佐高信氏に関する文章をひとつ前のエントリーで書いたが、そのついでに派生で見つけた文章。
…30年余り前、まったくと言っていいほどしゃべらない阿川が隣にいた。秋元秀雄がキャスターの「情報デスクToday」という番組でである。私はゲストとして時々呼ばれたのだが、アシスタント役の阿川は、秋元のそばで緊張して固まっていた。
(略)
「(略)……ひたすら怖かったですね。家に帰れば父に怒鳴られ、職場では秋元さんに怒鳴られ、悲惨な生活を送っていました」……秋元を、私は骨のあるジャーナリストだと思ったが、当時の阿川は「ひたすら怖かった」らしい。
会議でも番組でも、機嫌が悪くなると、秋元は机にボールペンを突いて、コツコツと音を立てた。その音だけで阿川は縮みあがったという。(略)
番組が始まって1年後にアナウンサーの小島一慶が加わるようになり、阿川は小島にこう言われた。
「秋元さんを避けちゃダメ。番組が終わったら、用事がなくても秋元さんの隣に座りなさい。お酌するとか、お茶に気を配るとかして、とにかくそばにいなさい」
その忠告に従って、秋元の隣に座ると、秋元は時には明け方近くまで、経済の話とか、中東の話とかをしてくれた。
それでも、6年続いた番組では怒鳴られっ放しだった。「(略)……ガキの使いじゃないんだ! バカヤロー!」と秋元のカミナリが落ちた。
(略)
彼女は「そうそう。北杜夫さん、遠藤周作さん、吉行淳之介さん、柴田錬三郎さんなんて方々が家にはいつも出入りしていましたからね」と答え、こんな遣り取りになった。※この一方の会話は、佐高氏が語り手
「吉行淳之介なんか素敵だったでしょう?」
「父の友だちじゃなかったらよかったのにね(笑)。子ども心に色気を感じましたもん」
「かなり歳が違うでしょう」
「男の色気は歳じゃないですよ」
「でも、濃い料理は食べすぎという感じでしょう」
「濃すぎて感覚が麻痺しているかも」
「あっさりしたものでは我慢できなくなってくるのでは」
「私に何を言わせたいの?(笑)」
一から十まで、書き方が佐高信的、と言われりゃそうだが、それにしても、である