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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

UFC JAPAN雑感…「パッケージ」としての面白さ満載の最高興行

・フルタイムのシーソーゲームあり、一撃必殺あり、アップセットあり、世代交代あり、旧世代の奮闘アリ…と、すごくバラエティに富んだ面白さによる、かつて全日で武藤が提唱していた「パッケージ興行」に期せずしてなっていたと思います。
  
・ちょっと既に書いたかな、一番のサプライズは、全盛期PRIDEとバージョンが違うとはいえ、会場のさいたまスーパーアリーナが超がつくほどの満員になったということ。よく考えたら菊野克紀中井りん堀口恭司などなどは皆、その名前で後楽園やディファに客を集める一枚看板に成り得る選手。そこに秋山成勲マーク・ハントもいた。単純な足し算ではないとはいえ、まあうれしい興行人気でしたよ。「来年もUFCはある」というのもまんざらリップサービスでもないかも。デンツーはいないそうだが。
 
マーク・ハントのKO劇、相手がゆらーりとゆれて、そのままバタンとKO負け。ハントも追撃がなく、そのまま手を上げる…というのは時代劇や西部劇の1シーンのようで。マジメに考えればあれは元キックボクサーの悪い癖で、本当は何も考えずにダウンの相手を追撃していくような戦いぶりが理想なのかもだが…しかしそれが名シーンを生んだ。
次の相手は、二強のJDSやケインに挑戦もできる立場ではあるが、PRIDE無差別GPのリベンジと考えればジョシュ・バーネットもいるし、相手がミソをつけたとはいえアリスターやペザオンもいるかの。
案外一番の落ち着きどころは、トラヴィス・ブラウンvsマーク・ハントなのだがどうでしょ。次の試合はいつかな。
 
・田中路教vsカン・ギョンホは「一進一退」を絵に描いたようなすごいシーソーゲームとなり、スターが多数出演の中でもみごとファイトオブナイトを獲得。最初のラウンドのカンの攻めと、後半の田中の盛り返しはそれぞの長所が出た気がするが、逆に両者の前半・後半の短所でったゆえかもしれない。
しかし勝敗のアヤはほんのわずかで、最後にもつれたところから短時間だけマウントをとられた、あれは惜しかった。本当に接戦とはいえ、今後の進路は互いに大きくかわっていくひとつの白星と黒星だろう。アヤというしかない。
 
・その逆にストラッサーこそ国本起一は非常に幸運な勝ちをひろった。漠然とした会場イメージでは、猛追及ばずだったのだが、どうも2Rを微差でとったのだろうか。まあ「ほう、勝てたのか」という感じで、ぜんぜん腑に落ちないという試合ではなかった。それもまた彼の試合の中での努力のたまものだろう。
 
中井りんはなんと判定に不服でコミッションに控訴とのコト。いや、実は会場では、ほとんど尻餅程度の明白では無いものとはいえテイクダウンをしかけ、バックも奪う光景を見て「ありゃかちかも?」には見えたのだった。だけど、今回はたしかに大健闘だったが、地力の強さはどう見てもティトに見えた(笑)。ようはやっぱり穴というか決め手の欠如というか。…だが「何もできずに秒殺される」「あきらかに」不釣合いな見せものファイト」的な予想を自分も含めしていたのだから、明らかに我ら土下座ものの大健闘なんですよ、繰りかえすが。すごかったが、継続参戦はあるか、あれば勝てるか…?と聞くと、うーーーーんだ。逆に海外の「中井りんへのオファーはあきらかにミステイク」論者はこの試合をどう見たのかな。
 
堀口恭司の勝ちは、はなから日本勢の一勝としてカウントしていた、というとちょっと油断しすぎかな。UFCはどこに落とし穴があるかわからない。でも結局デビュー3連勝だ。フライ級はいつ、上の試合のオファーがあるかわからない。マイティマウスはすでに照準に入っているのだろうか。
  
菊野克紀は、例によってガードをさげた戦いなので…UFC初戦と二戦目で分かるように、当てればオキナワケンポー炸裂!武がUFCを変える!!となるし、負ければ「へんなトンデモ理論に傾倒して、常識的な戦法を捨てたからだ」となる。だから…おかしな話だが「試合のスリリングさ」では圧倒的な魅力があるのだよ(笑)。まあ、「フツーに勝ってくれ」とも思うのは事実で、実際、今回のように絞め技でキュウと相手をたたむ様を見ればほっとする。ただ、カネを払ってどきどきワクワクする、という”見世物”としては、キクノのノーガード的な構えでケンポー、カラテ的な一撃を狙うという戦いは面白い。どーしたもんかね。 
 
・一方で「サクラバ式アームロック」を世界に見せる間もなく再度沈んだ佐藤豪則、1RKO負けとなった五味隆典。相手との勢いの差が明白で、今回は正直黒星計算をしていた。だが残念なことにはやはり代わりが無い。UFCの解雇通告あるのか、ないのかも気になるところ。
 
・その逆に、秋山成勲は39歳という年齢と、韓国での芸能活動、負傷明けなどもあって正直「ここで敗戦し契約は終了。引退宣言して本格的に芸能人として…」な状況になると思っていた。しかしアミール・サダローの実績はそれほどでもないとはいえ、常に主導権を握って完勝。みごとなものだった
たぶん今後の格闘技生活は、ランキングを上げてチャンピオンを狙うのではないだろう。いわゆる「レジェンド・ファイト」をやるのが、本人にとってもUFCにとってもいいWIN WINのはずだ。ヴァンダレイ・シウバは運悪く綺麗にすれ違うこととなったが、ほかにもそういう選手がいるようなね…ヘンダーソン一階級上か。そんな感じの。
 
金原正徳の相手は、見た目がHERO'Sかどっかに出てきた「ブルースリーマニア」そのもので、どうにも強く見えないのが難点だったが、UFCで連勝してたらんカーだったという。そこに代打出場で勝ったのだから綺麗な横入りだった。
しかし、「じゃあ何で今までUFCのほうが彼を参戦させなかったんだ」といいたくなるよ、やっぱり。
今後、「戦極最強」を日沖発と一緒に証明していただきたい。