最近、中国は今や技術やシステムで日本をはるかに凌駕しているというテーマの文章が読めるようになってきた。
たとえばこれな。
「久々に現金触りました!」「こんなに寒い冬は久しぶりです!」中国からの留学生、一昔前の生活を日本で満喫している模様 - Togetter https://togetter.com/li/1174179
というかこの前は文芸春秋にも載ってたっけ。
特に言われるのがスマホ決済、 qr コード、乗り捨てレンタル自転車…などなどこれについては色々あとで別の論点を書いてみたいと思うが、ここでちょっとそんな別の一例を紹介したい。
雑誌「SAPIO」2017年11月12月号に 安田峰俊氏が中国の新興企業のルポを掲載している。
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何しろ、『日本に留学して日本の製品を見た青年が「中国でも同じ産業をおこしたい」と一念発起して起業、試行錯誤しながら日本製品以上の品質を作り上げる』と言う典型的なドラマだからだ。
中国版の「陸王」。涙と汗と感動のストーリー。
まあ、ただその商品が「ラブドール」なんだけどな(笑)
適宜引用、或いは箇条書きで紹介しよう
・その人形に声をかけると返答が返ってきた。
「ニーハオ。君に彼氏はいるのかい?
「面白い質問ね、ふふふ」
「君は人類をどう思う?」
「みんな敵です!全てを滅ぼしちゃいますね」
すわ、ロボットの反乱??ところがCEOの楊東岳氏は…
「びっくりしました?わざとユニークな回答をするようプログラムしておいたんですよ」
・2013年にエクスドール社が設立
・2017年今年8月に上海で上場、この業界では世界初(まあねえ)。
・楊社長、やはりと言うか日本留学でラブドールと出会った。
・一体70万円の日本ラブドールを求める中国の客が多いと知った社長は「 中国で、これを作りたい」と決意する。
・26歳、2009年から起業準備を始め日本メーカー(アルテトキオ)の造形師に技術指導受ける。
ここまでが前史。しかし!
・中国のものづくりの粋を集めた同社の技術は すでに極めて高水準。
・社長自身の認識は「シリコン肌質はオリエント工業に負けるが金属骨格と軽量化は上」
・というより既に、技術はともかく企業規模が桁違いに大きいのだ。エクスドール社の売り上げは約3億2500万円。工場敷地は3000平方M。正確な数字はないが日本の企業はそれよりはるかに小さい。
・この背景には一人っ子政策と産み分けの問題があるがそこには立ち入らない
技術造形面でより詳しく見ると
・経営陣のすべてが80年代以降のの生まれで所謂オタク文化に目端が利く
・人間を丸ごとコピーできる巨大3Dプリンターも自社にあり自社の女性社員の体形をコピーしているという(笑)
・そして既に Ai を導入することを目指している
・Ai 開発の総指揮者は東北財政経済大学副教授。中国ロボット協会の副会長人工知能学の権威である。
・CEO「女優やアイドルと完全に同じ顔をした笑ったりしゃべったりする android が会社の受付嬢になれば面白いと思いませんか?」
・これらの事業方針でベンチャーキャピタルから1000万元の投資を受けたという。
習近平政権は2014年にこういうスローガンを掲げた
「大衆創業・万衆創新」。
このスローガンのもと、イノベーション立国を目指しているのだという。
こういうどうでもいいことで、国のメンツを懸け(懸けるか、これに?)技術競争してるのはおもしろい。
そう、まるで米ソの宇宙開発競争のように・・・・・・
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しかも、ラブドールの分野は「この技術を進めていっていいのか?倫理的問題があるではないか?」という話も付きまとう。
或る意味で、そこを振り切っている国ほど強いわけで、たとえば良くも悪くもキリスト教やイスラム教のモラルが法的・権力的な規範になっている場所ではそれに妨害されてしまいかねない。
というような日中のフェアな技術分野の切磋琢磨(もちろん、国家がそのすぐれた技術を支援すべきでしょうね(そうか?))が行われ、その結果人類に貢献することをねがってやみません。(了)