内容はタイトルの通り…と言っても「何言ってんだこいつ」「どうやって彼らは時空を超越するんだ?」とか思う諸君もいるだろう。
まあ聞け。
ただ、多少は作品のネタバレをしないと語れないのでそこはご了承をありたい…と言ってもネタバレするのは主に庵野秀明「シン・エヴァンゲリオン」の方ではない。島本和彦「燃えよペン」の方でありまする。
島本氏の代表作の一つである「吼えろペン」は、実はこの「燃えよペン」の続編である。
1990-91年に掲載されたこの作品…実は「漫画家漫画」は、当時としては極めて珍しいものであり、本人も「自分的にはかなりひきょうなジャンルに手をつけたという意識はあった」とあとがきマンガで語っている。それが今では完全な1ジャンル。だが、こうやって時代というのは音を立てずに変わっていくのだろう。
閑話休題。
その第6話「熱血指南炎上編」では、プロダクションに出入りする古いのアシスタントが、自作を主人公の漫画家・炎尾燃(※「アオイホノオ」と字が違うのは仕様です)に読んでもらい、指導を受ける。
最初は、好きな女の子に告白して OK を受けるいう平凡なラブコメだったのだが「インパクトが弱い。」と炎尾はダメだし。
悩んだそのアシスタントは…「主人公は後輩女子に好かれて付き合い始めるが、元から好きだった年上の女性に後から告白され、悩んだ末に後輩女子を振って本命の年上女性と結ばれる」という話を執筆。
すると…炎尾は大ゴマを使って、怒りの鉄拳制裁!!!うなれ うなれ国電パンチ!!(ちがう)
そして
と、作品の出来じゃなくて作中主人公のモラルを問い始めるのである。
(あれ?数十年後に気づいたが、これ高橋留美子「めぞん一刻」批判なんじゃねーか?)
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そのギリギリとした詰め方に、アシスタントはこれが自分の実体験に由来するものだと告白、 実は今でも悩んでいて、どう結末をつければいいのかと教えを乞う。
それの炎尾燃の答えは……
(見開き超大ゴマ)
この時点で、 すでに時間を超えて1995ー96年放送のTV版「新世紀エヴァンゲリオン」に完全勝利!!!
ちなみにこれとは別のエピソード、第2話においてこういうシーンもある。
島本和彦 、すでに芸大でライバルだった男への包囲網をこの時点で敷いていたのだ……。
しかしシンの、いや真の決着は今年、2021年に訪れたのである。
さっきのアシスタントの話に戻るが、
アシスタントは炎尾の一撃で目が覚め、模索する中でついに新しい結末にたどり着く。
その内容は…以下の画像の通り
もはや説明不要。
その女性キャラが、眼鏡をかけていて、深刻な悩みを抱える主人公に(敢えて?)明るく、飄々としたふるまいをするところまで的確に予言している。
これにて、「島本和彦は1990-91年に描いた『燃えよペン』において、すでに2021年の庵野秀明『シン・エヴァンゲリオン』に勝利していた」という私の仮説の説明を、述べ終えるものであります。
(了)
先行ツイートのこちらに敬意
実はこの話は思いついてから、資料となる「燃えよペン」(もう30年前の漫画だとは…)を実家から発掘するまでの時間がかかったのだが、その間にこのようなツイートがあった。
シンエヴァのネタバレ解禁だからやっと言えるけど
— ディープバレー、支援サイト頑張るってよ。 (@deepvalley) March 22, 2021
エヴァのラストを30年前に予言していた奇跡的なシーン
島本和彦先生、流石の偉大さ😌 pic.twitter.com/pR0o9ywV5r
同じ仮説に到達していた、先行者に敬意。