高倉健氏の作品をそんなに見ているわけではない。
ヤクザ映画はほとんど見てないし、見たのは「幸福の黄色いハンカチ」のほかはハリウッド進出の「ブラックレイン」や「ミスター・ベースボール」とかだった。
ハリウッドでは「高倉氏が無口で控えめだが渋い」を「日本人は無口で控えめだが渋い」に変換した部分もあったんじゃないかな(笑)
子どものころ「南極物語」も見たのだが、こどもなのでいぬしか覚えてない(笑)隊員が高倉健だったというのは覚えてないというか知らなかった。
高倉健というと逆に「逸話」「伝説」が面白いということで逸話で知ってるというパターンの人だ。カツシンや村田英男的な。
あと、沢木耕太郎のエッセイにも時々登場していて、その印象が強い。
その文章は一種の叙述トリックがあるので、「そのエッセイはXXXXで、…という内容がある」と紹介するとアレな部分があります。
それを知りたくない人は、以下の数行を飛ばしてください。
http://blog.goo.ne.jp/h-nikkourei/e/ca434d632538f99d30b79bc4626ae984
- 作者: 沢木耕太郎
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- 発売日: 1989/05/29
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のなかの「角ずれの音が聞こえる」冒頭
「『暖炉の火って、いいなあ』
と《彼》が言った。
『いいですね』
と私も言った。」でこの章が始まる。
部屋には《彼》と私を含め7人の男性が思い思いの場所でウィスキーではなく、《彼》の好みのコーヒーを飲みながらくつろいでいる……http://polepolesyokudou.blog136.fc2.com/blog-entry-239.html
ノンフィクション作家の、沢木耕太郎。
彼は、ボクシングのルポ「 一瞬の夏 」を、
カシアス内藤を、主題にして、書いてました。
「 俺より、君が観たほうが、イイ。」
健さんから、ロスで行なわれる、ヘビー級タイトルマッチ、
ラリーホームズ vs モハメッド・アリ戦の、
特等席一枚を、渡される。
沢木は、お礼として、健さんだけに、そのルポを出筆・報告。
http://www.youtube.com/watch?v=RQgOw7SGJ4U&feature=player_detailpage
20年以上経って、
「 俺だけで、仕舞っておくルポじゃないから、発表しな。」
スポーツ雑誌・ナンバーに、掲載
逸話集では
【伝説】高倉健が何故ヤバいのかを「あなたへ」まとめ【エピソード】 - NAVER まとめ http://matome.naver.jp/odai/2134216647419906401
漫画の松田優作ドキュメント
松田優作物語―ふりかえればアイツがいた! (06) (ヤングチャンピオンコミックス)
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そんな中で、ちょっと風変わりな「高倉健の思い出」ツイートが投稿された。
ハードでボイルドな矢作俊彦氏だった。
https://twitter.com/orverstrand
矢作俊彦 @orverstrand
(1)20代前半でほぼプーだった。バイトをしていたCM制作会社をサボって青山斎場前のウエストで本を読むのが日課だった。ある日、大声で銭の話を喚く客がいた。煩いとガンを飛ばしたが連れでこっちに背中を向けてる男の肩がイカつかったので何も言わなかった。30分ほどでそいつらは席を立った。
(2)イカつい肩が振り向くと郄倉健だった。おれの方へ歩いてきた。「お騒がせしました」と軽く頭を下げて出て行った。一回ガン飛ばしただけ。顔も合わせていない。ああ嫌なやつ。どっかの婆あみたいな自意識だとおれは思った。こういうのを『いい話』と思わないからメジャーになれないんだろうなあ。
(3)これは彼自身とは関係ないことだけれど全共闘運動の高揚が『止めてくれるなおっ母さん』とやったときに『戦後/民主主義』の民主主義じゃなく戦後の方にだけ取り込まれてしまった。郄倉健の花田秀次郎ではなく渡哲也の藤川五郎を志向していたらどんなことになっていただろうと今も溜め息が出る。
これに対して自分はリツイートして、こういう感想を述べた。
gryphonjapan @gryphonjapan
前RT
高倉健の訃報に際し、様々な形で故人の謙虚さや気配りへの賞賛を読んだけど、無頼派の矢作俊彦氏@orverstrand による「煩い連れがいる男に腹を立てたが、その男の背中のいかつさにびびって何もいえなかった。それが高倉健だった」という「悪口」が、逆に一番の賞賛になってるなあ
なんだかんだと矢作氏は「喧嘩っ早さ」や「無頼派っぽいムード」を漂わせている人。作中でもよく路上のケンカについて肯定的な話を書いている(まあ勿論、それが本人のケンカ論かどうかは留保しないといかんけど)
それがバリバリ20代だから、今以上に無頼派、武闘派だったんじゃなかろうか。そういうことにしたほうが面白いし(笑)。ところが、その無頼派・矢作を、「背中のいかつさ」だけで圧して、手も足も出させない(しかもその時は、高倉健だと相手は分からない状態なのに)という……
年代にしては高身長でガタイもよく、物理的に強そうだが、やはりそういう迫力があったんだねえ。
時に、このツイートを話題にしてたら「ハードボイルドのくせに、相手を見てケンカを売るかどうか決めるなんて。矢作俊彦にがっかりした」という人がいて、おいらは「いやそういうところ、小ずるさというか哀歓というか、そういうのを含めたものが矢作り流のハードボイルドじゃないか?」とかえし、世の中でSFの定義の次に不毛な「ハードボイルドの定義」で時間を消耗したことであったよ。