ソウル転倒事故 151人死亡 82人けが 死者に外国人19人
韓国ソウルの繁華街のイテウォン(梨泰院)で29日夜遅く、大勢の人が折り重なるようにして倒れた事故では、これまでに外国人19人を含む151人が死亡し、82人がけがをしました。
当時、ハロウィーンを前に集まった大勢の若者が狭い路地に密集していたということで、現地の警察は捜査本部を設置して事故の経緯や原因を調べています。(略)
現場では、当時、ハロウィーンを前に仮装などをした大勢の若者が狭い路地に密集していたということで、地元メディアは、大勢の人が坂の上の方から次々と折り重なるように倒れていったという目撃者の証言も伝えています。韓国メディアは、地元の警察が捜査本部を設置し、目撃者などから話を聞いて事故が起きた経緯や原因を調べるとともに、管轄する自治体が事故を防ぐための措置を事前にとったのかどうかも調査すると伝えています。
あまりにも痛ましい、悲劇的な事件だ。
ハロウィーンの催し、非キリスト教圏なのに(あるいはそれゆえに)やや羽目を外したバカ騒ぎを路上で展開するー---というカルチャーは、けっこうなところにも広がっているのだな、とも感じた。
ならばこそ、対策を講じる必要があるのだろう。
そこで、ほんの少し前にはてなブックマークが多数ついた、これを思い出す。
NHKもブクマカも雑踏事故を甘く見過ぎ
雑踏での人の流れは流体として考える
雑踏警備での鉄則は「一方通行」と「ボトルネックを無くす」である。これは群衆が流体のような動きをするからだ。
一方通行にしない場合にどうなるというと、「クサビが噛み合った状態」になる。
例えば広いところの間にトンネル通路がある場合で、通路の両側から群衆が押し寄せた場合、通路の入口では「通路の半分からはみ出さない」という動機が働きにくいので通路のほぼいっぱいに広がって進行する。
だがこれは反対側でも同じなので、出口付近では人一人くらいの隙間をぬって通る事になる。
これは上から見ると三角形のクサビが噛み合っているような状態になる。効率的には最小化だ。
後ろから押されているので隊列が狭くなると群衆密度が増す。だが人は一定以下では足の歩みが出来ないので押されてやがて転んでしまう。
後ろの人間は前で起きていることが見えないので前にどんどん進行してくる→それらも更に転倒する、となって、転んだ人とのその手前の人間には数百キロ~数トンの圧力がかかり、皆死んでしまう。
これが通路を対面通行にした時に起きる雑踏事故だ。通路は一方通行が鉄則なのはこういう理由だ。
ボトルネックがあった場合は、細くなる手前で群衆圧力が……(後略)
これは大変な傑作の増田であり、繰り返し読まれるべきものではなかろうか。
じぶんの当時のコメントは…
NHKもブクマカも雑踏事故を甘く見過ぎb.hatena.ne.jp自分は勝手に、人の流れの流体云々を「大群衆学」と名付けて興味を持っていた(<a href="https://m-dojo.hatenadiary.com/entry/20130808/p3" target="_blank" rel="noopener nofollow">https://m-dojo.hatenadiary.com/entry/20130808/p3</a>)んだが、やはり色々現場のノウハウもあるし、数学的な理論もあるんだろうな。
2022/10/04 02:39
そう、このブログ内では、将棋倒し防止以外も含め、物理的にたくさんの人間が集まった時に、それが数学的・科学的な意味も持つような話や、いわゆる”兵站”も含め「大群衆学」と呼称していた(ほかにも使ってる人いるかもだけど、一応は勝手な造語です)
一般的な書籍では「渋滞学」というのが出てるが、これもある意味一般的な用語と言うよりは奇をてらったタイトルではある。
そんな「大群衆学」についての過去記事だが
そこに、一覧が出てた。
過去の自分の「大群衆学」ロマン的なものをかいた記事
■富士F1の、バス乗降客のさばき方に進歩あり・・・というブログが人気
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081014/p8
■F1@富士も凄いが、コミケも凄い?「人の流れ」制御の科学とノウハウ。そして兵站と危機管理
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081015/p4
■「大集会・大イベントでのトイレ問題」は普遍的…ウォール街占拠運動では?
