「どいつじんのおしごと!」…じゃねえ、ドイツ人屋さん…でもない、「職業 ドイツ人」ことマライ・メントライン氏の小泉悠紹介が話題になっている。
そこで、冒頭にこう書かれている。
……まず、戦後日本にて軍事アレルギー的な感性から必要以上に忌み嫌われていた「地政学」の復権がみごとに成された点が重要だ。小泉氏は地政学的な思考を前提に話すし、予備知識がない人にもその必然性と有用性がわかるように説明する能力が高い。
なおそこで、「地政学=ファシズム軍国主義者の学問」みたいな見解をもつ昭和的リベラル言論人への怨念みたいな気配がもし彼にあったら、いろいろ上手くいかなかったと思う。で、こう言うと「いやオレは! 小泉悠のブレイク以前から! 地政学の重要性をアピールしていたッッ!」と主張する人が絶対出てくるのだけど、それっていわゆるダ・ヴィンチ・コード裁判の問題と同じで、概念の開発というのは早い者勝ちでなく世間に食い込んで売れた者勝ちなのだ。
ゆえに、言っても仕方のない文句を言うよりは「何が一般市場で売れるのか」を積極的に考えた方が良い。
グレイシー柔術が下から相手をコントロールする”ガードポジション”を披露して、谷川貞治氏の「格闘技通信」が大々的に取り上げた時、柔道やサンボの選手から「そんなの前からあった」とブーイングがあったが、格通は誌面で「技術はあっても、それにちゃんと名前を与えてきちんと説明したか、できていたか?マイナーな発想はもうたくさんである」と言ってたな。
あるいは「巨大ロボに人が乗り込んで操縦する」の元祖はやはり、宇野一路「原子力人造人間」でなく永井豪の「マジンガーZ」扱いされる、ということであろうか。
togetter.com
いや、そんなことはどうでもいいんだ、本題に戻る。
「地政学」についてだが、うん、たしかに復権したのかもしれない、あるいはいま復活の途中なのかもしれない、巨神兵とか平将門の霊のように
ただ言及されてるように、ほんっと「忌み嫌われてる」よねえ、と……
それはtwitterでもはてなブックマークでも散見される。Tiktokやインスタグラムでも地政学は嫌悪されているかもしれないが、ろくに見てないのでわからん(笑)
それをダジャレで「反地政主義」と名付けた。この時点である意味、しごとはおわり(笑)。あとは蛇足。
そんなわけで、自分のtwitterログを探してみたら………
「Jリーグは地政学的に……」とか、前提がバカすぎる。関係ないだろそんなこと。地政学云々は要するに「オレはお前たちより広い世界を見てるぞ」って言いたいだけの話。個人的には「地政学」っていう言葉を聞いた瞬間からその先は聞かない。「ああ、こいつバカだ」って思うから。
— 小田嶋隆 (@tako_ashi) July 22, 2015
この、故おだじまんの決めつけはまぁ芸風として
前にも呟いたが、戦後、地政学にコミットした学者(地理学者も)は公職から追放された。戦後「地政学」という講座も学会もなかったのは、侵略と支配を正当化する目的を「科学」を名乗った地政学がタブー視されたから。国際政治が流動化してくると「○○の地政学」本が増えますが私は批判的に見ています。
— masanorinaito (@masanorinaito) June 22, 2020
ウクライナ情勢を見てると、俄然、「地政学」が勢いを増すようだ。英語でgeopoliticsやgeopoliticalを使う意味は分かるのだが、日本語にしたときに、「学」を付けるのには未だに抵抗がある。geopoliticsは、ある国から見て「他の国や地域をどうしたいか」の話であって、それ自体は学問ではない。
— masanorinaito (@masanorinaito) February 11, 2022
やはり、歴史をふまえてほしいね。ドイツ語のGeopolitikがどういう経緯で日本で「地政学」として紹介されたか。学問の衣を纏わせることで、侵略や植民地支配が必然であるかのように見せようとした過去は消せない。
— masanorinaito (@masanorinaito) 2022年2月11日
地政学は学問ではないしね
— Simon_Sin (@Simon_Sin) 2022年6月16日
