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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

【完成】「2017年マンガ10傑」を選定します。第2回「内山安二賞」なども併せて授与。

ぱち
ぱち
ぱち、と。

本格的なマンガ賞が発表される前に、先行して発表しようと思います。ことしの「このマンガがすごい!」や「このマンガを読め!」はいつ発表なのかな。



それでは・・・・・「2017年漫画10傑」をだらだらと。その前に、この賞の特徴、注意点を。
【重要な注意点】
「10傑」は1−10位の順位付けをしているわけではありません。
うちの賞の基準として、、一度選んだものはことしは自分が実際に面白いな、すごいな、と思っても優先しないようにしています(多少の例外はある)。
「なんであれ入ってないの?」と思うものは、これが理由なことも多いと思います。
※この記事の末尾に、過去の賞へのリンクがあります。
同時に、2017年から、それを補う特別枠も作りました。


それではいってみよーー

まず、ここに、一覧を掲載

したほうがいいという声があったのでね。なるほどね。では、一覧化します。5本は、既に紹介してますが…ここでまとめて、全部。
 

作品名 作者 表紙
10傑 レイリ 室井大資,岩明均
10傑 シューダン! 横田卓馬
10傑 淋しいのはアンタだけじゃない 吉本浩二
10傑 ふたり生徒会 ゆずチリ, かとそん
ふたり生徒会(1)

ふたり生徒会(1)

10傑 保安官エヴァンスの嘘 栗山ミヅキ
10傑 ドラえもん物語 〜藤子・F・不二雄先生の背中〜 むぎわらしんたろう
10傑 先生白書 味野くにお
先生白書

先生白書

10傑 創世のタイガ 森恒二
10傑 かくしごと 久米田康治
かくしごと(1) (KCデラックス)

かくしごと(1) (KCデラックス)

10傑 桐谷さん ちょっそれ食うんすか!? ぽんとごたんだ
第2回内山安二賞※啓蒙、情報に特に優れた作品から 服を着るならこんなふうに 縞野やえ
連載山場賞※連載の中「その年、特に盛り上がった」作品から GIAINT KILLING(東京ダービー編)  ツジトモ 綱本将也(原案)
特別功労賞※連載をその年に終了した作品から へうげもの 山田芳裕

■「2017年マンガ10傑」(その他特別賞)

レイリ /室井大資,岩明均

長篠の戦いから4年、黄昏ゆく武田帝国と勃興する織田軍団の血戦のはざまで、数奇な運命を生きる少女の名はレイリ。巨匠渾身の原作を新感覚の鬼才が作品化! 衝撃の本格戦国時代劇、開幕!!難攻不落と呼ばれ、天下の堅塁と呼ばれた遠州高天神城。武田の最前線拠点であるこの城は今、織田徳川連合軍に完全包囲され、武田中枢が下した決断は城の放棄だった! 城の主将をつとめるのはレイリの命を救い育てた恩人・岡部丹波守。ここにおいて少女は立ち上がる……心のおもむくままに! “盾”となって死ぬために!! 高天神城血戦編、開幕!!


なんどか紹介…というか、この前の「おんな城主直虎」エピソードに関係した「高天神城」の話として、紹介しましたね。
※とある戦国史が専門の学者に、私がこの作品を紹介したツイートから。

@HIRAYAMAYUUKAIN そうだ、以前「漫画は最近読まなくなった」と伺っているので、情報だけ(でもご存知かな?)。「寄生獣」「ヒストリエ」などの世界的人気漫画家・岩明均氏が「原作」の形で連載中の「レイリ」という作品、舞台が私も「武田氏滅亡」で初めて重要性を知った「長篠後」「高天神城の攻防」なのです。
「滅亡」でも印象的に描かれた武田信勝(その影武者が表題のレイリ)が非常に重要な役で、周囲が(勝頼を差し置き)「救国の英雄」を期待する中、賢すぎる彼はそれを虚勢を交えて演じつつ、本音は…との複雑な造形です。岩明氏は歴史に詳しく、後書きでちょっと謎を提示したり。
以上報告です。
 

ここでは書ききれなかったが、武田信玄が「後継者」に指名した孫の武田信勝の造形がなんとも面白い。
この後継者指名ってのは史実でいうと『勝頼は、いちどは信州の諏訪家を継がせ、母も諏訪の御料人…つまり占領した旧敵国との縁が強いから、武田嫡流を継ぐのは難しい、という判断だった』ということらしいんだけど、そこを「武田信勝は信玄が潜在的な将器を認めた若き天才である(と言われてる)」と見立てたのはさすがの岩明的ストーリーテリングです。
そして、画像にあるように、確かに才能ある少年だからこそ、周囲の期待を”忖度”して「我は天才なり!」と傲慢に自称しつつ「もう織田に勝てるわけがない」とも見通してしまう…という悲劇。

これが、史実上も痛ましい、最期に繋がっていくのでしょうか。
史実(としての伝説)上の武田信勝の最期を、ネタバレでもいいから知りたい人は http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20170713/p1 をどうぞ。


主人公レイリは、少女だけども武田信勝の影武者が務まるほど瓜二つ、という設定も面白いけど、普通の男がかなわないほどの武芸の達人かつ、「いつ死んでもいい」という虚無感と捨て身の心を持つ。それが強さでもあり弱さでもある…というと、短編「剣の舞」の女性主人公を発展させた、という面もあるかもしれませんね。

