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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「視聴時間を指定」するテレビはオンデマンドに変わるか〜「ラピュタ」テレビ放送前に井沢元彦の予言を振り返る。

【記録する者たち】
井沢元彦「逆説の日本史」文庫13巻を必要があって読んでいた。

逆説の日本史 13 近世展開編 (小学館文庫)

逆説の日本史 13 近世展開編 (小学館文庫)

すると、本題から離れたところで、当時雑誌で読んだときも印象に残るくだりを再読できた・・・面白いので、ちょっと紹介したい。

これは同巻の第四章「演劇の変質編」で、歌舞伎や能がいかに江戸時代に変化し、そして文化や社会に影響を与えたかを論じた箇所だが、そこで「歴史から見れば社会の変化を予想できる」という例として、テレビが映画にとってかわった流れを紹介。
そして、そこから「じゃあテレビはどのように、別のものにとってかわられるか」について論じている。
前段を要約
・昔、映画は娯楽の王様。テレビは「電気紙芝居」とバカにされていた
・しかし、その映画のトップスター長谷川一夫は「映画は抜かれるかもしれん」と言った。
・それは「家で見られる」事が大きかった。
では本文引用

自分の家なら、特に一人暮らしならテレビは裸で見ても一向にかまわない。しかし、映画はちゃんと服を着て決まった時刻に映画に行かねば見られない。これが映画がテレビに「負けた」原因である。・・・実はテレビが映画に勝った「利点」というものが、今新しいメディアに崩されかけている・・・それがインターネットである。
たとえば「従来型」のテレビ会社「フジテレビ」の名物番組に「月9」ドラマがある。文字通り「月曜午後9時に良いドラマをやりますよ」ということだが、これは実は「月曜9時にはテレビの前に座って下さい」と言っているのと同じことだということに、テレビ関係者は気づいているか?
映画・・・テレビは・・・「時刻を指定している」点では実は同じことなのだ。ここで敢えて問うが、サービス業というものは「客に指定してもらう」ものなのか、それをサービスする側が「指定する」ものなのか?言うまでもないだろう。ということは、実は「月9」などという言い方は、サービス業としては改善されるべき点だということでもある。もちろん、ビデオ録画という方法はある。しかし、これも現時点ではサービスの提供者であるテレビ局ではなく、視聴者がやらなければいけないという問題がある。「お客様は神様です」に明らかに反する行為だ。
そんなこと言っても他に方法はないじゃないか、というのは十年前は確かにその通りだった。ところが番組を作ってインターネット上にプールしておく形になれば、たとえば次のようなことになる。
「ねえ、タッキーの『水戸黄門』見た?」
「七回目までは見た。八回目はプールされたの?
「きのうね。面白いよ」
「ああ、じゃあ、今日は忙しいから、明日の朝にでも見ようかな。CM抜きでね」
 
決まった時刻にしか放送しないのではないから、いつでも見られる。当然「月9」などという言い方はなくなり、主演俳優やドラマのタイトルが重要視される。直接注文があるわけだから、視聴率などというランダム・サンプリングの不確かな数字に頼らなくても、セルビデオのように販売実数が出る。また個々の注文に応じられるわけだから、たとえば少し「受信料」を払ってもいいから、CMは抜かしたバージョンで・・・ということも可能になる・・・となればフジ、テレビ朝日、TBS,などと分かれている意味もあまりない・・・これは「近未来の話」というより現実の話でもある。アメリカでは一般放送を大量録画し、自動的にCMをカットする機器が大いに売れているという。いずれ日本にも上陸するだろう。そうなるとスポンサー(広告主)が民放テレビを見放すという事態もありうるのだ。
 またあなたは子供のころに「日本の人口は一億以上あるんだから、一人一人から1円ずつもらえば一億円になる」と思ったことは無いか。・・・インターネットならこの「広く浅く」が可能なのである。
・・・技術的に不可能・・・コスト的に折り合わないという人・・・しかし、そういう人々には、「電話の歴史」を振りかえってもらいたい・・電話が1万台に増えたとする。そうなると交換手はとても対応できない。だから電話は普及しない、というのが多くの人の考えだったのだ・・・ハード面のわずかな改善がソフト面を大胆に変革したのである。今私の述べた方向へ行くのに致命的な障害はない。それどころか「レコード」・・・つまり音楽面では既に実現・・・

