利益を折半したりするなんて方式は可能でしょうか。


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2010年。

このブログが始まってからずっと


「ネット映像でトークショーや一人語りを、言いたいことがある人がUPするようになる」
「企業がYOUTUBEなどのインフラに乗っかってそれを活用する」
「記者会見の動画をそのまま流すコンテンツが生まれる」
ロフトプラスワンのイベントが、そのまま中継されるようになる」


などが将来起こるんじゃないかなー、と
イチハヤク予測してはいたが、機材と流す環境の性能UPがすさまじすぎて、どんどん目の回る速さで上のような話はどんどん実現しており、さらにその実現したことが、さらに目の回る速さで「当たり前の風景」になっているというありさまだ。
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ロフトプラスワンから、ネットを通じて催しものは実況できるんじゃないか?と私がブログに書いたのは2007年。

このころ、店には光回線が入ったのだそうだ。
そういう有料イベントじゃなくても「…について、俺はこう思うんだけどねー」というようなオピニオンを語るトークが可能だろうとか、トークショーや討論会はコスト的に地上波でなくてもネットでも可能だろう、とか、このへんに関しては以前も書いたけど、とにかく「そんなことはあり得ない」という声がありつつもわたしがあえて予想したことが次々と現実化していってる。
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そして今や…「あのラジオ番組」や「あのテレビ番組」に出ているプチ鹿島氏がですよ。
ロフトプラスワンのような、ごく小さな会場でのトークをネット有料配信した結果得られる配収が、そういう番組のギャラより高い、そんな時代が来たわけです。ついに!


んで、こうやって見ると、井沢元彦氏が2004年に予想した話が一番当たってたんだな、とあらためて。

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直接注文があるわけだから、視聴率などというランダム・サンプリングの不確かな数字に頼らなくても、セルビデオのように販売実数が出る。また個々の注文に応じられるわけだから、たとえば少し「受信料」を払ってもいいから、CMは抜かしたバージョンで・・・ということも可能になる・・・となればフジ、テレビ朝日、TBS,などと分かれている意味もあまりない・・・これは「近未来の話」というより現実の話でもある。アメリカでは一般放送を大量録画し、自動的にCMをカットする機器が大いに売れているという。いずれ日本にも上陸するだろう。そうなるとスポンサー(広告主)が民放テレビを見放すという事態もありうるのだ。
 またあなたは子供のころに「日本の人口は一億以上あるんだから、一人一人から1円ずつもらえば一億円になる」と思ったことは無いか。・・・インターネットならこの「広く浅く」が可能なのである。
・・・技術的に不可能・・・コスト的に折り合わないという人・・・しかし、そういう人々には、「電話の歴史」を振りかえってもらいたい・・
(略)
・・・中継局がインターネットを通して「試合を生で見たい人は1人1円送ってください」といえば集金コストはゼロ(に近いのに)で、あっという間に一億円集まる・・・従来型のテレビ局もスポーツ専門局、あるいはニュース専門局なら生き残る可能性がある。


とにかく、こんな時代の変遷を経て「小さな会場でのトークイベントでも、それを有料配信すればテレビやラジオの出演料よりはるかに高い収入になる」時代が来たのでありました。
出演者だけでなく、おそらくは場を貸している側にも……
カネの雨が降るぞ!!!


それなら「ロフトプラスワンのようなお店」が今後増えていく??

ぶっちゃけ、放送機材などもどんどん安くて高性能になった。あとは、トークショーを行う「場」と「主催者」さえいればいいのだ。
そしてこれは一種の文化活動であるから、簡単にいえば採算度外視の運営者ってのも、出てくるんじゃないだろうか。言えば「劇団」活動のようなものである。

場だって恒久的なものじゃなくていいのだ、週末ぐらいにだけ会場(お店)をオープンして、そこでのライブにある程度の人数のお客を入れるもよし、配信に全振りしてそちらでの配収を目指すもよし。そこでゲストに呼ぶ文化人や芸能人、(元)有名スポーツ選手とかと知り合えるのだ。金持ちが「タニマチ」をやって散在する金額より安いだろう。

たとえて言えば格闘技団体「DEEP」を立ち上げる前の佐伯繁さんみたいなもんでさ(笑)
スポーツイベントの運営に乗り出すぐらいなら「トークショー」を箱込みで運営するほうが、よっぽどカネは使わないで済む。赤字とかもへいちゃら。


そういう、全国配信で儲けることができるようになった、というのと並行してる面も反対の面もあるけど「一攫千金を狙って、『ロフトプラスワン』を模した様な対抗団体的なトークショー施設(店)ができる(東京の同店に対して、各地方で拠点が生まれる)」
「金持ちの道楽・趣味的なトークショー(+ネット配信)があちこちで始まる」両方があり得るんじゃないだろうか。


いや、もう既に…だけど、そもそも個人としてのyoutubeでバラバラにやっている中から洗練された人気の配信者が生まれ、そこが自然と『ロフトで客を呼んでのトークショーにも負けない濃密さや、ゲストの豪華さになっていく』が一番あり得る(もう既にそうなってる?)オルタナティブだろうか。



もちろん、そんな中でも、先鞭をつけて開拓していった「ロフトプラスワン」にはたっぷりと先行者利益や巨大なブランド価値が存在しているだろう。自分だって「ロフトプラスワンでのトークショーの配信」なら、ほかより一段上のクオリティがありそう、という雰囲気感はある。


ともあれ、そこにプラスして、ある程度の配信集客が見込めるイベントなら「昔は出演者に1万円、2万円が渡ればよかったイベントが、今は全国有料配信によって、ラジオやテレビの出演料を上回る収入になる」。ーーーこれが、令和のリアルなのだ。