雪の峠・剣の舞 (KCデラックス)

雪の峠・剣の舞 (KCデラックス)

  • 作者:岩明 均
  • 発売日: 2001/03/21
  • メディア: コミック



シューダン! /横田卓馬

サッカー王国と呼ばれる静岡で少年団に所属している小学六年生・桜田創始は、チームメイトと一緒になんとなくサッカーを楽しむノンガチ勢! そんな少年団にある日、女の子が入団することになり――!?
シューダン! 2 (ジャンプコミックス)

シューダン! 2 (ジャンプコミックス)

  • 作者:横田 卓馬
  • 発売日: 2018/01/04
  • メディア: コミック


あくまでも一般的な話、平均値でいえば、小学校低学年ぐらいまでなら、そもそも基本的なフィジカル、体力で女子は男子を上回ってる―んだっけ? 高学年ともなるとそうも行きにくいけど、それでもトップグループなら差がないか上回ることもあり、そして実際に学童野球や少年サッカーは、男子と女子がまじって公式の試合もしている。
そんな舞台背景を元に、「男子チームに混じった紅一点の女子選手」を軸に物語が回っていくのだけど、その混じり方がなんとも自然で、ナチュラル、…でありつつ女性であることに意味はちゃんと持たせてあるという、実にそういう面で優れた作品だと思います。決して「魔球を投げられるから、彼女は男の中で活躍できるんです」みたいなストーリーではないのだ(いやいや、当時の水島新司野球狂の詩」は、そういう設定であるからこそ描ける「女性とスポーツ」を作品にした画期的なものだけどね!!)

このへん、いわゆるこのブログでネタにすることも多い<ポリコレ>的に見たとしてもポイントが高い、ような気がする。
過去の3例の記事&外部のまとめにリンクを張っておきます

ベイマックスの「政治的正しさ」とクールジャパン - Togetter https://togetter.com/li/764958
シン・ゴジラで女性性を強調しない登場人物(尾頭課長補佐)が人気に見えるのは、ポリコレ的に大変いいこと…なのかしら? - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160810/p2
高度に発達した「テンプレ破り」は、ポリコレと区別がつかない(俺は)。女性、民族キャラクターなどを例に…… - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160508/p3

しかしそんな中で「少年」ジャンプ、本丸中の本丸で、こんなふうな作品が生まれたのは興味深い話です。もともとこの人の前作「背筋をピン!と」でも、当然のように男女ペアの競技において、実に自然に、どっちがどっちに優位でもリードでもなく、イコールなパートナーシップを描いていたから当然といえば当然かもだけど、あれは「社交ダンス」だから、そういうふうなのが描けてもまあ、「一番描きやすいジャンルだったから」で納得できる。

だが、それがいきなり第二弾は、フィジカルとコンタクトが渦巻くフッチボウで描くってすごいよ!!
 
・・・・・・・といいつつ、このジャンルでは、「四月は君の嘘」を描き、今は純粋な女子サッカーの漫画「さよなら私のクラマー」を連載中の彼女新川直司氏が既に「男子に混じって女子がサッカーで戦うなら」というテーマに正面から挑んだし海街diary」でも、この話が印象的なまでに物語の骨格として描かれた。その系譜にある作品ともいえるだろう。
海街diary 8 恋と巡礼 (フラワーコミックス)

海街diary 8 恋と巡礼 (フラワーコミックス)

  • 作者:吉田 秋生
  • 発売日: 2017/04/10
  • メディア: コミック
だが!!!2017年12月冒頭現在、少年ジャンプの掲載順番的にね・・・・・・・・・・・・・まだそういうアナウンスはないけどね…「新展開」になっただけと思いたいけどね・・・・・・某作品や某作品が「どんな野心作でも、まずは生き残らないとダメなんだよ!!ポリコレなんか置いといて、私たちのように”見せて”いれば……(※何をだよ)」と、先に逝ってしまった戦友をDisりつつ追悼する光景が目に浮かぶ。ここはエリア88……。
最期はいろんなものが混じってしまったが、ここで終わろうと、続こうと、素晴らしい作品であったことは間違いない。


淋しいのはアンタだけじゃない /吉本浩二

新感覚ドキュメンタリー!…&ミステリー?

かつてなかったマンガになるのではと思われます。[ブラック・ジャック創作秘話]、[さんてつ]を送り出してきたマンガ家・吉本浩二さんは、日本福祉大学のご出身。ただ福祉関係からは遠い職歴でした。そんな吉本さんが、あるご縁にも助けられ、聴覚障害の世界を描くことに。そしてご縁は不思議な糸でつながっていき………。マンガならではの表現で、聴覚障害が、そしてストーリーが描写されていきます。

日本中を騒がせた、あの佐村河内守氏の事件も取り上げます。この件は既に映像作家の森達也さんが映画にされると発表されていますが、森さんと吉本さんはお会いしたものの、互いにその内容については関知していません。

新しいドキュメンタリーマンガであり、且つ、ミステリーとも言えるかもしれません。ぜひ最後までお読みいただき、読者の皆さんにも一緒に考えていただきたい、そんな内容です。

【編集担当からのおすすめ情報】
[ブラック・ジャック創作秘話](『このマンガがすごい!』2012年オトコ編1位)の作者が送る、新感覚のドキュメント漫画です。
あの佐村河内守氏の騒動の奥、聴覚障害をめぐる知られざる真実に、漫画ならではの、かつてない表現で迫ります。
映像作家・森達也氏による話題騒然の映画公開とも、真っ向勝負です!


