【仏地域圏選挙】決選投票で極右・国民戦線(FN)は一転して全敗 サルコジ氏率いる右派連合が7地域圏で第1党 - 産経ニュース http://www.sankei.com/world/news/151214/wor1512140016-n1.html
フランス全土で民意を問う地域圏議会選挙の決選投票が13日実施され、即日開票の結果、6日の第1回投票で全国得票率「首位」に躍進した極右政党、国民戦線(FN)は、一転して全13地域圏のすべてで勝利を逃す全敗…
(略)
社会党は決選投票で、…(略)北部と南部の2地域圏で、自前の候補に代えて右派連合への投票を支持者に呼び掛ける選挙戦術を取り、FNの勝利阻止に全力を挙げた
たしかシラクとジャンマリ・ルペンが大統領選の決選投票を争った時があり、その時も社会党はシラク支援を決定、その際、シラクが大嫌いながらも入れざるを得ないということを表現するため、「鼻をつまんで投票」する人もいたとか。
さて、日本。
国民連合政府抗争、いやちがった国民連合政府構想…は進んでいるんだかいないんだかよく分からないけど、そもそも、以前から言ってるように要は「民共合作」である。
ただ、そもそも連合政権を作ることに合意しようがしなかろうが、本当に現在、そういう陣営の対立党派(政権)が国民戦線のように危険だ、ということなら、その反対派の中で、支持率が最大の候補を事前アンケートでも世論調査でもやって決めて、それ以外の党派は立候補をとりやめればいい。
その選挙区で民主党が2位なら民主党候補を残す。維新が2位なら維新。共産が2位なら共産。生活が(以下略)。
もちろん、それほどの危機感を感じていないなら、それは各党派で差異があるのは当然だから出馬するのが自然だろうし、むしろそういう差異があるのに統一するのは野合とのそしりを免れまい。
政権を彼らで一緒につくりますか?という話は、するならしてもいいが、必須ではないし、そもそもその構想がまとまらなくても、上記の選挙区からの自主撤退による実質的な統一候補の選定は可能だ。
もちろん、それはさっき述べたように危機感の問題であり、今回フランス社会党が実際にそれに踏み切ったほどの危機感が、日本で実は共有されていなければ、そうはならないだろう。
ただ、あたしも過去に述べたが、当選がおぼつかないような選挙に、比例代表の票堀りおこしのため「自爆テロ」ぎみの候補を立てるという戦術は、費用対効果で本当にプラスかマイナスかはわからない。そういう諸党派の「自主撤退」はありえるのではないか。要は煎じ詰めれば、「そうしてやるんだから見返りくれよ」「お前ら、本音ではもう自分でも、退きたいんだろ?なんで俺たちが『立ち退き料』を払うんだよ」というのが”国民連合政府構想”の一番の争点なのかと思う(笑)。
「決選投票制度」について
とはいえ、フランスの今回の一件は、「決選投票制度」だったからこそ、そうなったのは間違いない。最初の投票では社会党も右派連合も出ていたのだが。
大統領選挙はともかく、普通の選挙で決選投票制度を持っている国というのはかなりの少数派に属する、極めて特殊なもんらしいけれども、しかし日本で仮にこの制度がとられていたらどうだったのだろうか。
戦後史は、大幅ではないものの、1、2回は微修整されていたのではないか。東京都知事の、歴代の顔ぶれも変わっていただろう。
少なくとも今回の参院選や前回の衆院総選挙で、共産党は民主党候補を決選投票時に支持…ということもあったかもしれない。
公明党はどっちからもひっぱりだこの是々非々政党、決選投票のキャスティングボートをがっちり握って君臨していたかもしれない。
だが自民党も、候補者調整の必要があまりなく「最初の投票は野心家たちを放し飼いにした予備選、決選投票で団結すればいい」という形で、活性化の一方で派閥政治も続いていたかもしれない。
一方、フランスのほうだって、もし一発勝負で決まるのだったら、左派と右派は「反FN」を旗印に事前調整をしたり、一方的に弱い候補が下りることもあったのかもしれない。
あらためて、選挙制度がつくる国の成り立ちを思う。
決選投票制度「ある/ない」、どちらもじゅうぶん民主制度の中に納まる、ほんのちょっとの差異にすぎないし、どっちがいい悪いもないけれどんも、それが生む結果はいろいろ違ってくる。