「そうです、政治は中道を行かなければなりません」(三島由紀夫「わが友ヒットラー」より)
結婚する際に同姓か別姓かを選ぶ選択的夫婦別姓制度について「導入した方がよい」と賛成する意見は28.9%。現在の夫婦同姓制度を「維持した方がよい」との意見も27.0%あった。最も多かったのは同姓制度を維持した上で「旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」の42.2%だった。
(略)
調査は2021年12月~22年1月、全国の18歳以上の男女5000人を対象に郵送方式で実施。有効回収率は57.7%だった。17年の前回調査では別姓制度の容認意見が42.5%に達していたが、調査方法や質問の聞き方に変更があったため、「単純比較はできない」(担当者)という。
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結果的に、回答者の世代割合で実際より60代が増えてしまったらしく…わかる?5000人に調査すると。その時点ではランダムかもしれない、世代間の割合にも配慮してるかもしれないが…回答の比率ではムラが出ると。選挙のシルバー民主主義にも似ている。
そっちの問題もあるようだが(こういう場合、どう処理すべきかはいろいろある)、そっちの問題は深入りしない。
回答者の半数近くを60代以上が占め、野田聖子男女共同参画担当相は「現実と懸け離れている」と批判した。夫婦同姓の維持を選んだのは27.0%。
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注目したいのは
「導入した方がよい」と賛成する意見は28.9%。
現在の夫婦同姓制度を「維持した方がよい」との意見も27.0%
最も多かったのは同姓制度を維持した上で「旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」の42.2%
いや、行動経済学やん。
この書籍、興味を持ってる子にあげちゃったんで実物を紹介できないけど…ああ、画像あった
ちなみにAmazonのその書籍宣伝にある「試し読み」は最初の一編が丸々読めて面白いので、ぜひ覗いてみて。試し読みに直リンクが張れればいいんだけどね。
こっちからも飛べるかも?
www1.e-hon.ne.jp
あるレストランでの出来事。Aランチ2000円とBランチ1500円があったが、スープとサラダくらいの差しかないのでBランチばか注文が入る状態だった。商売としてはAランチの注文がもっと増えてほしい。そこでSランチ3000円を追加して、Sランチ3000円、Aランチ2000円、Bランチ1500円の構成にすることにした。するとなんとAランチの注文が増える結果となった。一番安いBランチを頼むのはプライドが許さないし、AランチはSランチより安いという自分への言い訳ができたのだ。このようについ真ん中を選んでしまうことを「極端回避性」という。最初は「高い」と言っていたAランチも、選択肢が変わることでガラリと評価が変わるのだ。
実のところ、この「旧姓使用の拡大」と夫婦別姓との話は、法哲学的な意味やテクノロジー的な意味ですごく面白い面が別にあって、そっちのことも語りたいのだけど(簡単にいうと安保法制と改憲や、同性婚とシビルユニオン、或いはケイタイの家族割に「同性カップルを加える」のと「そもそも「他の誰でもOK』に拡大する」の関係の話に近い)、ただ今回の世論調査は、本当に上のランチに勝るとも劣らないぐらい、典型的な「極端回避性」だと思います。
うまいといえば巧いんだけど、露骨に過ぎるのが難点だな(笑)
それにもうひとつ、理屈でいえばそもそも「同姓も/旧姓使用も/別姓のどれでも可能となる」といいった選択肢も増える(個人的にはそれが一番いいと考える)ので、本当は順列組み合わせ状態で選択肢が増加する筈なのだ。
世論調査では「別姓は認めないがその代わりに旧姓使用の拡大を…」の選択肢しかなく、そのへんからして理屈がくるっているのですな。
世論調査には、政府もメディアも、こういう選択肢操作のプロフェッショナルみたいなひとがいて、その芸術的な操作能力によって、自分達の望む方向に数字を出している……ような気がしないでもなくなくなくなくはない。