深層へ!!

聴覚障害者、患者と医師に迫り、探れば探るほど、
その不思議、厄介さにおののく。

マンガは、マンガ家は、
実態を描くことができるのだろうか?
そして、僕らの“ほんとう”は、どこにあるのだろうか?

マンガで進化する新感覚ドキュメンタリー!
& ミステリー!?

深層へ!!!

【編集担当からのおすすめ情報】
1集の発売以来、大変ありがたいことにSNSなどで多くの方々から、
また書評等の新聞TV雑誌WEB多くのメディア上で評価をいただきました。
しかし正直まだ評価いただくのは早かったのではと思う気持ちもあります。
この問題をマンガにする難しさを吉本浩二氏はますます痛感され、精一杯の模索をしています。ぜひ、続きを御覧ください。


ついに完結!その「最奥」にあるのは…?!

(文化庁メディア芸術祭〈第20回〉・マンガ部門・審査委員会推薦作)

医療の現場でふれた、課題と光明。
しかし、取材をすすめれば、取材対象者の見解をすんなり描けない
現実にもぶつかって…

マンガ家は、自分のマンガに揺れ動く…

結局、僕らの“ほんとう”はどこにある?

マンガで進化する、新感覚ドキュメンタリー!!
&ミステリー!?

ついに完結へ!!

マンガがいちばん人に迫るのだ!!!

【編集担当からのおすすめ情報】
2集の発売後、事情により連載を中断、休載が続いた関係で
この続刊の発売も遅れましたが、ようやく連載再開、そして完結3集の発売に至りました。

障害に迫る医学者の挑戦と到達、
そして、マンガの到達点をご確認ください。


この前、このツイートが多くのブクマを集めた(のちにまとめになった)。

突発性難聴」になったら48時間以内が勝負!後から治療はできないので気をつけて!の呼びかけは広まってほしい件について - Togetter https://togetter.com/li/1176395

有益で知られてほしい情報だが、そういう事例も含めて「聴覚障害の世界」をドキュメント漫画として描くことを目指した野心作が、この作品。
作者の吉本浩二氏が「ブラックジャック創作秘話」(原作つき)「さんてつ」「カツシン―さみしがりやの天才」などで、ドキュメント漫画の優れた書き手として頭角を現したあと、次は何をテーマに描きますか?と投げられ、自分が福祉を大学時代に学んだ経験から興味を持った障害―それも聴覚障害を取り上げようとした。
ところが、それに前後してかの「佐村河内騒動」が勃発し、聴覚障害コミュニティも大きく動揺する。このテーマを扱うなら、彼にも話を聞かねばならない、ということになり、接触とインタビューに成功する。しかし……


作品は、市井の聴覚障碍者の悩みや日常を丁寧に描き、また、なんとも感覚的なものだから追体験がし難い「聴覚障碍者の『難聴』とは、どんなふうに聞こえにくいのか?」を視覚化する難業に挑んだ。実はそれゆえに、なんか筒井康隆のシュールなギャグのような、活字などを工夫した描写とかも出てくるのだが…。

それと同時に「日本中が大注目したスキャンダルの当事者」を取材することになり、そこからまた面白いものとなる。彼は「自分は本当に聴覚に障害があるのだ」ということをつらつら、切実さを込めて語る。また当時、森達也氏が「フェイク」なるドキュメンタリー映画を製作途中なので、メディアとメディアの邂逅、すなわち <取材するもの、取材されるもの> の逆転などというテーマも含有することになった。

そしてさらに厄介なことに、取材される佐村河内氏は、要は取材を受けながら<あなたは、私の味方になってくれるんですか?(なってくれるなら協力するし、そうでないなら協力しない)>というスタンスを明確に打ち出す。

その一方で、”あの人”も、「いや、間違いなく佐村河内さんは普通に私と話ができましたよ」と彼らに向かって語る。… 密着取材を旨とするジャーナリズムが、しばしば直面する問題であるが、吉本氏らはある意味で誠実に向き合う。
その過程が、何ともスリリングだ。映画「フェイク」と比較するのも一興だが、誠実さという点では、ちょっと比べるのも失礼なほど大きく異なるんだよなぁ。
そういう過程…ノンフィクションを作成するとき、周囲からの圧力や異論、抗議にどう対処するのか、のメタなストーリーとしても実に面白い。

まことに残念なことに、この作品は商業的に成功せず、3巻という短い期間での完結となった(と、作中で語られている)。しかし、ならばこそ、この3巻がもう一度評価され、単行本として爆発的ではなくても長く売れることをねがってやみません。


ふたり生徒会 /ゆずチリ, かとそん

ふたり生徒会(1)

ふたり生徒会(1)

たったふたりの生徒会。でも毎日楽しい。
生徒会長兼
書記兼会計兼庶務の清士郎くんと
生徒会副会長の水谷さん。

たったふたりだけの生徒会。
忙しかったり、そうでなかったり。
提案したり、試してみたり。

ふたりだけど、毎日楽しい。


ふたり生徒会 (2) (サンデーうぇぶりSSC)

ふたり生徒会 (2) (サンデーうぇぶりSSC)

  • 発売日: 2017/05/12
  • メディア: コミック
全国の中高生絶賛!ふたりきりの生徒会。
体育祭に、プールに、

こどもまつりに。

ふたりだけの生徒会は、

ふたりだけど、

やっぱり楽しい。

そしてやってきた代替わりの季節。

新会長に選ばれたのは、

やっぱり…?

