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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「古代の王が、当時の『最新兵器』の危険さに震える」…という、小松左京SFに出てきた挿話の出典を巡る話

twitterでのやり取りから得られた知見を、埋め込み形式を駆使してまとめてみます。

映像化された「投槍器の破壊力」動画で思い出した小松左京「明日泥棒」の一節。(古代人ですら「大量破壊兵器」の前に恐怖した、という話)


※この議論は最終的に違う場所に着地するので、映像そのままの投槍器のほうに興味のある人はこちらのほうにどうぞ。
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ちょっと話のいきがかり上、この「明日泥棒」という作品をざっくり紹介します。

「コンツワ!」とそいつはいきなり、ぼくの背後から声をかけた。横浜の港が見える丘の上に、ひょっこり姿をあらわした、奇妙な日本語を喋る男。頭に古風な山高帽、モーニングの上着に小倉のはかまといういでたちで、名前をゴエモンと名乗った。その直後、日本全土からあらゆる音が消えてしまった――。ゴエモンとは何者なのか? ゴエモンを利用して世界を動かそうと企む人間達の思惑が絡み合い、事態は思わぬ方向へと転がり始める。極上の笑いとSFだけが描き得る真の恐ろしさが同居する、異色の傑作長編!



要は不思議な能力を持った「宇宙人ゴエモン」を名乗る怪しげな男が地球にやってきて、とある男性のもとで居候をする。
そして宇宙人のまっさらな視点で、地球を観察し、皮肉とも風刺とも取れる不思議な視点で論評する…という、ちょっとエッセイ的な味わいもあるコンセプトなんだが、それと同時にメインストーリーも展開されていく。

それは、このゴエモンの不思議な力というのは、世界中の「火薬・爆発物」を、原爆からピストルに至るまで一瞬で無力化する、というものも含まれていた、という設定で…当然、これは発動されると、世界情勢すら一変させるような巨大な影響力がある。

その影響力を巡って各国の情報機関のほか、やや突飛な世界平和への理想を持つ怪しげな政界フィクサーなどが活動するお話だ。
個人的にはSFにおける「現在の文明や技術を、敵味方両方を含めて”無効化”」するという設定があるんだな、とガンダムミノフスキー粒子や銀英伝のゼッフル粒子と連想がつながり、ゆえに印象に残っている。
※これについては、以下の記事で語った。
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そんなふうな「武器と人間の関係」を、ゴエモンに居候されている男性がつらつらと夢想する時のエピソードとして、ほんの一節だけ登場したのが、「スパルタの王と槍の投射器」だったというわけ。


しかし……

ここで「そういう発言、本当に合ったの?出典誰か知ってる?」との問いが。





そもそも投槍器(やり投げに遠心力を付ける道具)は、スパルタの王が知らない筈はない…と。


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そして、ほぼこれが出典だろう、という話に行き当たる。

※これ、よく考えたらカタパルトで放つ「矢」は人力の弓矢より相当に重く長いらしいので「槍の投射器」だと表記してもおかしくないというか定義、用語の違いに過ぎないのかも…


ということで,スパルタ王アレキダモスという名前が判明。ウィキペディアにはこの挿話の記述もあるだろうか…?

ja.wikipedia.org
1〜5世までいやがる。誰だよ。ああ3世か。
ja.wikipedia.org



最初に書いたように、この話が出てきたのは本筋とかに関わる話でなく、ほんのちょっとした枝葉の一節。小松左京がこの話を詳しく覚えていたかうろ覚えだったかはともかく、ここで出典や王様の固有名詞、原文のギリシャ語なんかをつらつら並べる必要は全くない。ぼやっと曖昧に、寓話風に語るのは文学的にも正しかったろう。
というか小松左京にとっては「こんな話は誰でも知ってる”お馴染みのアレ”だろうからな…ざっくりかけば『ああアレか』で済むだろう」とかだったかもしれん(笑)

ただこうやって 「SNS」という新技術、インフラを活用して、詳しい人、興味を持った人たちの知恵が集まり、最初に書いた人(俺)が能力的にも意思的にも、やろうとも思わなかった「出典の発掘」に成功する……一貫して人間の生む科学や新技術には楽観的な信頼を寄せ続けた小松左京作品にふさわしい、エピソードではないか? と自画自賛(※いやそもそも自画ですらねえだろ、他人のふんどしだろ)して終わりたいと思います。(了)

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