鈴木敏夫氏のコラム「歳月」より
ダライラマ14世と会って握手をしたことがある。10年くらい前の話だ。…スタッフのひとりがぼくの友人だった…その人をワクワクしながら待っていたら、講演会が目前に迫ったある日、その友人が僕に面会を求めてきた。電話の様子でタダならないものを感じた……「舞台に登場して、ダライ・ラマに花束を手渡ししてほしい」
そう話す友人の顔が引きつっている。それが何故、ぼくなのか。理由を聞くと、友人が一気に話し出した。
いろんな人に声をかけたが、次から次へと断られた。やっと、ひとり見つけたのだが、今日になって、その人から連絡が入りダメになったらしい。
考える余裕はなかった。即答を求められている。僕は深く考えることなく、その仕事を引き受けた。
当日、会場に赴くと、入り口は厳戒態勢だった。そのとき、僕ははじめて、事の重大さを実感した。
ちなみに鈴木氏によると、このときダライ・ラマは「日本海側のある空港に降り立ち、その後は長距離のクルマ移動」でやっと講演会場に来たらしい。ふつうに成田空港に降り立てば、もっと肉体的な疲労もなくこれただろうに。
この一節を読んで、ダライ・ラマをめぐって・・・・・、
・さまざまなところが、花束を渡すなんて簡単にして名誉な役割を拒絶、キャンセルするほどの「忖度」がどこかに対してあり、
・「ものいえぬふいんき」が漂っているのだなあ、
ということを実感したのでした。ジブリ・鈴木敏夫氏の貴重な証言である。
このときの講演録はジブリのフリーマガジン「熱風」に収録されているらしい。
検索すると、こんな記述がある
http://tibet.cocolog-nifty.com/blog_tibet/2008/01/post_2cc6.html
2008-01-18
(略)……▼スタジオジブリが『熱風』っていう月刊のフリーマガジンを出してるのですが、今月号はチベット特集▽4本立てで、石濱裕美子先生(@早稲田大学)、昨年のNHKのチベ番組のディレクターの方、ダライ・ラマ法王の八王子での講演録、それと私の原稿▼入手法は、大手書店の店頭等。詳細はジブリ出版部のサイトでご確認ください![ぷちチベ]297号@08/01/17☆発行:長田幸康http://www.tibet.to/i/