ほかに書きたいこと多いので、首相の退陣表明とかいちいちアレするほどでもないけど、日記替わりの備忘録に。
たとえばブクマなどでも常々広言しているように、自分はそもそも菅政権が掲げたワクチン100万接種、なんて嵐馬破天荒ばりに「あーーっ、菅首相が、またできもしないことを!」と思った(※元ネタは0.01%が知ってればよろし)のだが、それを同政権はみごとに上を言ったのはご承知の通り。実際に自分も二回接種済みなので恩恵を受けているっちゃ受けている。
それは評価しないとフェアではなかろう。そして、最初にそういう目標が掲げられた時、当方も含めて「そりゃ無理だ」「もっともっと時間がかかる」「無責任な大言壮語だ」と論評・予測したメディアなどの言論が、逆にそれが政権の功績である証拠(簡単にできたわけではない)になったのだから皮肉なものだ。
しかし、それは枝葉。
それより何より、マイナスだったのは、まず大前提としての「しゃべりの技術」が、菅氏には極めて欠如していたということである。
批判者も支持者も「菅のしゃべりの『技術』ではない。政治家に必要なのはしゃべりのテクニカルなことより、その内容だ、哲学だ、対話する姿勢だ」というであろう。支持者は、それは十分であった、批判者は、それがそもそも欠如していた、という意味合いで。
ただ、内容以前のところで、あのしゃべりの技術欠如は首相に値しないであろう。
あれだっけ、小説の新人賞でも、誤字が多いものは内容を読む前に一次審査で落とす、となかったっけ。あれだよあれ。
クオモNY知事は、コロナ対応部分も含めて後から検証され、その失政も追及されたけど、リアルタイムにおいて、演説を頻繁に行って、それが市民を鼓舞したというのは、これは、その内実がどうであっても、或る種、別種別枠のプラスポイントだと思う(一番似ているのが大阪の市長や知事なのだろうが…)
それが、まず最初の前提条件であって、そこはダメだけど、〇〇は優れている…は、少なくともいま、一国の政治のトップにはなり得ないのだろう。
「昭和」の「日本政治」なら、なんとかなった!何とかなった人間のオンパレード!だから参考にならぬ!
意外や官房長官時代、そしてそれに至る前の菅義偉は、メディア対応は非常にオープンで、こまめに話を聞くタイプだったと言われる。議員事務所は記者向けに「ノックしないでお入りください」と張り紙があり、有益な情報提供(リークなんだが)もある…勉強会などにもよく顔を出すことで、当時の一線記者(今のデスク、キャップ級)には評判がよく、隠れシンパも多かった、と発足当時はその影響力を懸念する声もあった。このへんは野中広務に似ている。
しかし、それが公の記者会見、それもルーティン的に回し、シンプルでそっけないことはある種の武器にもなる官房長官ではなく、まず美辞麗句で内外を”酔わせ”ねばいけない首相としては全然いかされていなかったのである。ブルペンエースのような「番記者との懇談エース」は政治家には居るわけで、そのブルペンでは剛速球投手に近かったのが森喜朗ともいわれるな(笑)
たとえば菅義偉に、専属のスピーチライターはいただろうか?少なくともこの技術の部分で安倍晋三前首相は、おなじみの滑舌の悪さはともかく(笑)スピーチライターがかなり頭を絞って、インパクトの強いレトリックを生む…少なくとも産もうとしていたのはまちがいないし、そこを本人も重視していたのだが。野党第一党も例に挙げれば、枝野幸男氏もそこは水準に達している(氏が10年前、官房長官として居た時はスピーチが丁寧だったかといえば実のところ、そうでもない。上に書いたようにそっけなさも武器になるシチュエーションだからだ)
菅義偉の言葉は、美辞麗句とは無縁だった。「美辞麗句とは無縁」は、状況によっては褒め言葉となるが、「首相」には当てはまらない、ゼッタイ。
再度言うと、これ内容「以前」の問題であり、それをクリアしてから内容を論じて遅くはないぐらいだ。
そういえば、こんな記事を過去に書いてた
菅首相「悪口だけで国が良くなるか」「議論が、単なるレッテル貼り」「俺は詩人じゃない」~某所での、不満の肉声が面白かった
m-dojo.hatenadiary.com
※ちゃんとオチがあるのでよろしく
…てなことをかいてたら、ツイッターで別のひとの「内容以前の『べしゃり』」についての興味深いツイートがあったので、上への補足になるか異論になるかはさておき、紹介しておこう。
※自分はこの政治家↓のスピーチをまともに聞いたことないので、真偽わからん
下村博文、言ってることに中身がないだけで、話す速度とか発声とかは手本になる、上手な議員喋りなんだけどな。
— びばのん/馬鹿家元 (@kawaviva) November 2, 2020
今じゃ選挙の時ぐらいしかしないけど、下村博文は駅立ちやらせても上手いよ。
— びばのん/馬鹿家元 (@kawaviva) 2020年11月2日
どうせ話の中身をずっと聞いてる人なんか居ない駅立ちで、通行人に対して信頼感と包容力を感じさせる語り口は絶品だよ。
話の中身はまるっきり無内容だけど。
卒業式、入学式、区の主催行事とかで、政治信条や政治的主張が混じらない来賓挨拶をすると、本当に良さそうな議員に感じるんですよ。聞き取りやすいし、落ち着いてるし。
— びばのん/馬鹿家元 (@kawaviva) 2020年11月2日