それにしても日本の家電メーカーはいったい何をやっているのか。
日本にはインターネットはやりたいがパソコンは苦手という中高年がごまんといる。そんな人々に、インターネットに特化した普及機を出せば、その経済効果は家電市場にとどまらないのに・・・
・・・もっとも今まで述べたことは「ドラマ部門」の話であって、スポーツやニュースは別・・・スポーツばかりはそうはいかない。ワールドカップ「日本対ブラジル戦」を試合の翌日見ようという人はほとんどいないからだ。・・・中継局がインターネットを通して「試合を生で見たい人は1人1円送ってください」といえば集金コストはゼロ(に近いのに)で、あっという間に一億円集まる・・・従来型のテレビ局もスポーツ専門局、あるいはニュース専門局なら生き残る可能性がある。私がもしIT関係の経営者だったら、将来を見据えてスポーツという「コンテンツ」をぜひとも取り入れておきたいと思うだろう。

この文章が雑誌「週刊ポスト」に発表されたのは文庫末尾によると2004年〜2005年。
例えばNHKNHKオンデマンドをはじめたのは2008年12月1日から。
うん、当時の状況から見ると、十分に先進的かつ、地に足の着いた予言だったんじゃないかな。
ロフトプラスワン光回線が入り、ネット中継とかがしやすくなったのが2007年。自分が「記者会見などが、そのままネット動画でノーカットで見られる”全文革命”」について言及したのも同じ2007年だったか。それより早いね。

そういえば、この問題も予見していたことになる。

■「ネット」排除ミエミエの民放 スマートテレビCM拒否の裏側
2013/7/ 8 19:55
http://www.j-cast.com/2013/07/08178966.html?p=all
パナソニックが発売したスマートテレビ「スマートビエラ」のテレビコマーシャル(CM)の放映を、民放各社が拒否したと報じられた。
スマートビエラでは、画面上に、ある程度目立つ形でネット機能が設定されている。テレビ番組を視聴しながらインターネットで動画やウェブサイトの閲覧を楽しむためだが、テレビ局側は「放送局が提供する番組とネットコンテンツが混在すれば、視聴者の混乱を招くというのだ・・・

スポーツ専門局が米国で今隆盛を極め、そのぶん放送権料も高騰して・・・という話も聞くな。


そして。・・・・おもいだした。
自分が2009年の「テレビの未来を考える」という討論番組から、特に下のようなテーマを抜き出して、文字にしたのは井沢氏のこの論考を読んだから、問題意識を持てたというところがある。だから下のエントリーは、井沢氏の影響下にあったのだ。
再掲載

「番組は我々が提供する時間帯に、テレビの前に座って観賞してよ!」…旧体制の”新撰組”はかく抵抗する。

水曜どうでしょうの製作者 
「ぼくはいま、腹が立ってしょうがないんだけど、みんなそう思っていると思うんだけど、テレビマンは、『その時間にテレビの前に座ってみてくれ!』といわなきゃいけない。」
糸井重里
「みんな、一緒に見たいんですよ。人間は一人で生きているわけじゃない。会社で同じ話題、家族で一緒の話題のうれしさはばらばらに、ああ先月に見たじゃなりたたないんですよ。今日XXがあるから帰るね、ってのがうれしいんですよ。」
(略)
テレビ東京ガイアの夜明け」製作者 
「そんなに皆さん便利なものがみたいのか。便利なものがいいのかと・・・。情報とかオンデマンドとか、そんな便利なものばっかりを求めてどうするんだろう。」

