これも前日紹介した
- 作者: 伊藤隆
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/01/23
- メディア: 文庫
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に出ていて知ったのだが、タイトルの通り。
日本史を高校でとってた人とかは常識なのかな?(私は実は専攻してない)
1841年、全アジアに衝撃を走らせた「アヘン戦争」の脅威を、江戸幕府は何とかかわすことに成功したのだった。
むろん、これは清がそういう目にあったという「先行例」があってこそのものだし、またアメリカはインドを植民地にしていないのだから、アヘン取引に魅力を感じないだろう。ハリスのピューリタン性や、アメリカ外交がしばしば(一方的だったり都合の悪い時は打ち出すがそれでも)前面に打ち出す「道義性」のたまものだろう。
またハリスは「うちはアヘンを禁止してもいい、だから条約を結ぼう・・・イギリスやフランスとの交渉じゃそうはいきませんよ?これを前例とすれば守りやすい」という駆け引きの武器にも使ったらしい(笑)。
イギリスは…
http://blog.goo.ne.jp/abc88abc/e/9cf9557e9969e17b8c59405a0966c50c
から、ある本を孫引く。
外務大臣のラッセル伯は、交渉役エルギン伯に天津条約と同等かそれ以上のものを確保せよと指示した。(皆村武一著「『ザ・タイムズ』にみる幕末維新」参照)。
『ザ・タイムズ』にみる幕末維新―「日本」はいかに議論されたか (中公新書)
- 作者: 皆村武一
- 出版社/メーカー: 中央公論社
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資本主義のなお未発達なアメリカの代表者によって作成された通商条約は、世界資本主義の中心であるイギリスにとって、いつの日にか、改訂を必要とする不満な点を残していた。しかし日本にとっては、アメリカが一番乗りだったことは、その後の通商交渉において大いに幸いした。というのは、アメリカとの通商条約がその後の通商条約の先例になったからである。
日米修好通商条約は、アヘン輸入の禁止、従価20%の綿製品輸入関税、居留地外通商の禁止など、それまでイギリスがアジア諸国との間に締結した条約にみられない、日本側に有利な条項を含んでいたのである。じっさい、アメリカ代表ハリスは、「一隻の軍艦の護衛もつけていないアメリカ合衆国」と「もっとも有利かつ名誉ある条件で」条約を締結しておけば、「他の諸国が大艦隊を率い」「いっそう大きな、あるいは過大な要求」を突きつけてきたときに、この前例を示して拒否できることを幕府に強調した。
しかしそういう利害やエゴによりつつ「アヘン禁止条項」を含む条約を結べたことは本当に近代日本にとってラッキーだった。
他の非西欧国のヨーロッパとの条約(例えばタイとか、李氏朝鮮とか、トルコとか)はどうだったのだろう。またアヘンそのものは、シャーロック・ホームズにコカインが出てきたり、アヘン窟(唇のねじれた男事件)が出てきたりするけど、違法化はどんなふうに進んだのだろう。
そういうことも気になるな。
こんな文章があったす。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1135845306
アヘンの取り扱いについて当時、日本は世界では例外だったのです。
イギリスや諸外国では、悪徳かつ違法なものとされていませんでした。
後の時代に出てくるシャーロック・ホームズは阿片の常用者ですが、それで犯罪者ではありません。
またアヘン戦争を「恥すべき戦争」と反対したグラッドストンも阿片を日頃摂取してました。
あくまで、酒や煙草と同じふうに思われていたのです。
常用者は中毒者と同義ではなく、過剰な摂取やそれで生活を乱すことが疎まれたのです。
中国でも阿片は栽培されてました。
グラッドストンは国内流通を禁止しているのを無理に売ったと解釈したから批判したのでした。日本では元々流通していませんでしたから、交易品となったか疑わしいものがあります。
ハリスがわざわざ阿片禁止を入れたのは、清教徒的な生真面目さによる道徳観とイギリスへの反発と思います。