「会津という神話」は何度か紹介してきた。
書評・最新書評 : 会津という神話 〈二つの戦後〉をめぐる〈死者の政治学〉 [著]田中悟 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011071704693.html
「いまだに長州への怨念(おんねん)を抱いている」
お酒の席でそんな思いを吐露する会津の人と、私はこれまで何度も出会ってきた。幕末の戊辰戦争で長州軍にさんざん痛めつけられた会津は、いまでもその時の恨みを忘れていないというのである。
しかし、本書の著者はそのような感情は戦後になって高揚したもので、戦前・戦中の会津では、長州人と同じ「勤皇精神」の持ち主だという思いが大勢を占めていたという。「長州への怨念」は、戦後に「無垢(むく)な敗者」「近代日本の被害者」というアイデンティティーを獲得する過程で、あらためて喚起され直した感情…(略)(略)…しかし「大東亜戦争」の敗戦によって、会津の人々はこの物語をリセットし、司馬遼太郎による「悲劇の会津」という新たな物語に飛びついた……
会津という神話―“二つの戦後”をめぐる“死者の政治学” (MINERVA人文・社会科学叢書)
- 作者: 田中悟
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2010/03/01
- メディア: 単行本
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という、なかなかに重要にして論争的な本なのだが、上の書評にはもうひとつ重要な情報が載っている。
「ミネルヴァ書房・6825円」
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エコーをかけてしまった(笑)
まあ、そんなわけだったんだが
CiNii 論文 - 田中悟『戦後会津における「観光史学」の軌跡』 https://t.co/0xt37GZnH7 #CiNii この論文は必読。「会津の悲劇」そのものが司馬遼太郎や宮崎十三八により相当盛った形で都市伝説として出来上がっていく様子が描かれている。
— すんすけ (@tyuusyo) 2017年5月12日
田中悟『戦後会津における「観光史学」の軌跡』 によると、有名な「萩市からの友好都市の誘いを断固会津若松市が拒絶して古老が絶賛」という話は、司馬遼太郎が盛った話らしい。宮崎十三八ですら「司馬から褒められて困惑」「そんなはっきりと拒否った意見はなく曖昧で」と話しているとのこと。
— すんすけ (@tyuusyo) 2017年5月12日
田中悟『戦後会津における「観光史学」の軌跡』を読むと、非専門家である小説家の主張があたかも史実のように理解されていくさまに頭を抱える。「江戸しぐさ」が完全に史実として成立し、歴史教科書で長年教え込まれていくような異様さを感じる。
— すんすけ (@tyuusyo) 2017年5月12日
ということで
http://ci.nii.ac.jp/naid/110007145162
戦後会津における「観光史学」の軌跡
Tourist history in postwar Aizu
田中 悟
Tanaka Satoru
神戸大学大学院国際協力研究科
Graduate School of International Cooperation Studies, Kobe University
正確にはそこから経由して
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000003kernel_81001449
↓
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/81001449.pdf
が読めると・・・・・・・・・・・・・・・・・
地道な研究と知の成果には相応の対価が払われるべきではないか、という議論から考えると、単行本「会津という神話」はお高いから、無料でCiNiiにおいてある論文読もうず!という発想は実に品下がる物言いであることは承知のすけだだが、それでもついつい書いてしまったのであります。
というか、論文読むにしても読まずにしても、単行本買うにせよ買わずにせよ、とりあえずこんな議論があることを覚えて、持ち帰ってください。