まさかの…?

〈 編集者からのおすすめ情報 〉
読売中高生新聞、サンデーうぇぶりにて大好評連載中!
中高生の方も、そうじゃない方も、ほっこり楽しめる、
ちょっと変わった学園コメディー第2巻です!


世の中グルメ漫画が多すぎるわけだけど、もはやここまでパンデミックになったら、もはや共存するしかない。…というか、あれは新聞に一紙1本ずつ「四コマ漫画」があっていいように、1誌、あるいは1サイトにひとつか二つはあっていいもんだし、実際にそうなってるから絶対数は膨大なのだ、と納得したのですよ。
・・・・で、ほぼそれと一緒の構図で、知らないうちに蔓延してパンデミックになってたのが、『少人数での、限定された場所での小粋(あるいはシュール)な会話劇を中心にしながら、そういう人物たちの”関係性”を描くショートコミック』なんですわ。
これはあとで一覧にでもしてみたいけど、知らないうちにたくさん増えてた!!!年代史的にさかのぼると、実はみなもと太郎氏がそういうのの元祖?に近く(「ふたりは恋人」)、しかもショートコミックなのに雑誌の人気トップに躍り出たこともあるとか。
自分が、実際に面白く読んだのは水口尚樹の「明日にはあがります。」だったなー。

その次は「働かないふたり」だったか。このジャンルについてはモノ申したいこともいくつかあるが、それは後日のコンテンツにして、その中で最近の収穫に上げたいのが、この「ふたり生徒会」だったのです。

  

話自体は単純で、この生徒会は会長(兼会計兼書記兼庶務)と、副会長のふたり。
この会長は、成績も優秀(ただし副会長は超優秀で、それには負ける)だが、基本的にお祭り好きのお調子者でいらんことしい、イベントや新企画をいろいろと考えては、すぐに実行しはじめる。
要は究極超人あ〜るの「鳥坂さん」だ(喩えが古いよ!)。
それに対して、副会長が基本的に常識人として突っ込むのだが、中学生でもサンタを信じていたりと、少しやはり浮世離れした面もあって、その二人の言動と会話、関係性で読ませるというストーリー

しかしながら、遥かにここまで来たのだな、この路線が…

強大な権力を持ち、主人公のライバルになる『非実在生徒会』の歴史、元祖は?【創作系譜論】 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150118/p3
非実在生徒会」の歴史や特徴について、頂いた情報をまとめます【創作系譜論】 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150119/p2

なぜ、この作品がパンデミック気味の「関係性ショートストーリー」の中で、選んだのかといえば、いろいろと理由があるのだが、それはこの今度あらためて記事にしよう。
そういえば、次の作品も「関係性ショートストーリー」だなー。


保安官エヴァンスの嘘 /栗山ミヅキ

「恋?愛?興味がないな」
…嘘だ。本当はモテたい。切実に。

強き者が掟であった頃、西の荒野のどこかで。
全ての犯罪者が最も恐れる保安官がいた。
彼の名はエルモアエヴァンス。
超一流、西部最強のガンマンでもある彼は、モテたい。
幼少時から女性にモテたいと強く願い、
「ガンマンはイケてる」という(時折ゲスな)父の教えを学んだ。
だが未だに、恋人いない歴イコール年齢。
女性の前でついカッコつけてしまう彼は、モテないこともないのだが、
絶妙にうまくいかず、今日もモテる為に、祝福なき死闘を繰り広げてゆく。



だが彼の近くには、オークレイという賞金稼ぎの女性がいる。
エヴァンスのライバルで超一流の銃の腕前を持つが、
射撃一筋でまともな恋愛経験はない。生娘である。
お互いに相手が気になりながら…
「まあ、向こうにその気があれば別だけど」と思っているがっ!?


モテる為にカッコつける保安官の西部喜劇!

西部最強ガンマンのエルモアエヴァンス。
保安官として、街の治安を守っている。
寡黙でクールな彼の願いはただ一つ。『モテたい』。
合コンに誘われたいけど、誘われない。
何故ならカッコつけてるから「誘って」って言えない。
西部の悪が恐れる男は、今日もカッコつけ続ける…
恋人いない歴イコール年齢の保安官と、
同じく奥手な女性賞金稼ぎ・オークレイの、
恋の可能性を探り合う攻防戦、静かに白熱中。

モテたい全ての人たちへ贈る。
(だが特にモテる保証はない)
最強銃士の男女による、
愛すべき”カッコつけ西部喜劇”!!

【編集担当からのおすすめ情報】
その男は常に孤高な、最強のガンマン。
「恋? 興味がない。愛? 必要がない。」
…嘘だ。本当はモテたい。切実に。

そんなエヴァンスに、2巻でも様々な出会いが訪れます。
「逃がしてくれるなら、イイことしてあげる」という女犯罪者。
色気とは何かを指導してくれる女犯罪者。
結婚式を破壊し、エヴァンスが感情移入せざるを得ない女犯罪者…

そしてライバルの賞金稼ぎオークレイとの関係性はより発展。
西部劇でありながら恋愛喜劇。その真価を発揮!?

