なんどか紹介したことがあったが、原文を引用したサイトがあったので、資料として引用しておこう。
…では『教育勅語』とは何なのか、
これについて台湾人林景明氏から面白い話を聞いた。
氏の父君は小学校の教頭(校長は必ず日本人で、教頭はいわば台湾人の最高位。ただし校長は転任するので実質的には校長であったという)で、いわゆる皇民化教育を率先して行った人であった。<『存亡の条件』
日本人から見れば、まことに頼もしくかつ信頼できる現地の協力者だったわけである。氏は朝に夕に『教育勅語』を奉読していたが、常に家族を
「日本人でさえ、これだけのことを言えるようになったんだぞ」
という形で訓戒していたという。
中国人の目から見れば、『教育勅語』は儒教を基本とする一つの道徳律である。
そして日本人はかつて、「東夷」であり「化外の民」であった。その化外の民、いわば蕃族にもやっと中国の教化が及び、そこの皇帝が、このようなりっばな勅語を出せるまでに進化した。
彼らですら、これだけのことを言っている。
まして、われわれにおいておや。
中国人であるわれわれが、自らの伝統の履行において、彼ら(日本人)に劣ってよいであろうか。
みな朝夕これを読んで、自戒するように――
ということであったという。同氏の学生への『勅語』論義は、表現に差はあっても、基本的には同趣旨であったろう。
中国人なら、こういう受けとり方以外はできまい。
だが、当時も今も、天皇制を支えた支柱の一つである『教育勅語』を、このような観点から見たものはいないと思う。
以上、
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