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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「千年の都を、この砲で落とす」-メフメト征服帝の話が「火を継ぐ者たち(乙女戦争外伝2)」でネット公開中

乙女戦争外伝II 火を継ぐ者たち

大西巷一
名作「乙女戦争」外伝第二弾は、本編の後日談。15世紀ハンガリーを舞台に、イスクラ、フニャディという二人の英雄が激突する。シャールカの娘クラーラの活躍、そして南から手を伸ばす強大なオスマン帝国…。フス派の戦法を知り尽くした者達が欧州の次代を巡って争う中世西洋歴史戦記!

現在、ネット上で公開中なのが5、6話。ここから本格的にメフメト征服帝が登場するのだった。

comic-action.com

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メフメト征服帝、ハンガリー人の「オルバン砲」でコンスタンティノープル攻略に乗り出す(乙女戦争外伝2 火を継ぐ者たち)

一応説明しておくと、外伝の副題「火を継ぐ者」とは…もともと「乙女戦争」で描かれたフス戦争は、最初期の「銃」が登場した戦争。これによって騎士階級が将来的には滅びていき、戦争も、社会構造自体も変わっていった転換点の物語でした。その火器戦法を受け継いだから「火を継ぐ者」。(最初「火」を「炎」と誤記してましたスイマセン)

歴史とは皮肉なもので、カソリックと血で血を洗う構想を展開していたフス派は、その後は傭兵集団として「イスラムの剣」、すなわち巨大軍事国家オスマンとも対峙し、キリスト教圏全体を体を張って防衛することになりまつ。(この設定は創作ながら、「そういう状況があり得る」フィクションたり得ているということですね…←※と書いたら、これがまさかの事実だそうな。下ツイート参照)

いや、大西史劇を油断して読んでいると、本当だと思ったところが創作設定だったりするんだよ!そこで身構えてたら、フェイントをかけられた次第。


重要人物を、作者自身がブログで紹介している。(上の、フィクションと事実の混淆部分についても自ら解説してる)
blog.livedoor.jp
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そんな中で、人間ってえのはたいしたもので「人殺しの技術」だけは宗教の壁も国境も越えて、ものすごいスピードで広がり、進化していく(苦笑)

そんな中、フニャディの娘で、捕虜となりオスマン後宮に入ったという設定の女性を触媒に、ある男性の姿が描かれる。

そう、征服帝メフメトだ。


オスマン帝国とはきわめて重要な歴史のピースですが、何しろ中東・イスラム世界は日本ではなじみがうすい。
それでも彼は塩野七生の代表作で描かれているのだから、知っている人も多いだろう。

コンスタンティノープルの陥落 (新潮文庫)

コンスタンティノープルの陥落 (新潮文庫)

というか、彼でもとっかかりにしないと、なかなか関心を持ってもらうこと自体が難しいと思うので…


ja.wikipedia.org


オルバン砲は、「技術者をちゃんと評価しないとよその国の利益になりますよ」という教訓でもある(笑)。
大砲だけでなく、小銃についても…いつのまにかスルタン親衛の奴隷部隊、改宗キリスト者で構成された「イニチィエリ」こそが、小銃の集団斉射戦法の第一人者になっていったのです…

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メフメト二世の成長 (乙女戦争外伝2 火を継ぐ者たち)

雑誌の方では、もう少し話が進んでおりますが、ネットの無料公開を見つけたので一応紹介しました。

CEDDİN DEDEN


あ、上のツイートにもあったけど、アクション公式サイトよりちょっと早くニコニコ静画では公開されてるんだな、7話が。
コメントが盛り上がっているわ
seiga.nicovideo.jp