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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

コカインについて「ホームズもやってたな」を信じてくれなかったので引用しておく

www3.nhk.or.jp

傭兵ピエールという佐藤賢一歴史小説があったが、陽性ピ… やめとこ

傭兵ピエール(上) (集英社文庫)

傭兵ピエール(上) (集英社文庫)

傭兵ピエール(下) (集英社文庫)

傭兵ピエール(下) (集英社文庫)

でだ。昨日に続いてシャーロック・ホームズ話になってしまうが、この報道を受けてある人とおおむねこんな話をした。


「コカインと言えば、小説上の有名な探偵であるシャーロック・ホームズもコカイン常用者だ」
「でたらめ言いなさんな」
「いやほんと。ある長編では冒頭からいきなりコカイン注射の場面」
「信じられん」
「というか、その長編は締めくくりもコカイン。コカインに始まってコカインに終わる」
「そんな馬鹿な」


…明確な証拠を突き付けないとだめかー。

221b.jp

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シャーロックホームズはマントルピースの角から瓶を取り、しゃれたモロッコ革のケースから皮下注射器を取りだした。彼は細く白い神経質な指で繊細な針を調整し、左手のシャツの袖口を捲り上げた。しばらくの間、彼は無数の刺し傷で穴だらけになった筋張った前腕と手首を考え込むように眺めていた。遂に、彼は注射器を突き刺して、小さなピストンを押し下げ、満足げな長い溜息と共にビロードで縁取られた安楽椅子に沈み込んだ。

何ヶ月もの間、私はこの行為を一日に三度目撃していた。しかし私は、何度見ても納得できなかった。それどころか、日が経つにつれて、この光景を見るとさらにイライラするようになっていた。そして夜が来ると、私は自分に抗議する勇気がないと考え、良心の呵責がつのってきた。私は、この件に対して意見するべきだと、何度も決意を固めていた。しかしホームズには、冷たく平然とした雰囲気があり、あえて意見を言うのはかなり難しかった。彼の素晴らしい能力、見事な手法、私が見てきた驚くべき資質の数々、これらすべてが、私の気持ちを臆病にし、彼に介入するのを思いとどまらせていた。

しかしその午後、私が昼食の時に飲んだボーヌのせいか、彼の極端な緩慢さによって、いつにも増して怒りが大きくなったせいか、私は突然、これ以上我慢できない気になった。

「今日はどっちだ」私は尋ねた。「モルヒネかコカインか?」

彼は開いていた黒活字の本から物憂げに目を上げた。

「コカインだ」彼は言った。「七パーセントの水溶液だ。やってみるか?」

(後略。この後、コカインの害についてワトソンと軽く言い争いになる)


このあといろいろあってー・・・ラスト(ネタバレとか気にしません)

「かなり不公平な結果になっているな」私は言った。「この事件で全ての仕事をしたのは君だ。私は妻を得た。ジョーンズは名声を得た。君には何が残る?」

「僕には」シャーロックホームズは言った。「まだコカインの瓶が残っている」そして彼は白く長い手をそれに伸ばした。
四つの署名 第12章 Page. 11

いちいち、時代背景的にこの時代は(倫理的にはともかく、一応は)合法だっただなんだとかは言いません。
もうシャーロキアンの間では、語る意味がないほど有名な話だからね。しかし、逆に世間には、あの有名な、「名探偵の代名詞」であるところのシャーロック・ホームズ(というか、代名詞としてしか知らないのだ!)が、原作でコカインを注射器で体内にぶっこんでいた、という話を知らない人も多い。
というか、実際に目の当たりにしたので、紹介した次第だ。

特にオチは無い。


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m-dojo.hatenadiary.com

ホームズを幕末明治に当てはめると、「最後の事件」のころ、日本では日清戦争前夜。ベイカー街でホームズが留学中の夏目漱石南方熊楠に会ってもおかしくない…ぐらいの時代背景をイメージしてください。
そういうパスティッシュもある

眼中の悪魔 本格篇―山田風太郎ミステリー傑作選〈1〉 (光文社文庫)

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ホック氏の異郷の冒険 (天山文庫)

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