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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

孫正義vs三木谷を描く「最後の海賊」(週刊ポスト)が完結/広瀬和生「落語の目利き」も終了

メモしておこう。週刊ポストの8月13日号から、10月8日号にわたって連載されたノンフィクションが大西康之「最後の海賊-三木谷浩史孫正義の頂上決戦」であった。



知らんかったけど、「マネーポスト」というサイトで一部は読めるのね。…いや、大半は読めるのか?全部か?

いや待て、どうも「チョト読メル」じゃなく「全部読メル」っぽいぞ???

じゃあ、まず読め。このタグからだと、下から上に読んでいく形だ。
www.moneypost.jp

順番を入れ替えておこう

【最後の海賊】の記事一覧
www.moneypost.jp

三木谷浩史氏と孫正義氏 プロ野球参入から17年、再び交わる二人の軌跡

ネットワーク完全仮想化実現の楽天 携帯電話参入での3年越しの勝利

三木谷浩史氏が「ファーストペンギン」たる所以 モバイル参入、勝利への道筋ビジネス

孫正義氏、全役員の反対を押し切って「Yahoo!BB」を開始した背景

楽天・三木谷氏 世界へ踏み出す強力な武器となる、携帯電話の「完全仮想化技術」

世界を目指した孫正義氏にとって「コンパス」だったスティーブ・ジョブズ

携帯投資なければ楽天の営業黒字1000億円、三木谷氏「それのどこが面白い」

孫正義氏が仕掛けた大博打「ボーダフォン日本法人買収」を振り返る

楽天・三木谷氏 宇宙から電波を降らし日本を覆う「スペースモバイル」計画ビジネス

孫正義氏のスタンス「私は賢い投資家ではありません。『冒険投資家』です」

三木谷浩史氏が難色を示した楽天・田中のMLB移籍時の“不平等条約

三木谷氏と孫正義氏の球団経営スタンスの違い「ビジネス」か「常勝」か

楽天はなぜがん治療に取り組むのか 新世代の起業家・三木谷浩史氏の原動力

孫正義氏の膨らむ志「10兆円じゃ全然足らん。俺は100兆円を動かす」

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孫正義vs三木谷浩史「最後の海賊」

今回読んで、あらためて驚いたのは、楽天の携帯電話って、普通とはかなり違った技術を使っているのだ、ということ。
こういう話はどこかでやっぱり、会社側のプロパガンダが入るから慎重に読んだが、やはり客観的にも画期的、と呼んでいいらしい…
どこかで報じられていたのかもしれないが、楽天とかソフトバンクのビジネス、直接的な興味があんまりなくてスルーしていたのだ。

「Guys.This is the Future!(みんな、これが未来だ!)」

 携帯電話参入を決めた2018年、楽天も既存の技術でネットワークを構築しようとしていた。通信機器大手、中国のファーウェイに基地局を発注して設備投資を安上がりにする程度で、技術的に大きなチャレンジをする計画はなかった。

「仮想化」のアイデアを持ち込んだのはタレックだ。だが、その日の三木谷の話を聞いて一番驚いたのはタレックだった。

 三木谷は楽天モバイルがサービスを始める2020年春から、いきなり「全てのネットワークを完全仮想化にする」と言い出したのだ。そんな度胸はタレックにもなかった。

「最初は既存のネットワークを主に、部分的に仮想化を使い、改良を重ねながら徐々に仮想化の部分を増やしていく」

 それがタレックの提示したプランである。タレックは助けを求めるように山田や平井の顔を見たが、首をすくめるだけである。(ウチの大将は、一度言い出したら聞かないんだよ)二人の顔はそう語っていた。ちなみに楽天は2011年から社内公用語を英語にしており、すべての会議は英語である。

 この日から、3年に及ぶ楽天の壮絶な挑戦が始まった。そして三木谷は賭けに勝った。

 完全仮想化のネットワークは500万件近い携帯電話が発する信号を大きな事故もなく処理し続けている。誰もが「無理」と言った完全仮想化に成功したのである。

 もちろん、つながりにくいエリアはある。どこかで不測の問題が発生するかもしれない。だがそれは「お金と時間をかければ解決する問題」(三木谷)である。

 2021年6月30日、楽天モバイルは世界で最も権威のある携帯見本市「MWC(モバイル・ワールド・コングレス)」がその年に携帯電話の分野で最も革新的な事業を成し遂げた企業に選ぶ「グローバル・モバイル賞」を受賞した。

ネットワーク完全仮想化実現の楽天 携帯電話参入での3年越しの勝利 | マネーポストWEB

RCPは完全仮想化技術を海外の通信会社に販売できるようパッケージ化したサービスで、1&1が最初の顧客になる。1&1はドイツの大手インターネット・プロバイダー。2019年にドイツ政府から5G(第五世代移動通信システム)の周波数帯域を獲得し、ドイツで「第四のMNO(自前の回線を持つ移動体通信事業者)」として携帯電話市場に参入することを決めている。

 ドイツにはドイツ・テレコム(ブランド名はTモバイル)、テレフォニカ(同O2)、ボーダフォン(同・同)の三大携帯電話会社がある。そこに最後発で殴り込みをかけるというのは、楽天と全く同じ立ち位置だ。1&1もRCPを採用することで設備投資額を引き下げ…
www.moneypost.jp


ここだけで驚くに足るけど、その後連載は年代を行きつ戻りつし、かれらの「海賊」ぶりを伝える.