2巻も満足して、面白く読んで頂けると思います。
是非、気軽に読んで頂けますと幸いです。


始まったときから、不思議な作品でねー。
始めは、「モテたくてたまらないのにカッコつけようとしてて(逆に言うと、カッコつけつつモテようとしてて)、そのギャップで笑わせる」という、わかりやすいシチュエーションのギャグだったのだが、その後、オークレイという女性賞金稼ぎが現れ、どっちも好意を持っている、という設定になる。だが両方がカッコつけで、素直に好意を表明しないのでそこから誤解や取り繕いやコミュニケーションギャップが生まれる…って、思えば高橋留美子以来のサンデー的王道?
 



いや、硬派だったりツンデレ(デレあるか?)だったりしたキャラが、素直に好意を言わないために混乱するって、なんつーか一周回ってクラシック風味があるのだよ。
そういえばこれは、一時騒がれた「少年サンデー、最終防衛線の指揮官」たる市原新編集長体制になってからの連載だったはずだ

週刊少年サンデー特集、新編集長・市原武法インタビュー (1/3) - コミックナタリー 特集・インタビュー http://natalie.mu/comic/pp/sunday02

思えば、上の「ふたり生徒会」もサンデーうぇぶり連載で…あれ、ゲッサンにも載ってるよな?
そして
「関係性ショートストーリー」の大ヒット作といってもいい「からかい上手の高木さん」もゲッサンだ。
こういうのが市原カラーなのかもしれませんね。
しかし、あとひとつ!!
今時、21世紀、2017年にて「西部劇の世界」でこのネタやってるのだよ???それがすげーと思う。
まんが道の時代なら藤子先生が西部劇のマンガ描いても「説明不要、おなじみの西部の世界!!!」で済んだはずだが、今、サンデー読者の中で西部劇の世界を『おなじみのアレね』と受け止める層ってどれぐらいいるのかしら?
もちろん「悪と戦う正義の味方」「時にはバトルやアクションの起こる世界」が必要なのはわかるけど、
今のご時世、絶対に「勇者や魔法使い」が登場するファンタジー世界のほうが簡単に読者に伝わるからね(まあ実際、だいぶそういうパロディが粗製乱造なわけだが…)
これは煽りや批判でなく、まじめに検証したい点である。時代劇やSFの「世代間伝承」が話題になる昨今、この問題が気になってしょうがない。
参考記事

意識的に子供向け「入門書」や「翻案」を出さないとジャンルの将来が危うい?SFやミステリの盛衰で考える 〜芦辺拓氏のツイートを中心に - Togetter https://togetter.com/li/1136717
たった30年…?で「ファンタジーのお約束」を国民が共有。既に一ジャンルとなった、パロディ化の歴史を誰かまとめてください。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20150314/p3
#真田丸 から見える、三谷幸喜の洋画教養の蓄積〜TVの洋画劇場なき今、その教養は伝承可能か? - Togetter https://togetter.com/li/993390
その後の考察まとめ
togetter.com


遅れて、
のこり5作品の発表となりますーーー。

ドラえもん物語 〜藤子・F・不二雄先生の背中〜/ むぎわらしんたろう

大人が泣いた! 藤子F先生の真実の物語!

ドラえもんを生み出した漫画家、藤子・F・不二雄先生と、ドラえもんが大好きで漫画家を志した青年の感動の物語が、ついに単行本化!
藤子・F・不二雄先生の最後の弟子、むぎわらしんたろう先生にしか描けない藤子F先生の知られざる素顔を、初公開となる直筆資料を交え描き出す!!
月刊コロコロコミック創刊40周年記念作品として前後編で発表されたものに大幅加筆! また、作中に登場する藤子F先生の手紙など貴重資料も特別掲載! さらに藤子F先生の大長編下絵イラストポストカード付録など、豪華企画もりだくさん!
掲載時、コロコロ読者はもちろん、そのコロコロを読んだ大人たちが泣いたと絶賛の感動物語が、いよいよ登場!! 今よりもっとドラえもんが愛おしくなります。


【編集担当からのおすすめ情報】
コロコロ誌上やネットなどで大反響を呼んだ感動物語がついに単行本化!
新エピソードなど大幅加筆や、ポストカード付録、貴重資料の写真収録など、ファン垂涎の豪華仕様となっております! さらに川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム限定カバー(数量限定)など特別企画もご用意! 感動の物語に、涙してください・・・!!

