上の空手バカ一代の話題は、マンガにおけるフィクションとノンフィクション、という、これにまつわる談義から出てきました(下のまとめのコメント欄参照)
ジャンプ”和月組”の思い出描く漫画家マンガ…「月曜日のライバル」(いとうみきお)ネット連載開始の反響 - Togetter https://togetter.com/li/1206233
うーん、論評は控える。
もうひとつに、リンクを張っていく
山月記 中島敦
http://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/624_14544.html
……隴西ろうさいの李徴りちょうは博学才穎さいえい、天宝の末年、若くして名を虎榜こぼうに連ね、ついで江南尉こうなんいに補せられたが、性、狷介けんかい、自みずから恃たのむところ頗すこぶる厚く、賤吏せんりに甘んずるを潔いさぎよしとしなかった。いくばくもなく官を退いた後は、故山こざん、※(「埒のつくり+虎」、第3水準1-91-48)略かくりゃくに帰臥きがし、人と交まじわりを絶って、ひたすら詩作に耽ふけった。下吏となって長く膝ひざを俗悪な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺のこそうとしたのである。しかし、文名は容易に揚らず、生活は日を逐おうて苦しくなる。李徴は漸ようやく焦躁しょうそうに駆られ…
(略)
……羞はずかしいことだが、今でも、こんなあさましい身と成り果てた今でも、己おれは、己の詩集が長安ちょうあん風流人士の机の上に置かれている様を、夢に見ることがあるのだ。岩窟がんくつの中に横たわって見る夢にだよ。嗤わらってくれ。詩人に成りそこなって虎になった哀れな男を。(袁※(「にんべん+參」、第4水準2-1-79)は昔の青年李徴の自嘲癖じちょうへきを思出しながら、哀しく聞いていた。)そうだ。お笑い草ついでに、今の懐おもいを即席の詩に述べて見ようか。この虎の中に、まだ、曾ての李徴が生きているしるしに……
ああ、もうひとつだけリンクを張る
ドラマ完結「アオイホノオ」の私的総括と、島本和彦氏に関する私論〜(ドラマはBSで再放送!) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141004/p5
…(ドラマの)最終回で、ヘッドギアをつけた「燃えよペン」「吼えろペン」の「炎燃」先生が、ホノオの現在の姿として登場したのは、実をいうとそういうネタばらしというかエクスキューズがなく、「ホノオ君は漫画家になれたのか」というのをドラマ単体として示しておかないと、ある意味本当に「山月記」みたいな印象を受ける人もいるだろう、という配慮があったのだと思う。
(※この「アオイホノオは主人公がその後漫画家になったと(島本和彦氏と重ねて)思えるからいいけど、その保証がないとつらすぎる…」という指摘は、ゆうきまさみ氏のつぶやきで読んだと記憶している。ちょっと探せないけど)
というのもへんで、そもそもジャンプで何度も連載をもった時点で巨人と契約したプロ野球選手みたいなもんだし、さらにそもそも、今回の漫画が大ヒットするかもなんだけどね!勝手に「つらい」と感じるのも一方的ではある、なと。