まずは今やtogetterではお馴染み、その週の「真田丸」の感想まとめ。ボリュームもすごい。
何しろ今回は小田原城が陥落、怪優高島政伸が演じた北条氏政が切腹し、「戦国時代」が終わる回だった。
三谷幸喜のプラン上も、これで「第一部完」なのだという。
#真田丸 第二十四回 引き止める因縁の東国大名たち、氏政の気高い最期「滅亡」ニューフェイスはずんだで接待祭り!みんなの感想+補足TLまとめ - Togetterまとめ http://togetter.com/li/990724
で、氏政が死んで北条が滅亡した後も、独立独歩と群雄割拠の時代が忘れられない真田昌幸は、「奥州の伊達政宗も同じ思いの筈、ひそかに連携して豊臣からの独立を…」と内心思っていたが、伊達政宗がなんと自ら仙台名物ずんだもちを作って太閤に献上するという媚びっぷりで、このプランは生まれる前についえる。
誇りとともに臣従を拒み滅びるか
太閤に媚びを売っても生き残るか、
しかしその内心は……といったことが描かれる重要な場面なのですが、まあ三谷的にギャグっぽいよね(笑)
ともあれ!!
だが!!
NHK大河ドラマで伊達政宗を演じるというのは、やはり相当なプレッシャーだろう。
だって、「独眼竜政宗」を、あのケンワタナベが主演してやっていて、それが歴代トップクラスの視聴率なんだから。
もちろん大河ドラマでの戦国武将なんて、通算してみれば同じ役柄を何人もが演じているし、以前はその人物が「主役」だったりしたこともある。
いちいち先行作品を気にしてはやっていけない…はずなのだが、それでも「独眼竜政宗」は、大河ドラマの中のトップオブトップス…であることは間違いない。
政宗は戦国武将単体としては、そんなに活躍したわけでもないのにねえ…。そこはジェームス三木の力でしょうか。
いやいや、役者の力でもある。
ケンワタナベに対する太閤秀吉は…勝新太郎なのだ!!!小柄のサル、ハゲネズミという外見上のキャラクター性をガン無視した、攻めのキャスティング。攻めダルマだ。
だから、史実上も芝居っけが強かった秀吉、政宗同様に? 猛烈な「演技合戦」が勝と渡辺の間には行われた……
それを、スタッフや渡辺へのインタビューを基に漫画で再構成したのが「カツシン」の2巻だ。
すっかり、「ノンフィクション漫画」「インタビュー漫画」を描くようになった、ブラックジャック創作秘話のあの人が描いている。
力道山が刺された伝説のクラブ支配人が見た「義兄弟」カツシン、国際派俳優 渡辺謙が語る、独眼竜政宗での秘話とは…!? 伝説の松田優作との「血のバトン」を松田美由紀が語り、遺児たちが語る父・勝新太郎のほんとうの姿……秘話と感動のエピソードで綴る天才・勝新太郎の真実がここに!! ファン必読の第2巻!!
「影武者」降板の”危険人物”を敢えてキャスティング。その理由は…
現実の役者のステータスを、そのまま武将に当てはめた、と。天下人はカツシン、野心満々の若武者は渡辺謙、と。
本番まで敢えて会わず、ぶっつけ本番、リハもなし。カメラもどうする??
実際に会わないことによって演技にリアリティを増す…というのは、「僕らはみんな生きている」で、山崎努と真田広之…だったかな?拉致された山崎らを真田が救出するというシチュエーションで、彼らの間でそれをやったと聞いている。
に、してもこういうことを役者にしょっちゅうやられたら困るなんてもんじゃないだろうな(笑)。
たしかにスタッフも冥利に尽きるだろうが、これが定番になったら体力も気力ももたないだろう。アイパッチを相手がアドリブで外すときに備えて片目をのりで固めていたって…しかしこれは、プロレスにおける「信頼」と「裏切り」…つまりアントニオ猪木的な昭和新日と、いまの新日の違いに通じるものがあるかもしれない。
http://d.hatena.ne.jp/Dersu/20140126
盤石の信頼の上にいくら試合がスイングしても、それはそうだろうよと思うのである。ちなみにこのブログで「これがプロレス」を検索してみたところ、わたくしが過去に「これがプロレス」と評した試合が2つあった。まずは2009年の船木誠勝プロレス復帰戦。自分のエゴで相手も客も振り回す船木さんの傍若無人ぶり。そしてもうひとつ、2011年大晦日の桜庭柴田組。プロレスの枠内でアマ格闘家を自在に転がして恐怖を植えつける桜庭の実力。ともに「盤石の信頼関係」とは程遠い試合だ。
オレの友人は、柴田・後藤戦を「性善説プロレス」と評した。信頼関係という信仰を共有する者同士によって際限なくスイングしてゆく「いい試合」。対して、オレが「これがプロレス」だと思ったのは上記2つの「性悪説プロレス」だった。猪木育ちなもんで、こればっかりは勘弁していただきたいところである。
そして本番!!
