最初に言っておくと、「よふかしのうた」って、なんか「俺の手に余る」作品なんだよね。
まず、ストーリーの説明が難しい…アマゾン紹介文に頼ろうと思ったが、心もとない。
『だがしかし』コトヤマ待望の最新作!!恋と青春は、夜に生まれる__
さあ、たのしい夜ふかしの時間だ!
不眠が続く中2・夜守コウは、
初めて一人外に出た夜、美しい吸血鬼・七草ナズナと出会う。「今日に満足できるまで、夜ふかししてみろよ。少年」
彼女との二人きりの夜ふかしが
コウの運命を大きく変えていく__「これは、僕が、七草ナズナに恋をするための物語だ」
眠れない夜を過ごす全ての人へ贈る__
真夜中のボーイ・ミーツ・ガール!連載開始から超絶大反響!!
ふたり たのし よふかし ラブストーリー開幕!!
- 作者:コトヤマ
- 発売日: 2021/04/16
- メディア: コミック
努力して、説明してみる。
・夜守コウという中学生が、吸血鬼七草ナズナと出会う。
・コウは吸血鬼になりたいと頼むが、それには「眷属」になるため、精神的に吸血鬼に恋をする必要がある
・コウはいろんなトラウマを抱えているので恋が素直に出来ないので、恋をする努力中
・ただし、制限期間があり、その期間中に吸血鬼にならないといろいろ困る
・今の関係は、吸血鬼間のしきたりにも反しているので、仲間からも複雑な目を向けられてる
・ナズナは、吸血鬼の中でも、本人も知らないような何か特殊な過去があるようだ(謎)
・その吸血鬼を滅すべしと活動するハンターもいる
・不死身の吸血鬼だが、弱点があり、それは吸血鬼が人間だった時代の過去と関係している
・・・・・・・・みたいな設定がいろいろあったはず(記憶違いや誤読あればすいません)
吸血鬼事情にも詳しくないので、上の吸血鬼設定、どこからどこまで作者のオリジナル設定なのか、吸血鬼の特徴としていろんな物語で共有されているかも知らぬ。
特に「恋」や「過去」にまつわる設定が、はたしてこれからどのようになっていくのか、それも判じ難い。
そもそも、「手に余る」感があるのは…これ何度か書いたが、前作「だがしかし」を「あ、めしばな刑事タチバナの駄菓子版、少年雑誌版ね、そーゆーことね、完全に理解した」と思ってたら、後半部でやっぱり、思春期の少年の孤独と焦燥感と、そして成長なんてものをうっかり描かれてしまって、シテやられた感じがあるからだ(笑)
で、本題に入ります。上の「ナズナには本人も知らない特殊な過去がある」「仲間からも複雑な目を向けられている」の関連で、いろいろあって吸血鬼仲間に会いに行くコウ・ナズナだが、仲間の吸血鬼は夜間高校の教師をしている(吸血鬼なので夜のおしごと)。そこに正体を隠してやって来た二人は「見学の中学生」を装うが、思わぬ状況にちょっとぎくしゃくなナズナに対し、コウは「ちょっと優等生時代を思い出すか」とつぶやきながら…
こういう孤独なキャラクターなら、普通に「内向的、虚無的で友人がいない」と描くのがスタンダードだと思うんですよ。具体例はあまり思いつかないけど。
しかし、この作品ではこのように
「コミュニケーションをとって、みんなの人気者になろうと思えばすぐにそうできるスキルがある。だけれども、それでも、大きな孤独を抱えている」という描き方なんですよ。
それは、作者のどういった選択なんだろうか…また類似の作品はあるのだろうか。「彼は良きサラリーマン、家庭人だったが、本当はそこから逃げたかったんだ」という物語はけっこうあったかな。
今後もこの「よふかしのうた」は、自分の”手に余る”物語であるだろう。
それはおそらく「優れた作品」だということだと思う(笑)
たぶん、アニメ化や実写化もされていくんじゃないかな。