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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

東村アキコの新作漫画は「謙信女性説」がテーマ。ジェンダーの問題も含めて描き切るか?

http://natalie.mu/comic/news/139632
東村アキコ鎌谷悠希らの新作が掲載されることがアナウンスされていたヒバナ。東村は上杉謙信を題材にした初の時代劇「雪花の虎」…

とアナウンスされていたけど、実際に読んでみると、一部では有名な奇説「上杉謙信女性説」を題材にしていたのであーる。

ちょっと面白いのは、その時代背景や議論の根拠を文章で説明する時、ページを二段に分けて「ここからは小難しい説明になります。歴史好きは上の文章を、そうでない人は下を読んで」とし、上では細かい史料や記述の紹介、下は作者当人が出てきて「自分お歴史知識なんて『信長の野望』で得たもの」とかの自虐謙遜をだらだらとやる(笑)。
 
二段に分けての話の同時進行、はこち亀でもやっていたが…自分の持論だが、「ジャイアント馬場は絶好調の時に『椰子の実割り』を出すように、ギャグ漫画家は好調の時になぜか『手法』で遊びたがる」と思ってます。
今回のこの二段分けの手法は、彼女の好調、ノッテる証のような気がしますね。


んで、驚いたのは、謙信女性説は奇説にしても、それなりに根拠をうまく組み合わせて「ほほー…」と宗像教授の伝奇考察に思うレベルで良く出来てるんだな、ということ。
作者本人も「ウィキペディアをもとにした」と言ってるので、そちらをみてくれればいい。
ウィキペディアの「上杉謙信女性説」


そして、よしながふみ「大奥」がそうであるように、この設定を使って「男性は戦う、女性は家を守る」といったジェンダー的なステロタイプへの批評、女性の自己実現…というような問題にも踏み込むような気配も確かにある。
謙信の兄で、本来なら次期当主になるべき男性が戦嫌いで『軟弱』であり、そのためにわかき謙信が女性なのに男の子として育てられた・・・という設定もあります。
たしかに謙信、兄を差し置いて長尾家の当主になったのだっけ。


さて、これからどうなっていくか。何しろ彼女にとっても新分野なので、どこまでうまくいくかは期待と不安が半々です。