とくに理論があるわけでもなく、読むと軍師気分になれるからカジュアルな書籍の題名として好まれているけど
国際情勢について何かを言いたいなら「地理的に」「国際政治的に」見ればいいんじゃないの #tama954
「地政学的な理由」とかカッコよさげなことをいうまえに「地政学」がまともな学問じゃないうえに羞恥心のある人なら顔真っ赤にしないと言えないような言葉だってことは知るべきだと思います #ss954
— Simon_Sin (@Simon_Sin) 2019年11月14日
本アカウントは地政学には批判的な立場ですが、それは「地政学」という言葉にふわっとした違和感を感じるのと、地政学を自称する連中がどいつもこいつもそろって胡散臭いからという二つの理由があるからです #tama954 https://t.co/e8RifArAhK
— Simon_Sin (@Simon_Sin) 2022年6月16日
歴史と法律と、それから「地政学」が思いつきますね。不勉強なもので、いま「地政学」に専門家がいるのかどうかは存じませんけれど。 https://t.co/bxYcUUTAiK
— 若林 宣 (@t_wak) 2017年4月30日
今では「地政学」というだけで怪しまれそうですね・・・。研究者からなる学会とかがどうなっているのか、小生も存じませんが、「国際関係論」などと名乗って地政学の要素をしのばせる、位なのかなと思います。
— 墨東公安委員会 (@bokukoui) 2017年4月30日
人文系だと「地政学」はまだ問題ある「学問」だと捉えられてますが、困ったことに国際政治系ではそうではないことのほうが多いです。地政学復権の時代とさえ言われています。
— 北守 (@hokusyu82) 2017年4月30日
膨張主義にお墨付きを与えるようなものですね。嫌だなぁ。
— 若林 宣 (@t_wak) 2017年4月30日
ほかにもはてなブックマークで「地政学」そのものを否定する論は幾つか見た記憶があるが、それは発掘できない。
あ!と思い立って、今現在の「地政学」と「学問」このふたつで検索して見た…けっこう入れ食い、ジャンジャンバリバリ
地政学信奉者がミスリードしているが、実は戦後も生き残ってしまった戦勝国側の地政学ですら、“地政学”という科目で大学で教えられていたりはしないんだ。その要素が分解されて他の科目に吸収はされている。いずれにせよヨタ学問には違いないが、「海外の大学では“地政学”が教えられてる」はミスリード
— デスタコス(青春クソ野郎) (@kayuumaatsui) 2022年10月9日
なんか……「地政学」って胡散臭いですよね。地政学自体そもそも学問なのかとか色々ありますけど、一番大きな要因は胡散臭い人が「地政学的には〜」とか言ってるからだと思うんだよな。頭につければ賢く見えるようなそんな雰囲気がある
— もくせん🇬🇧🇫🇷 (@plugofficer) 2022年10月9日
それが問題なんだといっているのがわからない?
— デスタコス(青春クソ野郎) (@kayuumaatsui) 2022年10月9日
帝国主義時代のインチキ学問の残滓が残っているという話だし、定量定性的に測れない、学問に偽装した何かに対しておまえは無批判なんだ。
プーチンも「地政学」という言葉を使っているのを思い出した方が良いね。 https://t.co/qJMvEkc7Yf
#地政学 という似非学問を持ち出してくる時点で、まともにとりあう気が失せます。
— Tarama Taruhei (@menghu_nankuru) 2022年5月18日
昔は帝国主義者、ヒトラーらが利用し、
今は #ネトウヨ らが上から目線でさも分かった風を装うために、便利に使っているインチキ学問ですからね。 https://t.co/yq26ocuxkK
要は後出しジャンケンって、“学問っぽい軍事行動正当化の理屈”を作り上げていくのが“地政学”。
— デスタコス(青春クソ野郎) (@kayuumaatsui) 2022年10月9日
だからこその疑似科学なわけで。
実際、“地政学”って言っている奴らの御説を拝聴していると、「ん? それならこっちに軍隊置いた方が合理的では?」となる。
要は、まやかしなのです。
地政学ってつくづくバカしか知らない架空の学問だなあって(何かを見た
