各メディアが報じた。
<古館アナのナレーション>
闘う旅人・アントニオ猪木-----。
今、相手のいないリングに猪木はたった一人でたたずんでいます。思えば38年に及ぶプロレス人生、旅から旅への連続であり、
そして猪木の精神も旅の連続であった。安住の場所を嫌い、突き進んでは出口を求め、
飛び出しては次ぎなる場所に歩を進め、ドン底からの新日旗揚げ、
世界王者とのストロングマッチ、大物日本人対決、
格闘技世界一決定戦、IWGP、巌流島、
人質解放、国会に卍固め、魔性のスリーパー……
決して人生に保険をかけることなく、
その刹那、刹那を燃やし続ければよいという生きざま。
猪木は、このあとの舵をどの方向にとろうというのか。
一人ひとりのファンの胸には今、
どんな闘いの情景が映し出されているか。猪木は、全ての人間が内包している
闘う魂をリング上で代演する宿命にあった。
我々は猪木が闘いの果てに見せる表情に、
己自身を投影させてきたのだ。しかし、この瞬間をもって猪木はこのリングから姿を消す。
我々はどうやって火をともしていけばいいのか。
物質に恵まれた世紀末、商業主義に躍る世紀末、
情報が豊かで心が貧しい世の中、
ひとりで闘うことを忘れかけた人々…もう我々は、闘魂に癒されながら
時代の砂漠をさまよってはいられない。
我々は今日をもって猪木から自立しなければいけない。
闘魂のかけらを携えて、今度は我々が旅に出る番だ。
闘魂は連鎖する。1943年2月20日、鶴見に生まれしひとりの男の子。
姓名・猪木寛至、闘魂の火ダネ。
貴方を見続けることができたことを光栄に思います。
燃える闘魂に感謝……
ありがとう、アントニオ猪木!