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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

壁の中で執った筆〜「死刑囚絵画展」、9月に続いて、10月には14年公募作品を公開。

ハフィントンポストより

死刑囚たちが筆に託した心 渋谷で絵画300点を展示
http://www.huffingtonpost.jp/2014/09/21/condemned_n_5858770.html


死刑囚たちが描いた絵三百数十点を集めた展覧会が渋谷区文化総合センター大和田で23日まで開かれている。開催の元手は、1974〜75年の連続企業爆破事件にかかわった大道寺将司死刑囚(66)の母幸子さん(故人)の基金死刑廃止を求めてきた支援者は「死刑を考えるきっかけに」と訴える。

行ってきました。
会場は撮影禁止だが、上のハフィントンポストでは数点の画像を見ることができる。
興味深かったのは、当然死刑囚といってもその階層や社会人時代の歩みにはさまざまな違いがあり、絵とのかかわりもいろいろ。中には社会で絵を描いていたり、その仕事に関わったりしている人もいる。一方で教育も満足に受けられず、芸術への興味も素養もない人もたくさんいる。
だが、どこの人たちも共通して、労働なども免除されているから「塀の中で、時間をもてあます」という状況になる。そうすると絵や工作などは、やはりやりたくなるものらしい。

そういうかたちで一から絵筆や鉛筆をもって描かれた一見稚拙な絵や、子どもの絵のような素朴なものが、技術を開花させての緻密で壮大な絵とふつうに並ぶところが興味深い。
アニメキャラクターや映画の模写みたいな作品もあったり。
花輪和一刑務所の中」ばりに、塀の中で食べられるお菓子の袋を丁寧に写生した絵もある。これがなんか好きだなあ。
死刑囚の年越しの食べ物は
「ミックスサンド、かりんとう、サッポロポテト、キットカット」などだった由。
 

「だれが描いたか」について

一方で「誰が」描いたかが分かれば、また意味が違ってくる。
ある意味、本気でこれを「見せもの」的に扱うなら、その作品の名札の脇に、何の罪で裁判にかけられ死刑判決を受けたのか、あるいは冤罪を訴えているのか云々という解説の板や新聞の記事でも貼ればさらに興味をもたれるだろう。

たとえば「青酸カレー事件」の林真須美死刑囚の出した絵は…はっきりいって、かなり稚拙に見えた。フツーの絵で、あまり美的価値は正直感じなかったのだが、あの林死刑囚かと思うとまたちがってくる。

…だが、基金はもちろん、そういうセンセーショナリズムの見世物ではないという意識があるらしく、そういう点は一切説明がない。それはひとつの姿勢であり、好ましさを感じた。

だが、それでも各死刑囚の名前や犯行の事跡を知っていると視点も違うのだろう。あらかじめ予習したり、スマホの検索機能を使うと良かったのかもしれない。
 

いろんな作品あれこれ

中にはびっしりと字が書かれているものもある。なんとか基地反対闘争、とかいさましい言葉が並ぶが「支援団体がそういうところで、差し入れる雑誌がそういう傾向のなんで、そういう文字が並んでいるだけ」との解説を受けた(笑)。その真ん中にグラビア女性の模写らしきものが描かれているのはなんとも。
正直、作品の中には拘禁反応か何かで、精神のバランスを失っているのではないか、というものもあり、製作時の精神状態でもまた一律ではない。


さらに興味深いのは死刑制度に対する批判の表現も多々あることだった。
そりゃ…当人たちが一番熱心勝原理的な「死刑制度反対論者」になるのは理の当然だな。これを「あまりに自然な人間の感情」と見るか「あまりにも虫が良すぎるエゴ」と捉えるか、それは見方が分かれるが、表現としての迫力が異様なまでにあることは認めざるをえない。


一方で、何かトラブルがあったのか「支援団体を信用するな」「あいつらが日本のガンだ」的な怒りを向けている作品もある。このへんは微妙なところがたくさんあっておもしろい。

映画「凶悪」のモデルになった後藤良次死刑囚は絵に歌をそえていた

「人はいざ ただ一時の余暇時間 われの心の内わからずに」

「獄窓に 月の明かりが 一直線 われにかがやき 二度と見られぬ」


10月に「14年度公募作品」を飾るそうです。

残念ながら、今回の展示は23日で終了してる。今までは、作品を募集して賞を選定はしていたが、一般にそれを展示する機会はあまりなく、今回の展示はつい最近のこころみだったのだという。それで「2005-2014年」と銘打った。


で、もらったパンフには「2014年公募作品は10月に公開します」とかいてあった。
具体的にいつ、どこでというのは分からないが、10月11日はこういう催しが新宿区であるという。

【東京】世界死刑廃止デー企画「響かせあおう 死刑廃止の声2014」〜死刑がつくる冤罪〜 : アムネスティ日本 AMNESTY http://www.amnesty.or.jp/get-involved/event/2014/1011_4837.html

日時
10月11日(土)13:00開会(12:30会場/終了予定17:00)
※集会終了後、新宿駅方面へ向かうデモを予定しています。

場所
四谷区民ホール(新宿区内藤町87番地)

参加費
当日券:1200円/前売券:1000円

出演
青木理(ジャーナリスト)
西嶋勝彦(袴田事件弁護団長)
袴田ひでこ(袴田巖さんの姉)

お問い合わせ
死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90
TEL:03-3585-2331/FAX:03-3585-2330

ここでのロビーとかで展示なのかな?ただそうなら明記してあっただろうから、違うのかな。そのへんは不明。
青木理氏は死刑に関する本も出していた。

絞首刑 (講談社文庫)

絞首刑 (講談社文庫)

追記 関係者からtwitterで「この催し、10月11日の時に展示される、で間違いない」という確認をしてもらった。この日に作品が展示されます