訃報に際し、お悔やみをもうしあげます。
こういうまとめを、twitterから抽出させて頂きました。
松本健一氏逝去〜その反響 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/751252
ここにも収録しているからちょっと重複になりますが、氏の逝去について思ったこと、著書の思い出話をtwitterから転載します。
gryphonjapan @gryphonjapan 2014-11-29 08:41:36
松本健一氏の訃報に接し、過去の著作紹介文章を。当時はラノベについてよく分かっちゃいなかったけど、多少学んだ今は「河井継之助と小林虎三郎をSFラノベに変換可能」論はやはり正しいと思う(笑)「米百俵」のモデル小林虎三郎と河井継之助−戊辰戦争140年(完全版・1エントリにまとめました) -http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080409/p4
松本健一氏が小林虎三郎伝を書いたときにタイトルに引用した、虎三郎の漢詩。
天に万古の月あり
- 作者: 松本健一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1992/05
- メディア: 単行本
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我に万古の心あり
清夜高楼の上
欄によっていささか襟を開く
天上万古の月
我が万古の心を照らす
自分は松本健一、若い頃に集中乱読したため個々の書籍のイメージが溶け込んでいるな(笑)。大学に彼の本が相当マイナーなものまで含めてあった。やはり昭和初期の超国家主義者を「反体制」「革命」的な視点を加味して読み替えたのが秀逸であった。といっても実証性や客観性というより圧倒的に「ロマンチックさ」を優先させていたっぽい、というのは素人の読者からでも感じられた(笑)。だから彼の作品、ジャーナリズムやアカデミズムに負けないほどサブカル・フィクション方面に影響を与えたんじゃないかなあ。北一輝なんて、司馬遼太郎の新撰組同様、史実以上に「松本健一が読み替えた北一輝像」から派生したイメージのほうが人口に膾炙しているっぽいよね(笑)。村上もとか「龍」とか。それでいい…というのはちょっと生々しい対称だけど、いい悪いというよりもはや「どうしようもない」(笑)という感じだ。
間もなく、文庫?が出る予定だったんだね
- 作者: 松本健一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2014/12/20
- メディア: 文庫
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大川周明は北と対比されつつマイナーだが「大川周明ー100年の日本とアジア」はそのぶん冷静で読み応えがありすごく面白かった記憶がある。「パトリオット/ナショナリスト」を使い分け対比させるのは彼オリジナルでないかもしれんけど、自分は氏のこの本で知ったかな?
- 作者: 松本健一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2004/10/15
- メディア: 文庫
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頭山満の評伝「雲に立つ」も面白かったな。豪快な人格的魅力で思想的矛盾を覆い隠してしまう、というのは、論理としてははっきり弱点だが、面白いのはまちがいないもんな。
- 作者: 松本健一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1996/10
- メディア: ハードカバー
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現在小林よしのり氏が連載中の「ゴー宣大東亜論」もかなり元ネタにしてるっぽい。(続く)
頭山満が玄洋社の中で孤立した時を踏まえた教え
- 作者: 小林よしのり
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/01/08
- メディア: 単行本
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「一人でいても寂しくない男になれ」
というのはその小林よしのり漫画でもピックアップされている。
その小林氏がかつて関わった「つくる会」に誘われた松本氏は、この言葉を引いて合流を断ったのだった。
司馬遼太郎と親交があって「白旗伝説」(この本の議論の信憑性はどこまでだろう…)
などにもアドバイスをもらったり、追悼の評論本を書いたり司馬遼太郎賞を受賞した人だが、「司馬さんが取り上げない人物をなぜか自然と書いている」と言ってた。小林虎三郎もこの典型なんだよな。「峠」への対比。
- 作者: 松本健一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/05
- メディア: 文庫
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gryphonjapan @gryphonjapan 2014-11-29 09:25:17
最後に。d.hatena.ne.jp/gryphon/200903…で紹介した「アメリカ合衆国皇帝ジョシュア・ノートン」なる人物を知ったのも松本健一氏の著作(「昭和最後の日々」)。ちょっとした短文コラムでの紹介で偶然みたいなものだが、それだけでも恩がある。安らかなれ。
- 作者: 松本健一
- 出版社/メーカー: リブロポート
- 発売日: 1989/07
- メディア: 単行本
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「アメリカ合衆国皇帝およびメキシコ護国卿」ジョシュア・ノートン一世陛下が突発的に話題になって非常に嬉しい -http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090309/p3
23日の浅羽通明講演会で「追悼・松本健一」というテーマをやってくれるようリクエストしました。
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・日時:12月23日(火・祝) 14時開場・14時半開始・17時45分終了
・場所:KKベストセラーズ本社ビル2階第一会議室
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1.ご質問を募集します
2.ご質問を受け、中心テーマを決定します
3.正式にご案内し、お申込みの受付を開始します
昨日の夜、こういうメールを出しました。
【質問(要望)】
・まことに残念ながら、本日松本健一氏の訃報に接することになりました。まだ68歳。
浅羽さんの「ニセ学生マニュアル」にも、またほかの著作にもいろいろ言及があった方です。
「追悼 松本健一 〜氏の業績、思想を浅羽流に振り返る」をリクエストいたします。