INVISIBLE Dojo. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「報ステ」の木村草太氏は「現憲法下で核武装もOK」論者?(孫引き、佐藤卓巳氏の本より)


という本を読みました。新聞の論壇時評を中心に一冊にまとめた本で、今はこういう本は売れないからかあまり出ない。でも、出てくれると何しろ時評、月評が元だから、「ああ、こんな議論あったな」「こんな事件でこんな議論してたねえ」と、数年前なのに懐かしい。何しろ「災後」という言葉通りに、東日本大震災を受けた論壇の様子が残っている。

さて、そんな本の一編に、2013年6月の論壇時評がある。
そこで、「各党キーマンかく語りき 新憲法制定への我が決意」(正論7月号)が紹介されている。
タイトル読むだけで、なんか食傷ぎみになるでしょう。西田昌司氏とか中山恭子氏とか…だが、ここで「護憲派」として木村草太氏が参加していたのだそうだ。
正直、2013年時点では当方、木村草太というかたを知っていたかどうか…町内会の強制加入は違憲か合憲か、が論壇で話題になったのはいつだっけかな。そもそも、正論は書店や図書館で時間があるときに読んだり読まなかったりだし。
そして荻上チキラジオなどには出ていたが、本格的にお茶の間(テレビ)の有名人になったのは今年2015から


だからここで、孫引きする形で追体験するんだが、佐藤氏が木村氏の発言に驚いているのですわ。

この座談会に護憲側で出席している1980年生まれの木村草太(首都大学東京準教授)は、現行九条の解釈でおどろくべき柔軟性を示している。「国際状況が著しく緊迫すれば、現行九条においても核兵器保有が許容される可能性もあります」
だから改憲など不要という本音の議論だが…
(P150)

2013年の7月号というと、これだネ。


まあね、いろんな解釈ができるとは思うんだよ。
そもそも、政府や与党側でも岸だ安倍だ福田フフンらがこのへんの発言で騒ぎになったこともある。

で、それに批判的ながわでも、「法理論的には突き詰めると、九条の下で核兵器を持てる」とは認めた上で
しかし政策上、人道上、条約の関係上、持つべきではない……という主張も、何人かの論者から聞いた記憶があるし、あるいは佐藤氏がまとめたように、護憲の立場から「そういうことも現行憲法下で出来るんだから、改憲は不要」という意味でこういう議論が出てくることも充分にありましょう。
枝野幸男氏が、緊急事態条項の改憲に批判的であるがゆえに、現行憲法下でも緊急事態条項が広く認められる、という論に立つ(あるいは因果は逆か)のに似ていなくもない。

非常事態に備える憲法改正は必要か〜震災・原発事故時の官房長官枝野幸男氏に聞く〜(江川紹子) - Y!ニュース http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20151124-00051778/


ただ、論壇時評を書くほど、時事問題には詳しく、この時期に広範囲に論壇メディアを追っていた佐藤氏が「おどろくべき柔軟性」と木村発言について語っているのだから、やはりそれ相応には驚きの発言ではあったのではないか。

さらに詳しく語るためには、上のamazonをポチリと押して雑誌論文を直接読むといいのだが、お金が勿体無いです(笑)。まあ興味あるひとはそうするがよい。或いは図書館でも、まだ2013年7月の「正論」なら保管しているところもあるでしょう。


自分は佐藤卓巳氏の本から孫引きし、佐藤氏が「おどろくべき」と評したことをお伝えすることでよしとする。
(図書館は時間あるときに、心当たりのある場所をあたってみます)