「宗教2世」マンガ連載中止の内幕…「幸福の科学」抗議に折れた集英社に作者は「もっと戦ってほしかった」と憤り
…同日、集英社はウェブサイトで「特定の宗教や団体の信者やその信仰心を傷つけるものになっていた」という謝罪文を掲載したが、幸福の科学からの抗議が削除の理由だとの指摘がネット上に出回り、ツイッターでは「表現の自由を捨てるのか」といった同社への批判が沸き起こった。
作者の菊池氏は、納得したうえでのことなのか。取材すると、「この件については集英社から口止めされていますが……」と重い口を開いた。
「担当編集者からは当初、祭壇や施設の描き方など、事実と異なる箇所を直せばいいと言われました。ところが急に、全体的な見直しが必要になったと方針転換されたのです。
その後、編集部で会議を重ねた結果、第5話だけでなく第1話から第4話まですべて、信者を傷つける可能性があるので、連載中止の判断に至ったと言われました。私も反論しましたが、信者を一人取材しただけでは不十分だったと言われ、では何人ならばいいのかと聞いても返事はない。
教団への批判ではなく、あくまで個人の人生を描いたものなのに、宗教団体に過度に配慮するのはおかしいでしょう。集英社も自分たちが無理を言っていることはわかっているのに、もう引っ込みがつかなかったのでしょうね」
(略)
教団は、このように回答した。 「菊池氏の該当作品には、明らかな事実誤認が複数存在するとともに、信仰の対象や教義等に対する不当な侮蔑的描写、冒涜等が存在しています。また、親子問題と自立の問題を信仰の問題にすり替えている点もあります。作品の公開停止については、集英社側で独自に検討された結果と思われます」(幸福の科学広報局)
(略)
同社(※集英社)は、制作段階での事実確認や表現の検討が不十分だったため連載中止に至った
smart-flash.jp
この問題については「ようやく話題になった(盛り上がった)か、遅かったな」という感想しかない。
2月13日、14日とも連続で当方、自分のブログで記事にしていたのに…って、そりゃここが場末の零細ブログゆえに訴求力が無かっただけだろうから、何ともやむを得ざるところ。
m-dojo.hatenadiary.com
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ただまあ、ほぼ最初に…というのは大げさだが、平均的な人(はてなブックマーカー)よりは比較的早めに、かつ大規模にこの話題を取り上げたブログ、として語ろう。
上のニュース記事のブックマークにつけたもの。
(この記事へのリンクを張り直したので、現在のブクマとはちがいます)
こちらでも再論。この件と一番構造が似てるのは、2年前のNHK「ひろしまタイムライン」ですね。個人の体験談に基づき物語的に再構成、だが少数派集団を貶める偏見描写だと攻撃され、腰砕けに…ほぼ同様の問題です
こちらでも再論。この件と一番構造が似てるのは、2年前のNHK「ひろしまタイムライン」ですね。個人の体験談に基づき物語的に再構成、だが少数派集団を貶める偏見描写だと攻撃され、腰砕けに…ほぼ同様の問題です。 - gryphon のブックマーク / はてなブックマーク
NHK広島放送局の被爆75年企画「1945ひろしまタイムライン」をご覧くださり、ありがとうございました。
もととなった日記が終了した12月31日でツイッターでの発信を締めくくり、事前にお伝えしていた通り、アカウントとHPを2020年末に閉鎖いたしました。
原爆の日や終戦の日を含む8月1日~15日のツイートやブログ記事の一部は、こちらに掲載しています。https://www.nhk.or.jp/hibaku-blog/hibaku75/diary/
「1945ひろしまタイムライン」は、戦争や原爆の記憶を若い世代に伝えるために発信を続けてきました。
ツイートのもととなった日記の著者やご遺族、ご関係者、制作や取材に関わってくださった方々など、ご協力いただいたみなさんに心より感謝申し上げます。
今後ともよろしくお願いいたします。
www.nhk.or.jp
※1945年当時の日記などをもとにTwitterで伝えるこのプロジェクトの目的は、戦争の記憶が薄れつつある中、若い世代に被爆体験を継承し、戦争の時代の社会状況についてリアリティーをもって伝え、考えていただくことにあります。
「シュン」のモデルは、1945年当時、広島の中学1年生だった新井俊一郎さん(13)です。現代の広島の10代が新井さんの日記などを読み、その味わいを大事にしつつ、若者の感性を加味し、想像を膨らませて書いています。時間は日記などをもとに推定。必要に応じて注釈をつけます。
