アルスラーン戦記が、角川のほうから(その後、版元は移籍した)出ていた2000年に出版された、解説本に田中氏のインタビューがあった。
これは積ん読状態だったので、ぱらぱらとインタビューだけ読んでみて、面白かったところを抜きだす。
私が興味をひかれたのは例によって
創作やジャンルに関する歴史、系譜の話だ。
(この前に「カタカナの題名では読者がついてこないと言われて『王都炎上』がメインタイトル、『アルスラーン戦記』が従になった」という話をしている)
- 作者: 田中芳樹,らいとすたっふ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2000/05
- メディア: 文庫
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――たった13年前のことなんですね。ついこの間のことでは…(遠い目)。現在では「カタカナのタイトルの異世界ファンタジーが、文庫書き下ろしスタイルで出る」ということに、誰も疑問を持たないでしょうね。
田中芳樹氏 あ、それそれ! その「ファンタジー」という名称からしてですよ。「田中さんのこの作品は、ジャンルとしては何になるんでしょうね」と聞かれたから「まあ、ヒロイック・ファンタジーですかね」と言ったら「ファンタジーとつけると売れないんですよぉ」って。
―ーえええっ!!…(呆然)
その後、田中氏が「ファンタジア大賞」の審査委員を7年やっている間に、応募作品のSF:ファンタジーの割合が5:5からどんどんファンタジーの割合が増え、さらにファンタジー内で細分化した、という話と、角川がグループを挙げてファンタジー業界を独占しようとした…という話を書いている。
自分もファンタジーを80年代半ばには、「アルスラーン戦記」と「ロードス島」を…いや、ロードスは90年代に読んだんだっけかな。
どっちにしても、ファンタジーと銘打つと売れないですねえ、とかは実感はない。
「パラサイト・イヴ」がSFと銘打つと売れないという判断から「SF」が宣伝文句から避けられた、という話はまた90年代後半ぐらいの話か……
なんにせよ、2000年のインタビューで、1986年にはファンタジーと銘打とうとすると出版社のほうがびびってたじろいだ、と話すと、聞き手は「えええっ??」と驚愕した・・・という話も含めて、貴重な歴史証言だろう。