 漫画の周辺にいる人、特に有名漫画家のアシスタントをしている人が、師匠の思い出を漫画形式で綴ることは珍しくなくなった。
手塚治虫の周囲に取材した吉本浩二の評伝「ブラックジャック創作秘話」が大ヒットしこのマンガがすごい!」の1位に選ばれてから、出版業界には特に完全に定着した気がします。

同時に、藤子不二雄 先生に関してはその業績と人気に比べると研究所や評伝が少ないとは以前から感じていたので、アシスタントの方が漫画で「先生の思い出」を書いてくれるとなれば大歓迎です。実は先行して昨年、まいっちんぐマチコ先生のえびはら氏が「藤子スタジオ日記」を発表、自分は昨年の漫画10傑にも選んだ(だから今回は選外)。

ただスタジオ日記は4コマ形式であることや、スタジオ全体の群像を描いていることで、ストレートに藤子・F・ 不二雄とは何者か?を描く作品としては、こちらの方が…優れているとは一概には言えないが、疾走感と言うか凝集力というか、そういうものに優れていて、最初に読むとしたら、こちらを推薦したい。
藤子 F先生の評伝が少なかったのは、ズバリ言って手塚治虫赤塚不二夫に比べて、常識人すぎてその日常を描いてもあまり面白くないからだと思う(笑)。何しろ朝電車で通勤してきて、夜に仕事を終えて帰るのだから。
それでもまんが道に繋がる情熱やこだわり、ファンから見れば「あーこれがあの作品に繋がったんだな」とニヤリとできる元ネタの発見、そして何より弟子への優しさに感動させられる。
特に誰もが認める白眉は、著者の漫画原稿を受け取ったF先生がやってくれた、あのシーンだ。


中国の作家魯迅の日本留学時の思い出「藤野先生」を思い出した人もいるのではないか 。
藤野先生(原文つき) http://www.ccv.ne.jp/home/tohou/tohohu5.htm

阿Q正伝・藤野先生 (講談社文芸文庫)

阿Q正伝・藤野先生 (講談社文芸文庫)

  • 作者:魯迅
  • 発売日: 1998/05/08
  • メディア: 文庫

話を戻して…むぎわら先生のこの証言本は素晴らしいが、藤子・F・ 不二雄という不世出の巨人を記録に残すとするならやはりこの作品も「優れた資料の一つ」 とのみ位置づけるべきだろう。むぎわら先生にはさらに続編を書いて欲しいし、外部から証言資料を整理し統合する研究本も描かれるべきである。




先生白書/ 味野くにお

先生白書

先生白書

累計発行部数5000万部『幽☆遊☆白書』、累計発行部数6500万部『HUNTER×HUNTER』など、日本を代表する超人気漫画家・冨樫義博先生。
幽☆遊☆白書』の連載開始時期から『レベルE』まで、知られざる初期の先生の仕事ぶりを、一番近くで目撃していた元アシスタントが描く、実録・冨樫義博

上に書いた藤子本の感想とかなりかぶるので、一部省略します
有名漫画家のアシスタントが、間近で見た先生の姿を漫画にするというのは、書かれた人にとってどう思われるかはわからんけど、読者にとってはやっぱり面白く貴重な資料だということです。
特に冨樫義博は、現役漫画家でありつつ、いろんな意味で伝説に包まれた存在だから、こういう本が作られるのは、けだし当然だったと言えましょう(と言いつつコロンブスの卵で、実際にやった人がすごいんだけど)。
ただ、そういう伝説の漫画家だから、とんでもない奇人変人のエピソードが描かれると期待したファンにはめっちゃ肩透かしですね(笑)。実際の冨樫先生は控えめで常識人で穏やかで、 とても90年代から現代までトップ中のトップに君臨している(それも大橋巨泉ばりに、露出は控えているのにトップの位置を保っている)漫画家とは思えない。何しろ出版社も若いアシスタントをどんどん送り込んでいたと言う。これは、きちんと育ててくれると期待しているからなんだね。島本和彦と同じ(笑)
 
同時に、アシスタントだからとあけっぴろげに心の奥を見せるような人でもなかったようだ。何しろ有名女性漫画家との結婚もアシスタントは兆候を発見できなかったらしい。
だから逆に、そんな常識人の冨樫先生が、なぜ下書き同然の漫画をそのまま掲載したりトーナメント表それだけでバトルを終えたり、グロテスク描写や少年漫画では消化しきれないような細かい伏線や設定を打ち出す革命児足り得たのか、その謎はさっぱりわからない。
そういう点ではこの作品は「冨樫義博の謎を解け」と意気込む素人探偵にとっては、最初の聞き込みの第一証言のようなものかもしれない。



創世のタイガ/ 森恒二

彼女にフラれ生きている実感の乏しい青年タイガ。大学の文化人類学のゼミ仲間とオーストラリアへ卒業旅行に出かけた彼は偶然入った洞窟で観光ガイドにも載っていない古代の壁画を発見する。直後に起こった崩落からからくも逃れた彼らは入り口とは別の穴から外に出るがそこはマンモスや古代の巨大哺乳類が跋扈する世界だった。「ホーリーランド」「自殺島」リアルな人間を描かせたら右に出るもののいない森恒二の最新作。

森恒二をかつて「中二病の完全制覇者」と読んだことがあったが…暴力、格闘技、超能力、破壊、テロ、 そしてサバイバル…などの「鉱脈を掘り当てた」感がある。つまりそれこそ藤子不二雄がそうだったように「キャラや舞台は変われども、基本のパターンは同じ」という作品を書いても許される、あるいはそういった作品こそが求められる作家になったのではないか、と思うのだ。
突然極限状態に放り出された現代の若者が一からサバイバル生活を始める、というのが治外法権無人島だろうと、タイムスリップした原始時代であろうと、どれほど違うのかわからんが(笑)、ただ基本コンセプトが同じであっても楽しめる作品にはなると思うのです。
ただ、新作のこれには「原始人」という他者がいる。様々な考古学的研究はあるだろうけど、原始人がどの程度の知能や文化を有しているのか、例えば現代人と意思疎通がどれほどできるのか…この辺は想像に頼らざるを得ないだろう。
実際すでに作品中では 石器のような武器を振りかざしてのバトルがすでに始まっている。
 