『「神様」のいる家で育ちました〜宗教2世な私たち〜』と同様に、この「シュン君」のひろしまタイムラインツイートも、物議を読んだ場所は削除され、今は読むすべがない。
NHK広島の企画「ひろしまタイムライン」,"差別を助長"との批判を受け,謝罪
刊行物『放送研究と調査』2020年10月号 掲載
「日本が戦争をしていた1945年にもしSNSがあったら」という設定でNHK広島放送局が企画した「1945ひろしまタイムライン」をめぐり,企画の公式アカウントによるTwitterへの投稿が「差別を助長している」などと,多数の批判が寄せられた。同局は8月24日,「配慮が不十分だった」と「おわび」の文書をウェブサイトに掲載した。「1945ひろしまタイムライン」は,若い世代に身近なメディアであるSNSを使い,戦争や原爆に関心を持ってもらおうと企画された。現代の高校生らが被爆者の日記・手記などを参考に当時の混乱した状況を「追体験」「想像」し,「自分たちの言葉」で,2020年3月から日々ツイートしている。今回,問題となったのは,「当時の中学生が見聞きしたことに基づいて」とNHK が主張する8月20日のツイートで,列車内で「朝鮮人の群衆」が暴力的な振る舞いをしたなどと記されている。これに対し,日本による植民地支配など,当時の「朝鮮人」が置かれた状況について説明がないのは差別を助長すると,研究者や市民から多くの批判や抗議が寄せられた。そうした懸念が現実化し,韓国人や朝鮮人に対する差別的なリプライも多くみられた。また,個々のツイートに“日記原文”との違いが明記されていないため,歴史的資料の扱いとしては適切でないと,企画自体の限界を指摘する声もあがっている。
戦争や原爆について,リアリティーをもって考えてもらおうという意欲的な取り組みが,なぜこのような事態をもたらしたのか。丁寧な検証とさらなる改善が必要だろう。
谷 卓生
www.nhk.or.jp
「ひろしまタイムライン」について当ブログの過去記事がある。
m-dojo.hatenadiary.com
ほか、「電脳藻屑」でも労作の検証がなされているが、
nou-yunyun.hatenablog.com
当初は「根も葉もないデタラメを書いているんじゃないか?」「捏造」的なことを疑われた、シュン@ひろしまタイムラインの物議を呼ぶツイートは、その後「原典」は存在し、捏造論は撤回されたことがわかる(「日記」でなく別の回想録などからも再録していたので、ややこしかったのだ。その点では当初疑うのもやむなしか)
その上で同ブログでの価値評価では問題ありとしているが、当方の価値評価でいえば基本的には「当時の資料を基に【歴史小説】【歴史物語】(特に一人称のそれ)を創作したときには、こういう感じもあり得るだろう」的なものだと考える(たとえば司馬遼太郎や吉村昭の歴史小説と、もとになる史料との差異より大きいとも思えない)。
それもまた、資料や現実との乖離がゼロではなかったろう『「神様」のいる家で育ちました』と同様だと思う。
NHK「実際の表現にならって掲載」と釈明
相次いだ批判を受け、NHKは8月21日、以下の釈明文を掲載。手記と本人がインタビューで使用していた実際の表現にならって掲載したと、その意図を説明した。
8月20日のシュンが発信した、『大阪駅で戦勝国となった朝鮮人の群衆が、列車に乗り込んでくる』と関連のツイートは、シュンのモデルとなった男性が、広島の自宅から両親の故郷である埼玉県に移動する途中に体験したことを伝えています。
当時中学1年生だった男性にとって、道中の壮絶な経験が敗戦を実感する大きな契機になったことに加えて、若い世代の方々にも当時の混乱した状況を実感をもって受け止めてもらいたいと、手記とご本人がインタビューで使用していた実際の表現にならって掲載しました。
また、6月16日に発信した「既に大人たちが大きな穴を掘り進めている。 話す言葉によるとどうやら朝鮮人のようだ」と関連のツイートも、男性が学徒動員でトンネル掘りに従事したときの経験を紹介しました。こちらも手記とご本人がインタビューで使用していた実際の表現にならって掲載しました。
しかし、そういう「体験談」「証言者がいる」で十分とはされず「(マイノリティへの)不当な侮蔑的描写だ」的なクレームを、少数派ではあるが社会的な影響力は相当ある組織などから受け、結果として現在は見られなくなった……
2年前の、あの問題が、驚くほど今回の問題と通じている、と考える次第です。