INVISIBLE D. ーQUIET & COLORFUL PLACE-

John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています 

「地上の法か、神の法か?」ローマ教皇が同性婚事務を拒否した米国職員を鼓舞。これは、必然だ…

http://www.afpbb.com/articles/-/3061789

【9月30日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王が米国訪問中に、同性カップルへの結婚許可証発行を拒否したケンタッキー(Kentucky)州ローワン(Rowan)郡のキム・デービス(Kim Davis)書記官と秘密裏に面会していたと、米紙ニューヨーク・タイムズNew York Times)が30日、伝えた。デービス書記官の弁護士が明らかにしたという。

 デービス書記官の弁護士のマシュー・ステーバー(Mathew Staver)氏は同紙に対し、デービス書記官は今月24日、夫のジョー・デービス(Joe Davis)さんと共にバチカンローマ法王庁)大使館に内密に呼ばれ、約15分間ローマ法王と面会したことを明らかにした。面会はバチカン当局者を通じて準備されたものだという。

 ステーバー氏は「法王が来て(デービス書記官に)手を差し伸べた。法王は彼女の勇気に感謝し、『強くあり続けなさい』と語りかけた」と述べた。

 デービス書記官は今月、連邦裁判所による同性カップルへの結婚許可証発行の命令を拒否して収監され、5日後に釈放された。

 

見よや、十字架の 旗高し
君なるイェスは 先立てり
進め、つわもの 進み行き
雄々しく仇(あだ)に 立ち向かえ
 
勇め、つわもの いざ勇め
十字架の御旗(みはた) 先立てり


ローマ教会の改革者であり、貧しいものの味方であり、ついでに同性愛に寛容だ・・・と見られていた(実際そういう面もあるのだが)フランシスコ教皇だが、当然ながら、それでもこういう一面はあるのだ。


そして、当道場本舗が、こういう話題が大好きなことはご存知ですね。
「宗教の常識、世間の非常識」シリーズとでも銘打っておくか。そんなタグでもつけていればよかった。


そういう過去の記事からのエッセンスを抜き出すと、こうなる。
・宗教というのは基本「言ったもんがち」であり「お前がそう思うんならそうなんだろう、お前の中ではな」である。
 
・そこでの「宗教的正義」は「同性婚の手続きをしないのが正義」でも「剣道の授業を拒否するのが正義」でも、「金曜日は休むのが正義」でも、まあなんでもよろしい。
 
・それが個人の選択や権利の中でやれるものなら自由。それが世俗の法や規則に反するなら、きっちり世俗の法でさばくがよろしい。それで当事者は「殉教」するしかない。 
 
・しかしまあ、こういうのは宗教勢力の一種の「特権」でもあるので、パワーバランスによっては、宗教的正義が世俗で認められることもありけり。



世俗が宗教の上に立つ、とはこういうことじゃーーい。

聖職者に同性婚挙式を強制する政府、完全に違憲な宗教迫害
http://biglizards.net/strawberryblog/archives/2014/10/post_1634.html


アメリカの結婚手続きは日本のそれと違って、市役所に結婚届を出せばいいというものではなく、挙式権限のある人に式をあげてもらい、結婚手続きはその人にやってもらうことになっている。挙式権限のある人はなにも聖職者とは限らない。市役所の役員でも挙式は出来る。ただ、その際にも簡単ながらもきちんと式を挙げなければならない。

さて、ナップ夫妻は二人とも挙式権限のある福音書キリスト教聖職者で、結婚チャペルを経営している。しかし彼らの宗教は同性愛を認めていない。そこへ同性のカップルが現れ、式を挙げてくれと依頼した。ナップ夫妻は同性婚は自分らの宗教の教えに反するため依頼を拒否。するとアイダホ市は、市の法律で同性婚は合法であるため、同性カップルを差別するのは法律違反になるとして、ナップ夫妻に拒否する日ごとに、千ドルの罰金と禁固刑180日を課すと脅したのである。

宗教家に自分の宗教に反する儀式を強制することは、あきらかにアメリカの憲法補正案第一条にある、言論の自由と宗教の自由を保障する項目に違反する行為である。

一方で、それを拒否するとはこういうことじゃーい。
記事への当方のブクマ。

gryphon あのさ、ひところ「ドイツの軍人は良心に基づき命令を拒否できる!」が、賞賛されたよね。でも彼女って、その姉妹やで。彼女も良心に基づき拒否したんやで。その「良心」を誰が保証する?知るか。