■「UFCネット中継」「TBS、DREAM&内藤コラボで勝負」で再度考える「TV」の未来(「日本の、これから」より)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090427#p2
■「ラピュタ」TV放送で考えたこと。「バルス論」「みんなで一斉に見る」…
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20111210>
■『この機械の是非は、民放連で協議すべきだった』…かくも「SPIDER」をテレビ旧体制は恐れる(Dropkick)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121116/p1


関連のリンクも紹介

■【Dropkick】水道橋博士&佐々木俊尚&有吉昌康「SPIDERとメディアの未来」完全版
http://ningenfusha.jugem.jp/?eid=328
■テレビの未来を変える家庭用「SPIDER」、間もなく発売
http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/1210/16/news083.html
■「今」という時を共有する役割においてテレビは生き残るよみたいな
http://d.hatena.ne.jp/tvhumazu/20090910/p2
■「テレビの、これから」に思うこと。
http://senkanburian.jugem.jp/?eid=563
WBC勝戦、「バーチャルお茶の間」出現を目撃
http://blogs.itmedia.co.jp/akihito/2009/03/wbc-a218-1.html

今回、あらためて紹介した理由は…8月2日また「バルステロ」を日本がやるっぽいので

http://www.ntv.co.jp/kinro/
http://www.ntv.co.jp/kinro/lineup/20130802/index.html


天空の城ラピュタ」。二郎と同じく空に強く憧れる少年・パズーと空賊たちが、空に浮かぶ幻の島「ラピュタ」をめぐって大冒険を繰り広げる物語だ。
鉱山の街でたくましく生きている少年・パズーのもとに、ある夜、突然女の子が舞い降りてくる。シータというその少女は、ラピュタの宝を狙う国防軍と、空中海賊・ドーラ一味から狙われていた。パズーは彼らの手からシータを守ろうとするが、彼女が「ラピュタ」と深く関係していることを知り、彼女と共に「ラピュタ」への冒険の旅に出ることに。

 どんな時でも常に前を向き、強い瞳の奥に備えた意思の力で困難を乗り越えていくパズー。自分に課せられた宿命の重さを真っ直ぐに受け止め、平和のために生きようとする健気なヒロイン・シータ。2人を温かく見守りながら、その一方で自らの欲望を満たすために爆発的な勢いで突き進む空賊のボス・ドーラと、その息子たち。世界征服の野望と狂気を胸に秘め、ラピュタ上陸に向けて虎視眈々とその計画を進めていくムスカ権威主義の小悪党で、ムスカにいいように操られてしまう国防軍の将軍。パズーの働く鉱山の男たちを率いるたくましい親方と、賢く頼りがいのあるおかみさん。鉱山の奥深くで石とともに生きる鉱山師・ポムじいと、鉱山を走る機関車の老機関士。軍の要塞に閉じ込められていたラピュタの戦闘用ロボットと、人がいなくなったラピュタを1人きりで守っているロボット兵。
 登場するキャラクターは全員が最高に魅力的で彼らが織りなすドラマが、感動のクライマックスに向けて飛翔感たっぷりに展開していく。

なるほど、たいへんな名作のようですね・・・
なら録画したらどうだ、みなさん。
前回の放送は、昨年12月23日だったらしい。まだ1年たってねえじゃねえかよ!!


ただ。
これが、井沢元彦氏が予見したような「オンデマンドによってXX時XX分、○○の放送をみんな見てね!というテレビの”傲慢なサービス”が失われる」という話と、それに反発した現場テレビマンの
「腹が立ってしょうがない。テレビマンは『その時間にテレビの前に座ってみてくれ!』といわなきゃ」
「みんな、一緒に見たいんですよ。人間は一人で生きているわけじゃない」
「そんなに便利がいいのか」
という話の、不思議な<着地点>となっている・・・まあ偶然つーか、ほかじゃマネできないだろうけどね(笑)