ここから若者たちの、異世界での生き残りをかけたドラマはどのように展開していくのか、実は私も全く読めない。
大傑作になるかもしれないし、失敗作にもなるかもしれない。でもそれを見守っていきたいと思わせる作品です。


かくしごと/ 久米田康治

かくしごと(1) (KCデラックス)

かくしごと(1) (KCデラックス)

ちょっと下品な漫画を描いてる、漫画家の後藤可久士先生は、一人娘の姫ちゃんが何にもまして、最優先。 そんな親バカの後藤先生が、この世で1番恐れていることは、娘に仕事がばれること。漫画家だなんて知られたら、もしかしたら娘に嫌われるのでは!? アシスタントや編集者を巻き込んで、今日も心配症の後藤先生の1日が始まります!

ちょっと下品な漫画を描いてる、漫画家の後藤可久士先生は、一人娘の姫ちゃんが何にもまして、最優先。 そんな親バカの後藤先生が、この世で1番恐れていることは、娘に仕事がばれること。漫画家だなんて知られたら、もしかしたら娘に嫌われるのでは!? アシスタントや編集者を巻き込んで、今日も心配症の後藤先生の1日が始まります!

久米田康治も「かってに改蔵」以来、自分なりの黄金パターンを打ち立てた作家であり、時々作品自体は変えつつ 、「世相を毒舌で風刺する。1テーマのお題を変人キャラによって批評的に展開していく」というコンセプトを繰り返していけば多分仕事に困らないと思う(笑)。ただ今回の「かくしごと」(隠し事、と描く仕事、をひっかけている巧さ)は、下品な漫画を書く漫画家であることを最愛の娘から隠し、平凡なサラリーマンのふりを無理やりにでもやり続ける…という、自分が大好きな「取りつくろいもの」なので、まずその面でもとてもとっても面白い。
さらに今現在少々飽和気味でもある「漫画家漫画」を久米田先生がやると、当然ながら辛辣なまでの業界ネタ、漫画家あるあるネタをぶっこんでくる(笑)。「最近落ち着いてきた」は人気がなくなったことの婉曲表現だというのを平然と描くのは…さらに文豪ならぬ「漫豪」という造語とか、狙ってるよ ! 約1名をモデルに(笑)!!
  
と同時にこれまでの作品では最終回近くで持ち出してくる、ちょっとした泣かせの話を、母子家庭である主人公たちの環境に絡めて少しずつ作品に加えている。
その辺もどうなっていくのか興味深い。



桐谷さん ちょっそれ食うんすか!?/ ぽんとごたんだ

食えれば食う、食わねば食えぬ、ナニモノも!? 男女問わず学校で人気を集める桐谷さん。
一見普通の見目麗しい女子高生に見えて、人と比べて変わっているところが……
それは、食に対する好奇心が強すぎること! 学校のウサギや道端の鳥にまで好奇の目を向ける彼女。
その食欲を満たすのは、カエル、ヘビ、サソリ……!? 『月刊アクション』&『ニコニコ静画』で
大反響の異色グルメコミック第1巻!

1巻の献立

・カエルのスープ
マムシの網焼き
・鯉こく
・サソリの素揚げ
・ずいき入りおじや
・ばばちゃん鍋
・豚の睾丸の湯引き
著者について
島根の山奥からやって来て、漫画描きに。本作が初の単行本。
comicoにて『婚活は魔導書から』も連載中。

グルメ漫画、食べ物漫画がとにかく多すぎる昨今ですが、だからこそ一作品ぐらいはこのジャンルから選ぶべきだとも思います。と言いつつ選んだのがこういう変化球なのは申し訳ない(笑)。ただこれはグルメ漫画というよりは、「山賊ダイアリー」や森恒二の作品のような、サバイバル的な漫画にむしろ寄っているのですね。実際にやるやらないはともかく、どうも男には、いや 女にも「いざという時、その辺の生き物や植物をあつめて食べ物にする」というようなシチュエーションに、何かしらの興味を惹かれるんだと思います。
 
もちろん同時に、若い男性教師とその教え子の女子生徒(さらに歳の離れた幼馴染でもある)と言うことで、それこそほのかな「関係性」もあって個人的に はそういうの「 けっ」という感じなんですが(笑)、何しろテーマがテーマなのでそこはあまり掘り下げようがない(笑)。 安心して捕まえたコイやカエル、ヘビ、 虫、ダチョウの卵などの珍食材、貴重な食材を追求する物語を楽しめるでしょう。




【第二回内山安二賞】服を着るならこんなふうに/ 縞野やえ

オシャレに必要なものはお金?センス?そんなものは必要ありません!大切なのはコーディネイト理論を理解することだけ。それを紹介する史上初のメンズカジュアルファッションコミックが登場!全男子必読!!
※大前提である「内山安二賞」とは何か?こういうことなのでご了解ください(笑)↓ 啓蒙、情報の面において優れた漫画を選ぶものです

「知の巨人」内山安二氏賛歌。そして第1回「内山安二賞」受賞作が決定!(※俺の心の中で) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160706/p1
[asin:B00R2OALNI:detail]

