これから書くので、まずキンドルで購入する。
スピリッツに載ってた「アオアシ」の小林有吾さん×「GIANT KILLING」ツジトモさんの対談めっちゃよかった。見聞色の覇気使いが互いの作品の面白さの骨格を解き明かしあうところから始まる、ワクワクしっぱなしの対談。実は源流がスラムダンクというのもまたアツい。
— 藤田 卓也(PARTY出向中) (@2gta9) 2020年11月22日
ちょっとコンビニ行ってくる🏃♂️
— やす@what is "jubilo pride"? (@For_Jubilo) 2020年11月21日
サッカー漫画『アオアシ』作者・小林有吾氏と『GIANT KILLING』ツジトモ氏のオンライン特別対談が、21日発売の『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)52号に掲載された。https://t.co/bByyVksZCJ
購入した。
しかし、スピリッツは最近出版社の垣根を超えまくってるな。この前も同誌で、とよ田みのる氏の、自身をモデルにしたデビュー時代回想記を読んだけど、基本彼は「小学館で芽が出ないで、講談社の『ラブロマ』でついに大成した」という人なのに、美談でオブラートに包みながら、そのことがわかるように率直に書いてた。…。
閑話休題。
両作品とも「サッカーの、一見わかりにく戦術論を漫画に落とし込んだ」ことで非常に優れた作品になってるわけだけど、アオアシははっきり「GIANT KILLING」の影響下にあることを、最大のリスペクトを持って作者本人が表明したことがまず興味深かった。
要約
・2009年、アオアシの小林先生は、友人からジャイキリを勧められた。
・その時は「監督が主人公」「戦術を漫画にした」…だが「それで説明できるもんじゃない」「得点シーンで泣ける漫画だ」(いいセンスの友人だ…ひとかどのかただろう)
・そして2014年、サッカー漫画を描こうという時に真剣に全巻読んだ。
「こういうやり方がある」「暗闇で光を持って立ってくれているようなもの。その方向に自分も走り出した」
つづく
GIANT KILLING公式コミックガイド フットボールダイジェスト ETU特集号
- 発売日: 2020/12/23
- メディア: 単行本
個人的最注目点は「カメラワーク」について語った点
ここよここ
すごく重要なのでテキスト化するね
小林 GIANT KILLING のすごいところはたくさんありますけど、1番は「カメラ」です。他のスポーツ漫画って、作家さんが選手の横でカメラを構えて一緒に走ってるイメージですよね。汗をかきながら必死に走って自分の大好きな主人公と一緒に戦っている。でもツジトモ先生は違うんですよ。監督の横にいるかって言うと、 それも違う。
ツジトモ どこどこ?
小林 GIANT KILLING のカメラってテレビカメラなんですよ。スタジアムで繰り広げられる、あの最高のエンターテインメントを遠く離れた人たちに伝えるためにテレビ中継があるわけじゃないですか。つまり最も多くの人がサッカーを楽しんでいる視点、それがテレビカメラなんです。
ツジトモ先生はフィールドを走らないしベンチにもいないじゃあどこにいるかと言ったらモニター室にいるんですよ。「はい1カメ!次2カメ!」みたいな 。それこそ俺たちみんなが一番サッカーに熱狂している視点なんですよ!
自分は以前から、スポーツ中継及びスポーツ漫画…いや漫画全体に関して「カメラワーク、カメラアングル」のことがずーっと気になってたんです。
一応、過去の論考集があるんだ。
「カメラの構図(コマ割り)」という20世紀の魔法 〜町山智浩「鈴木先生」評をきっかけに -
d.hatena.ne.jp
ほったゆみの壮大な実験「はじマン」が、コマ割り=カメラアングルの謎を解く、啓蒙する。 -
d.hatena.ne.jp
「イマジナリーライン」「切り返し」とは何か?「20世紀生まれの魔法」カメラアングルの理論とは -
d.hatena.ne.jp
DEEP「ワンカメラネット中継」から「カメラアングル」とは何かを考える。実際に見たら、果たしてどうなる? -
d.hatena.ne.jp
漫画、アニメと「カメラワーク」の話のメモ。「想像上の自分をそこに立たせる」「隣の部屋に行く時、廊下を歩く場面を描く」… -
d.hatena.ne.jp
『顔マンガ』という概念から再度、カメラアングルやコマ割り自体が『若い表現形式だ』ということを考えたい -
d.hatena.ne.jp
動画をマンガ風に変換する技術「Comixify」、ワルシャワ工科大の研究者らが発表
japanese.engadget.com
マンガが「スマホファースト」になると「コマ割り」は不要な技術になるのだろうか…それはいつ?
m-dojo.hatenadiary.com
ただ、これだけ論考しても、実際の作品を見てカメラワークに個性があるなー、とか優れてるな、劣ってるなー、とかはまるで考えない(笑)。優れた漫画ほど、カメラワークのことなんかに着させないほど話に引き込むってこともあるのだろう。
だれにどんな個性がある、というのもわかってない…ので、こうやってプロがプロの作品の映像部分、カメラワーク部分を言語にしてくれるのはありがたい。俺は漫画を読まず情報を読む!(ラーメンハゲ風に)。
他の読者の皆さんは、ジャイアントキリングのカメラワークを、
そんなふうに感じたことありましたか??
こんな賞賛を受けておもはゆかったのか、ツジトモ先生は
「カウンターで攻守が一瞬で入れ替わる、虚を突かれる感覚を漫画で再現したかった」
と明かしつつ、
「それはスラムダンクから受け継いだ。自分の発明ではない」と謙虚。
「先人がやったジャンルを安易にまねしちゃいけない!」とガチで思ったら、名作『アオアシ』は生まれなかった…という逆説
あんまりオリジナリティに敬意を払っていると、「ジャンル」すら作れなくなる、わけだ。
確かにアオアシを最初に読んだとき「おっ、ジャイキリみたい」と思ったもの。もちろん、法的な意味合いではどこをどう叩いてもジャイキリの著作権をアオアシは侵害していない。だが、法を超えたモラルや美意識の問題で「…って、〇〇がすでにやってるじゃん!」と批判されたり、また作者や編集部がその美意識の前に自主規制して「鳥の目を持ち、全体を俯瞰する才能を持ったサッカー少年を軸に、サッカーの戦略の面白さを描きたい!でもサッカー戦略漫画は既にジャイキリが…」とやってたら、「アオアシ」は生まれないでごんすな。
その教訓から
学ぶべし学ぶべし。
他誌をまたいでジャンルでつながればWIN-WINになる。
漫画ファンは雑誌や出版社を読む以上に、そのジャンルを読んでいるのだ。アオアシを読んでいる人間が、同誌のXXXXX(自主規制)を楽しんで読んでいるとは思えないし「ジャイキリ」のファンがモーニングの「・・・・」(自主規制)の単行本を買ってるとも思えない。
「ジャンル」によって横串を刺していくほうが、よっぽど単行本の売り上げなどには貢献するだろな、と思った次第。