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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「きのう何食べた?」第二話、オバちゃん一家は1から10までアウト?だけれども…色々話

ドラマ「きのう何食べた?」、先ほど2回目が放送されました。
この作品は、テレビ東京の公式無料配信がある。
120万回という史上最高の再生数を、第一話は記録したという。
video.tv-tokyo.co.jp

av.watch.impress.co.jp


ここ最近、漫画を実写化したドラマが非常に出来の良いものが多く、昔持っていた「漫画の実写なんて、基本的にはアレなものだよな」という偏見は個人的には完全に払拭されました。

昭和元禄落語心中
弟の夫
トクサツガガガ
などなど。

トクサツガガガは、一挙再放送があるとかなんとか
https://news.nicovideo.jp/watch/nw5134993news.nicovideo.jp



もしこの前ブログで提案した「優れた漫画の実写化に対して与える賞」とというのが本当に制定されたとしたら、これらの中で何が受賞するかさっぱり分からなくなるところであるのう。
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ただ実際にドラマを見ての感想を一つ。
シチュエーション上、ドラマの中では必然的に恋愛関係の男性二人のやり取りが行われるわけだが、そうすると必然的に「演技合戦的」な様相を帯びていく。
自分はドラマとか演劇とか、俳優の演技などを評論する能力はあまり「ない」という自信はあるのだが(笑)、そういうド素人の目から見る限り、この主人公知シロさんを演じている西島秀俊も、いい俳優であるとは思うのだが…それにしても内野聖陽と、一対一で演技合戦をするというのは、いささかと言うか大いに「かわいそう」だと思う。ちょっと格が違いすぎるなぁ…と感じたのでした
まこの辺は異論反論多いでしょうから、 それも承知の上で。(炎上案件)
というか枝葉だしな、本論はここからだ(笑)


今昨日何食べたはいろんな人にお話しして手元にないのだが 、2話は主人公シロさんが、とあるおばちゃんと出会う回が実写化された。
その出会い方が 、ビリー・ワイルダーが映画界に認められる第一歩となった伝説のエピソードをほうふつとさせるのだが(笑、あとで説明する)、そんなことはこれまた枝葉なので、これまたまぁどうでもいい。

やっと本題に入ると、その後彼女の家にシロさんが招かれた後、あらぬ誤解から想像になり、その流れでシロさんは自分がゲイであることを明かさざるを得なくなり、そしてあっという間に彼女はその事実を家族たちに、言わば「アウティング」してしまい、その結果としてシロさんと彼女ら一家は、家族ぐるみでのお付き合いが生まれるというわけでの。


ただ今回、ドラマ化されて、あまりにもはっきり分かるんだけど、あのおばちゃんとその一家のやってることって「1から10までアウトだよな」てことですよ(笑)。
誤解と思い込みで相手を性犯罪者だと決めつけて大騒ぎする。
ゲイだと聞いたら全く珍しいものを見たという好奇心と楽しさでいっぱいになる。
(かろうじて身内だけの話に治まったらしいが)ぽんぽんぽんぽん、「彼はゲイだ」との情報を広めて行く。
この人はゲイだから「家に連れてきても(恋愛、不倫関係を疑う)心配はない」と決めつける。
その一方で、ご主人とシロさんがちょっと親しく会話してると「それじゃシロさんが、お父さんを好きになっちゃう!!」


・・・もうね、 LGBT を相手にした『べからず集』みたいなもんだ(笑)
※といいつつ、たとえばアウティングにしろ、ゲイであることを軸に他人との性愛関係を「心配ある」「心配ない」とすることなどの、ほんとの是非は、実はもう少し議論の余地があるのだが…ただ、それはまたちょっと別の話として置いておく。


ただ面白いことに、(どうも次回その話が描かれるようなのだが)、 へたに努力して、生身の感情を糊塗して、「LGBTも立派なひとつの生き方ですものね、母さんも理解してるわよ」とこわばった顔で棒読みする肉親より、あからさまに好奇心や偏見をまといながらも、本音と言うかあけっぴろげと言うか率直と言うか…そういう態度で接しているこのおばちゃん一家の方が、当のゲイたるシロさんにとっては気楽で心許せる態度であった…という逆説がまた描かれているのである。


自分は、この「きのう何食べた?」に登場する、シロさんの両親を、極めて優れた、類例なく斬新な「ヴィラン」(悪役)のキャラクターだと認定している。具体的に挙げれば、「内海課長あたりをトップグループとする、平成漫画ヴィラン列伝の中で10指に入る存在」だと思っているのである。

きのう何食べた?」のシロ両親は「希代のヴィラン(悪役)」である


以前、「悪役談義」をここで中津宗一郎さんらと楽しくやってたとき、
togetter.com


うっかり失念して悪役ベスト10に挙げられなかったのは、今でもちょっと痛恨でありました。
ここでは、彼らがそんな巨大な悪役であるゆえんを書いている。簡単に言えば、今や「文明の敵」にならざるを、得ないからだ…
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・・・・
というわけで、ドラマ「きのう何食べた?」第二回に関しては
・あのおばちゃんとその一家のやってること、本来は一から十までアウトだよな
・それでも「正直、率直、ウソが無い」はそんなアウトを含めた七難を隠すもので、「本音が違うことは駄々洩れなのに、頭で覚えた正論の言説をふりかざす」人よりも良い、と評価されることだってある。
・次回は、そんな人の典型たるシロの両親(お母さん?)が登場するかもしれない。この人物は、平成マンガ史の「ヴィラン」(悪役)トップ10に入る大悪党なので、注目されたし。

…というのが、記事の要約でございます。
あとついでにもう一度。
西島秀俊もいい役者なんだろうけど、内野聖陽との一対一の演技合戦となると、ちょっと格が違いすぎて気の毒だと思う、個人的には」と。(わざわざ炎上案件を再論すな!)




おまけ シロさんとおばちゃんの出会いはワイルダー

ビリーワイルダーは、とある映画での「男と女が出会う、印象的な場面のアイデアはないか?」と求められ「デパートで、パジャマの上だけ売ってほしいと騒いでいる女が、パジャマの下だけが必要なんだと同じ売り場で騒いでいる男と商品を分け合う」というアイデアを即興で出して認められたんだとか。(上下は逆かも)