リンク先に書いてあるようにこの内山安二賞」は、知の巨人内山先生を記念し、優れた学習漫画…と言うか広く啓蒙、知識の伝達に功績のあった漫画を表彰するものです。もちろん亡くなった内山先生の遺族や出版社の許可も何も取っていません(笑)。俺の心の中にある賞です(笑)
実は今回の第2回の賞は、最後までこの作品と、前述の10傑のひとつ「〜それ食うんすか」が争ったのですが、今回は僅差で、「服を着るならこんなふうに」が選ばれました。
理由の大きなところは、選定者が全くこの方面に知識がなく、全ての知識が新鮮だったからです(笑)例えばどんな…と言われると、呼んだのに全ての知識が上滑りしてほぼ忘れたのですが、色の統一だとか細めのズボンを履けだの、なんかしゃらくさいことを言ってました(笑)でもほんの多少は、その知識が生きてるような気がしないでもない。
あとストーリー的には、服のセンス的にダメなお兄ちゃんを、 世話焼きの妹が色々教えて導いてくれる、とか、過去に自分のファッションセンスを笑った高校時代の同級生の女性と再会し、おしゃれになった自分に謝ってもらい、その後服を語り合う良い友人になる…といった 、その辺の SFを上回るほど現実にはありえない、奇抜で想像力に富んだシチュエーションが展開されている(笑)。
 
もちろんそれは服の解説のおまけ的な面があることは否めない(本当はそこも融合させるのが理想なのだが)けど、そこを楽しめればまた色々変わってくるかもしれない。



【連載山場賞】GIAINT KILLING(東京ダービー編) / ツジトモ 綱本将也(原案)

白熱の東京ダービー!鬼気迫る持田の活躍で前半は東京ヴィクトリーが2点リード!しかし、後半に達海が投入したのは守備が得意なベテラン石神!相手を揺さぶり、自分たちのペースに引きずりこめ、ETU!


※「連載山場賞」とは、或る程度連載が続いているものを対象に、全体ではなく「その年に盛り上がりを見せた」作品を表彰するものです。過去に10傑に選んだ作品を、主に対象とします(そうでないなら普通に10傑入りするので)

この「ジャイアントキリング東京ダービー編が盛り上がった」という話はすでにブログに書いているのでそこへリンクを貼っておきます。もうこの作品も、大長編になりましたね。
だからこそ新しい読者が入ってきにくくなる、あるいは途中で離れる読者も出てくるという弊害もあるので、 途中途中のエピソードをピックアップして「ここが面白い!」と紹介することに意義があると思います

ジャイアントキリング東京ダービー編終了。達海が「とっておきの秘密兵器・観客煽り」を出すシーンはかっこよかった。 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20170802/p1


【特別功労賞】へうげもの/ 山田芳裕

へうげもの(25) (モーニング KC)

へうげもの(25) (モーニング KC)

  • 作者:山田 芳裕
  • 発売日: 2018/01/23
  • メディア: コミック

群雄割拠、下剋上の戦国時代。立身出世を目指しながら、茶の湯と物欲に魂を奪われた男がいた。織田信長(おだのぶなが)の家臣・古田左介(ふるたさすけ)。天才・信長から壮大な世界性を、茶聖・千宗易(せんのそうえき=利休)から深遠な精神性を学び、「へうげもの」への道をひた走る。生か死か。武か数奇か。それが問題だ!!
著者からのコメント
織部、赤織部、志野織部……織部焼にもいろいろありやすが、私がいま欲しいのは織部黒という鯨のような茶碗です。日常使いに織部黒のきゅうすでも作って、鯨が潮を噴くが如く、湯飲みにお茶をそそぎ込みたいものですなあ。 山田芳裕(『へうげもの』第一服収録作者コメント)


※特別功労賞は、連載をその年に終了した作品が主な対象となります。昨年からスタートし、定例の賞としました。

自分は、へうげものが連載はじまった直後にまとまった文章を書きましたし、また連載終了時はtogetterまとめをつくりました。
ご笑納ください。

へうげもの」に見る俗と美、政治と芸術−−感想 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050928/p2

へうげもの」(山田芳裕)モーニング12年の連載に幕〜その反響と感想 - Togetter https://togetter.com/li/1176873

長年の連載、おつかれさまでございました。


過去の一覧です 以前一度受賞した作品は、今すごく面白くても外してること多いです(例外はある)

■「2016年マンガ10傑」を選定します。「特別功労賞」もあの作品に - 見えない道場本舗 (id:gryphon / @gryphonjapan) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20161208/p1


■ひとあし早く、当ブログの「2015年/2014年マンガ10傑」を選定 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20151120/p1
 

■(番外)「知の巨人」内山安二氏賛歌。そして第1回「内山安二賞」受賞作が決定!(※俺の心の中で) - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160706/p1


■「見えない道場本舗」選定・2013年度漫画10傑 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140702/p2

 
■「見えない道場本舗」選定・2012年度漫画10傑 http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130331/p2
 

■「見えない道場本舗・2011年度漫画10傑」(※ここから順位なしの10選に) http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120402/p1

 
■2010年度漫画ベスト http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110327/p1
 

■2009年漫画ベスト http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20091210/p2
 

■2008年漫画ベスト http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081231#p4
 

(2007年は「06年とほぼ同じなので休み」となっていた)

■2006年漫画ベスト http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20061230#p2