ケネディ・ジレンマ」は正しかったのか?「ローマ教皇が一声かければ、カソリックは国家より教会への忠誠を優先するのではないか」という問い。

過去記事で紹介しています。
今回の書記官がカソリックだったかどうかは知らないが…
(あとから判明。そうではないらしい)

ケネディ時代「カソリック信徒は教皇への服従義務があるから大統領にするのは危険」という議論があった - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130812/p2

 

JFK―大統領の神話と実像 (ちくま新書)

JFK―大統領の神話と実像 (ちくま新書)

(引用)
カトリック教会はその信者の絶対服従を要求する。服従は教会の神父に対してだけではなく、その上の司教、さらにはその上の枢機卿ローマ教皇に対してまでおこなわれなければならない。このような教会組織の出す命令に対して服従がない場合には破門となり、教会から追放され、家族や親族から隔離されてしまう。破門となった場合には死んででも家族と同じ墓地に埋葬されることがない。
このような条件の中で、たとえばバチカンにいるローマ教皇アメリカのカトリックの大統領に対して、あることを命令したとしたらどうなるのであろうか。ある国家との戦争突入や和平交渉の進展といった大きな国際問題でも良い。あるいはある種の犯罪者の釈放と言った細かなことかもしれない。その場合にアメリカの大統領がどのようにふるまうのであろうか。

これは本の著者も言っているように、特定宗教への差別や偏見でなく、正式な教義を検討すると
「論理の筋の通ったもの」「極めて深刻で本質にかかわる問題提起」「ケネディ陣営は正面から対応できなかった」「この問題は、いまだに決着をみていない」
な、ものであった。
その記事でも書いたが、麻生フランシスコ太郎が就任したとき、それが問題にならなかった日本国は寛容だねぇ(笑)。




しかし、とある人が国に忠誠を誓おうが、神に、あるいはその地上の代理人たる教皇と教会に忠誠を誓おうが、それはとめることができないのである。
人は地上のどこにいようが、
イスラム国」・・・ダーイシュに忠誠を誓い、心の中で自分をその国民と見なすことも出来るのである。

カリフ復活とイスラーム国(IS)を材料に「国・忠誠・正統性」とは何か—をあらためて考えてみる - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140817/p4


一向一揆で、大名に叛旗を翻した武士たちはこういうスローガンを唱えた。
「主従の縁は一代、 弥陀の本願は永劫にたのむべきものなり」


バチカンの狐”フランシスコの「強くあれ」は、ド=ゴールの「自由ケベック万歳!」に匹敵する

ような、しないような。

wikipedia:自由ケベック万歳!
自由ケベック万歳! (フランス語: Vive le Québec libre!  発音: [vivᵊ ləkebɛk ˈlibʁᵊ])は、モントリオール万国博覧会のためにカナダのケベック州モントリオールを訪問したフランス大統領シャルル・ド・ゴールが1967年7月24日にモントリオール市庁舎のバルコニーにおいて行った演説の中で繰り返した絶叫である。カナダ首相レスター・B・ピアソンもこの演説に反論して「カナダ人は解放される必要など無い! 」と強い憤りを表明し、両国間の緊張を引き起こした。ド・ゴールの演説は40年以上経過した今日のフランスとカナダの関係にも暗い影を落とし続けている。


……演説の中で、ナチス・ドイツの支配からパリが解放された(パリの解放)後に、凱旋した時と似たような雰囲気を感じていると語った。「万歳モントリオール! 万歳ケベック! 」という言葉で演説を締め括るように見えたが、その後に「ケベック万歳・・・自由な! 万歳、万歳、フランス人のカナダ万歳! そしてフランス万歳! 」という絶叫を付け加えた[9]。ド・ゴールはマイクの前に身を乗り出し、それまでよりもゆったりとした口調で、声を大きくしてはっきりと話し、特に「自由な! (libre! )」の部分で語気を強めた。群衆からは歓喜の声が巻き起こり、ド・ゴールがバルコニーから去った後に「自由ケベック万歳! 」と繰り返し叫んだ[9]


任期もあとわずかになったオバマ大統領が、後世にヘリテージ(遺産)として語り継ぎたいと思っているもののひとつが、同性婚であろうことは間違いない。

それを宗教国家(言うまでもないが、バチカンって民主主義国家でも自由主義国家でもない。コンクラーベが自由選挙だというなら、まぁアレだが(笑))の元首が、国家への叛乱者(だよな)である職員とわざわざ面会し「強くあれ」という、というのは明確な敵対行動なんだよな。


アメリカのグリンベレーと、バチカンイスカリオテ機関との全面衝突だけは回避してほしいものである。