もっと画像を貼りたいのだが、敢えて省略してある。
スタッフも、渡辺謙も驚愕した「そのほうの首はなかった」ことを表現する演技とは。
なぜセットのはし、ギリギリまで動いたのか。
「主従の位置関係」を強いる演技とは。
政宗側の「屈辱」表現とは…
このあとも、鶴松が死んで悲しむ秀吉の演技のために実際に寝ないでやってきて、ハリウッドから自前のメークを呼び寄せる、とか、控室は彼を慕うスタッフで満員になる、とか、スタッフ行きつけの安い飲み屋に一緒に行って安い焼酎を飲んで騒ぐとか…この漫画ではそんな挿話が満載だ。
だが、意外なことにあれだけ宴会、飲み会好きで、前述のようにNHK撮影陣行きつけの飲み屋にも同行するカツシンが、渡辺謙とはほとんど飲む機会が無かったのだという
それは「小田原で会おう!」と同じく、ドラマで信頼関係ではなく「腹の探り合い」に終始した秀吉・政宗の独特の緊張関係を維持するために、実際の交際も一線を引いていたのではないか、と渡辺は推測する。
そのかわり、演技ではときおり二人きりで”結託”して撮影陣を、そして視聴者を出し抜く。ワルイことを覚えたなケン(笑)
謎を投げかける演技…ここでも猪木プロレスを連想するのは昭和脳だなあ(笑)。
しかし、史実として当然ながら、政宗より先に死ぬ秀吉。その死でカツシンの「独眼竜政宗」出演は、番組途中で終了する。
その時に、渡辺謙は、勝新からある教えを受ける。それは「主演俳優の心得」だ。これは「カツシンからケンワタナベへ」でないと贈れないし、受け取れない。
その心得とは……
実際にお読みください。
余談『独眼竜』の「竜」ってどこからきたの?と思ったらあっさり分かった。
歴戦の勇士→負傷もする→片目を失う→独眼…はわかるけど、なんで「独眼『竜』」なの?で一本記事を書こうと思ったら、唐の李克用につけられた綽名か。中国ならそりゃ猛将を龍にたとえるわ、と納得して解散。 / “独眼竜 - Wikiped…” https://t.co/PY3HSoQJ32
— gryphonjapan (@gryphonjapan) 2016年6月22日
独眼竜
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8B%AC%E7%9C%BC%E7%AB%9C独眼竜(どくがんりゅう)は、隻眼の英傑に対して与えられることがある異称である。初例は中国後唐の太祖李克用だが、日本では戦国大名の伊達政宗がよく知られる。独眼龍とも。
李克用
李克用は唐に仕えた武将で、後に後唐の皇帝になった人物である。15才のときに龐稃(中国語版、英語版)(ホウクン)討伐に従軍して目覚しい働きをして、「飛虎子」とあだなされた。一時、父とともに賊とされて北方に逃げたが、中和元年(881年)に赦されて黄巣討伐を命じられ、3年(884年)に長安を奪回する功績をあげた。その時、軍勢は甚だ雄で、諸侯の軍は皆おそれた。李克用の率いる軍団は黒色に統一された漆黒の軍装であった。片目が小さい、または見えなかったという[1]。時の人は李克用を「独眼龍」と呼んだ[2]。李克用が独眼龍と呼ばれたことは、『旧五代史』の他、『資治通鑑』、『十八史略』のようなよく読まれる史書に記されている。
ところで…以下につづく(ひとつ下の記事につづく)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20160623/p3