— 共産党と強いつながりがある、だったら何? (@y0c_low) 2022年10月9日
俺たちはその地政学とやらを学問ではなく結論ありきのオカルトだと思ってますし、海兵隊は突撃部隊だから防衛部隊だとは思ってないですし、グアムに一部移転するなら全部持ってくべきだと思われてるし、翁長さんの頃から「侵略されるぞ」って言ってるからオオカミ少年だと思われてるんでしょうけどね。
— 孔悠鬼 (@kongyouguai) 2022年10月6日
現代で地政学って言ってる時点で眉に唾べっとりつけて見るべきなんだよなー。あれ、もうはっきりいって疑似科学の領域やぞ。
— 三毛招き (@mikemaneki) 2022年2月6日
地政学は面白いし有益な面もあるだろうけど、あれは疑似科学的な側面も強い。
— キッシー (@hZVCa1eOSiI2QPu) 2022年8月6日
順番を間違えれば「ウチの国はこう言う地理的条件に置かれているからこう言う政策を取るべきなんだ」と言う結論ありきの都合のいい政策論を生み出せる便利な道具になる。
あれ?國分功一郎氏が意外や肯定的
@madhatter1568 疑似科学と言うのもわからない事はないんですが、シュミットを読むと、世界史を見る一つの仕方として地政学にはそれなりの利点があるようにも思います。とにかく何か学問を一方的に禁止するのはよくないね。骨相学だってやりたい奴がやって、皆に軽蔑されればいい。
— KoichiroKOKUBUN國分功一郎 (@lethal_notion) 2011年2月9日
あとネット上では「地政学を英国で学んだ」ブログとその著者の存在感が際立っていて、ぶっちゃけこれを書く時、検索の作業中にヒットしすぎて邪魔だった(笑)
奥山真司(おくやままさし) 連絡先:masa.the.man●gmail.com
戦略学博士: Ph.D Strategic Studies(Reading, UK)
専門分野:地政学、国際関係論、戦略研究、安全保障論、米国政治哲学・メディア、テクノロジーの哲学、戦略文化、クラウゼヴィッツ/孫子の戦略思想
1972(昭和47)年生まれ、神奈川県横浜市出身。
1991年 市立横須賀高等学校卒業。
1999年 ダグラス・カレッジ総合研究科卒業。
2002年 ブリティッシュ・コロンビア大学 哲学・地理学科卒業(B.A)
2005年 レディング大学 国際関係・政治学院安全保障研究学科修了(M.A)
2011年 レディング大学 同学院の戦略研究学科修了(Ph.D)論文指導教官:Colin S. Gray, Geoffrey Sloan, and Beatrice Heuser.
主要論文、著書:
ん?まさに「地政学批判」をテーマに、氏がyoutubeをUPしているみたいだよ
www.youtube.com
元の記事はこちら
朝日夕刊、「地政学」の言葉狩りを開始。最近池上彰の番組でも地政学で解説してたが、世界を俯瞰的に観られるのが気に入らないようだ。「地政学は80年前ナチスや日本にどう利用されたか」とか言うが、日本人に地理を教えないというのは戦後間もない時期もそうだったらしいね。 pic.twitter.com/TgE9JH53XD
— じねんじょ (@ZZaQvVEk0NorHl2) September 26, 2022
最近、朝日叩きが連続して申し訳ないがw、こんな「印象」だけで、「ナチスも利用 地政学ブーム、感じる危うさ」とナチスと地政学を不可分のように語ってしまうのは、読者に誤解と偏見をもたらすだけだろう。
— 黒色中国 (@bci_) September 27, 2022
こういう浅はかな印象操作にこそ「危うさ」を感じる。
んで、意外や中田考氏も、さらに新学問?の「宗教地政学」を語る本とか出してる。
「政治、軍事、経済、地理といった様々なレイヤーが複雑に絡み合う現実を、一般に考えられる要因だけでなく、文明・宗教を含めた多層的な観点で理解しよう、というのが本書の目的です。…」
— 猫の泉 (@nekonoizumi) September 27, 2022
⇒中田考
『宗教地政学から読み解くロシア原論』
イースト・プレス https://t.co/nmldqnPWQN