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孫正義三木谷浩史の対比列伝 年表

※もとはこちら 
三木谷浩史氏と孫正義氏 プロ野球参入から17年、再び交わる二人の軌跡 | マネーポストWEB - Part 2

とくに、孫正義は今では、何か別の企業に投資してそのリターンを得る系の仕事が増えて、要は起業家から投資家になっている感じがあるけど、自らを「冒険投資家」と称する。
そこにもやはり新世界を啓く意欲がある、と自認しているのだ

www.moneypost.jp
「ではこれからは孫さんのことを事業家ではなく投資家と呼んでいいですか」

 孫はにっこり笑って切り返した。

「事業家が尊くて投資家は胡散臭いというのでは、(世界屈指の投資家)ウォーレン・バフェットの立つ瀬がない」

 その後、少し思案すると、孫の顔がパッと明るくなった。

「私は『情報革命家』です。それではわかりにくいというのなら、投資家でもいい。先だって台湾に行った時、台湾の新聞が『日本の冒険投資家がやってきた』と書いていました。私はウォーレンのような『賢い投資家』ではありませんが、『冒険投資家』です。そうだ!『冒険投資家』がいい」

 孫はその場で思い付いた「冒険投資家」のフレーズが大層気に入ったようだった。


だいたい、自分はネットにつなぐのは早かったけど、PRIDEだリングスだ、三沢だ橋本だ小川だ、だのにかまけて、ビジネスとしてのインターネット通販とかは見向きもしなかった(だから億万長者になれなかった(笑))

だからプロ野球騒動で「ソフトバンク」「楽天」「ライブドア」とかが登場した時はネット未接続世代と同じく社名を聞いても「それ何?」ぐらいの反応。

その名残として、自分は今でも最初にGoogleを開くため「ヤフーニュース」とかと基本的に縁が薄く、ヤフーの(日本での)影響力とかって、実感という面では少ない。コメント欄の弊害とかヤフートピックスに乗るとバズるとかも含め。



逆に、最終的にこれらの企業が生活に関わってくる自分は、それが「当たり前」の企業になっていた。楽天カードは、一番使われるカードだった、とかそういうこと。
だがこの連載では、それらのビジネスが当然ながら、最初から成功を約束されていたんじゃなくて、さまざまな”博打” ”挑戦”の結果として今がある、ということを教えてくれる。



同時に、この種のノンフィクションが連載を持てる場って減ってきてるなあ、と思った。
ノンフィクションって、基本的に、雑誌に連載して、そこで原稿料と取材費を貰う。そして連載が終わったら単行本にまとめて、出版社も作者もそれで費用を回収し報酬を得る。
そういうビジネスモデルで回ってきていた。田中健五という、文春の切れ者編集者と本田靖春らが組んで、そういう水準をしれっと「当たり前の常識」にしていた。
(当初は、かなり金を出す側としては難色だったが、田中が押し切った…と本田が回想してる)


ところが、今はこのモデルがなかなか維持できない。長編ノンフィクションの「連載の場」がそもそも急減している。
書き下ろせばいいじゃん、とか、ネット連載では?有料メルマガだったら?といっても、これまたなかなかにムツカシイことは、幾多の事例が証明している。

今回は…まがりなりにもまだトップクラスの週刊誌、週刊ポストで連載した。(ネットでも読めるのは意外だったが)
このあと、たぶん加筆されて単行本になるだろう。その時に注目してもらってもいい。
ただ、本日は週末だし、お休みの時間を利用して、上のリンクからこの「最後の海賊」まとめ読みしても面白いんじゃないか。

また、ドコモの「Dマガジン」契約者なら、ちょうどいま、最初から最後まで掲載号が読めてる段階(次の号が来れば、最初の回の掲載号は消えるだろう)
https://magazine.dmkt-sp.jp/

あと、携帯電話の技術面での話なども含めて、批判的な視点から、詳しい専門家が読んで「これは大げさすぎる」みたいなところもあるかもしれない。
そういう点があったら、指摘はお任せする(私はわからん)






最後に、記事からこういうエピソードを。


 三木谷は金も出すが口も出す。2013年のある日、三木谷の本を書いていた筆者は、取材の時間がなかなか取れないので都内を移動する車に同乗した。取材が一段落すると三木谷はスマホを取り出し、イーグルスの試合の中継を見始めた。しばらくすると動画を止め、誰かに電話をし始めた。

「嶋(基宏、現ヤクルト)はミットを動かしすぎだよ。あれじゃピッチャーが投げにくい。メジャーのキャッチャーはあんな構え方しないぞ。どんと構えて動くなって、言っといてくれ」

 電話の相手が誰だったかは確認できなかったが、気づいたら言わずにはいられないのが三木谷だ。

しかも三木谷には「興味を持ったことをとことん勉強する」という厄介な癖がある。言っていることは大抵の場合、間違っていないので、下手に反論すると最先端の理論でコテンパンにされる.

 プロ野球に参入すると、程なくMLBコミッショナーと仲良くなり、有力チームの関係者から最新の戦術やトレーニング法を仕入れてくるようになった。
www.moneypost.jp

プロ野球選手の構えにまで口を出す、たいていは失敗する話のはずだが、そうでもなさそう……