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20111014/p5
■ウォール街占拠運動、「兵站」軽視で敗れる?
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20111120/p5
■「有明地獄地帯」に行くかね、君たち。いきてかえれ。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20101230/p2
■あと3、4年で、コミケでコスプレしてる人たちとかは、顔写真検索で特定できるようになるんじゃないの?…というSF。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110818/p2
■「DJポリス表彰」で思い出した話…「中国は天安門事件後『殺さずに民衆を弾圧する方法』を日本から学んだ…指導者は佐々淳行(笑)」
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130620/p4(後略、あとは「主催者発表」の論)
この話は、なにしろ、韓国も、あるいは少し前のインドネシアのサッカー場も、大きな悲劇だからそこで書きたくはないが、
本来的には自分の興味は、
・人間は、個々人は、それぞれ自由意志があり、動機も情熱も肉体的な特徴も千差万別で、それぞれはその意思に基づいて行動している。
・本来的には、その行動の予測はそれぞれの意志、いわば「文学的」に把握しなければいけない。
・しかし、数千数万の大群衆となると、増田がいうように「流体」の性質ととても似通うような……数学・科学の分野になってしまう。噂の拡大や、インフレデフレなどの「経済」の諸問題とも重なることが多い。
そんな点に基づいたものだった。ここに、事故の話とは切り離してほしいが「ワクワクするもの」を感じたのだった、本来は。
実は「帝都物語」一巻に…寺田寅彦登場の場面だったかな…?とある人物が、電車内の人の乗り降りを、まさに渦を巻くような水の流れと同じものとして研究するという挿話があった。
これで知ったというか、当時からそれに興味を持っていたので
「わが意を得たり!」という感じでその部分を読んだ、という記憶がある。
それに先立つのは、デマの流通と拡大だった。
ただ、こういう事故を目の当たりにすると、もっともっと「大群衆学」(渋滞学ともいうか)がメジャーな分野となり、研究が蓄積され、それが防災にフィードバックされることを祈らずにはいられない。
そこには、警備会社、警備警察OB、桜の名所の公園管理者、コミケ運営スタッフ、ロックフェス運営スタッフなどが日々の業務の中で培った、まだ記録化されていないノウハウとかもあるはずだ。それが数学者などと連携して、もっと精密な記録や理論となり、またそれが啓蒙的な知恵として、普通の社会にフィードバックされることを願わずにはいられない。
追記「動的群集誘導モデル」で検索、するといいらしい
ソウル DJポリスが必要?:中日新聞Webb.hatena.ne.jp↓「動的群集誘導モデル」で検索すれば屋外での人流制御は盛んに研究されてる分野なのがわかりますよ。実務では兵庫県警の「雑踏警備の手引」が決定版的マニュアルですね(´・ω・`)
2022/10/30 15:46
じぶんのブクマへのレスでありました、感謝。
こちらを。
www.google.co.jp
追記 さっそく警察編集の「雑踏警備の手引き」に注目集まる!!
[PDF] 雑踏警備の手引き
https://www.police.pref.hyogo.lg.jp/zattou/tebi_data/all.pdf
ブクマ多数。
b.hatena.ne.jp
そうそう、こういう話をしてたんだよ、こういう話。
それで、出てくる「時差退場」、といえば漫画の寄席芸人伝に「三段返し」ってあってね。下手な真打は客がさっさと帰る、名人は客を最後まで返さない、超名人は出口の狭さに応じて、客の帰りをコントロールして……
客には悪いが、ああやってクドいようなマクラを振っていれば、さして落語好きでない連中は帰ってしまう。残った客にじっくり落語を聞かせる。落語が終われば常連は帰ってしまう。さらに残った暇な客に踊りを見せる………てなわけさ。(三段帰しの柳喬)
— 寄席芸人伝bot (@yose_geininden) October 25, 2022