「ボーイズはボーイズ。香山リカは香山リカ」という言葉がある。ねえよ。
きのう書店を覗いたら、平台には
彼女が書いた新書が、またも新刊が出ておりました。
「ねつ造」と認定されたSTAP細胞論文、一から十まで詐欺だった「現代のベートベン」、「真犯人はやっぱり自分」と自白したPC遠隔操作事件の片山被告、これらは数例の事例が偶然重なっただけだろうか。いや、明らかに日本人は劣化している。生真面目で慎重、誠実といった、日本人の美徳が音を立てて壊れていく。
《章目次》
プロローグ――二〇一四年はこれまでと違う時代の始まり
第1章 STAP細胞問題――綺麗な“リケジョ"の強すぎた自己愛
第2章 偽ベートーベン問題――“感動したい、もっと売りたい、目立ちたい"
第3章 パソコン遠隔操作事件――社会への恨みと自己愛の狭間で
第4章 止まらないヘイト・スピーチ――公道で「死ね! 」「殺せ! 」と叫ぶ人たち
第5章 劣化する政治家たち――その発言、公人としてアウトでしょ!
第6章 SNSが日本を滅ぼす!?――性犯罪・いじめ・自殺と“つながる"ネット社会
第7章 知性の劣化と言論の危機――反知性主義と市場の徹底化はパラレルに進む
出版社からのコメント
】
日本人の美徳が壊れていく
科学界の頂点に位置する『ネイチャー』誌に発表されたSTAP細胞論文は「ねつ造」と認定され、取り下げの見込みだ。“感動の実録ストーリー“――現代のベートーベンは一から十まで詐欺だった。「すわ、冤罪か」と集まった支援者を裏切るように、片山祐輔被告は「真犯人は自分」と自白した。
これらは数例の事例が偶然重なっただけだろうか。いや、明らかに日本人は「劣化」しているのではないだろうか。半世紀前の私たちは、こんな事件を短時日に立て続けに起こしたりはしなかった。生真面目で慎重、誠実といった日本人の美徳が壊れていく。
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以前は、こんな本を出しておられた。タイトル丸かぶりすぎるとちゃうんかい、と思ってしまったことも事実だ。
知的能力は低下しモラルハザードは崩壊した。本の劣化・ゲームの劣化・ビジネスの劣化・政治の劣化など日本人全員が小学1年生になったのか。「劣化やめますか、それとも人間やめますか」くらいの覚悟を!! (講談社現代新書)
内容(「BOOK」データベースより)
知らず知らずのうちに日本と日本人の学力・知性・モラルの崩壊が始まっている。
あれよ、上の記事で「UFCの放送、大会が多すぎる」とぼやいたが、香山リカ氏の出版ペースを考えればそんな弱音を吐いておられないだろう(笑)。
なぜこんなに新書を出す、と言われれば、彼女の本が売れるからだろう。違う版元から次々と出ていて、どこのプロモーションにもゼニの雨を降らせてマーケットを潤す…言うたらバディ・ロジャースであり、アンドレ・ザ・ジャイアントですよ。一団体に閉じこもって自称してるだけのオカダカズチカとは違うっ。
だkれかが彼女の新書を買う、その儲けで出版社も他の本を出し、その儲けで一人の名コラムニストが、連載を急に打ち切りにされても困窮することがなければ、廻り回ってプラスだと、ポジティブに考えたい。
さて、タイトル問題。これは「一つの民族を対象に、その属性でひとまとめにしてDISって」ない?
あ、小見出しだけでいいたいことは言い尽くしちゃった(笑)
売れるから「嫌中憎韓」 書店に専用棚 週刊誌、何度も
http://digital.asahi.com/articles/ASG2977HYG29UCVL00Z.html
東京・神保町の大手「三省堂書店」。1階レジ前の最も目立つコーナーに刺激的な帯のついた新書が並ぶ。
「これでもまだあの国につき合いますか」「あの国に学ぶことなど一つとしてない!」「どうしてこの民族はこんなに自己中心的なのだろうか」
これは衆院議員のコラム
http://blogos.com/article/83581/
最近、書店に並んでいる本のなかには、ちょっと嫌なタイトルの本があります。中国や韓国を悪く言う本が多いです。書名に「悪韓論」「呆韓論」「嫌韓流」といった怖い用語が使われているのは、やはり異常な風潮だと思います。
そういうことでタイトルへの批判が多いわけだが、一つの民族だか国民に対して「劣化」もなかなかに剣呑だと思うな、フラットに考えると。このへんはロジャースというよりフレッド・ブラッシーかな(笑)
さて、記事タイトルには客を呼べる香山リカを入れて釣ったが(笑)、こういうタイトルは香山はんだけじゃない。香山氏をリベラルと言うのはリベラルに気の毒だが、まあ非保守だとして、保守を自認する以下の人も、以下のようなタイトルの本を出してシリーズ化しているのは有名。
この二人は対談本も出してたり。
こう、弁護できるかもしれない。
「二人とも日本人、日本国籍保有者である。自分たちも含めて批判、悪く言っている反省の書だから、いわゆるヘイトなタイトルではないのだ」
つまりこういう本と同様だという……
- 作者:シンシアリー
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2014/05/01
- メディア: 新書
- 作者:シンシアリー
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2014/08/31
- メディア: 新書
あるいは「本当に民族とか人種とかの区分じゃない、その『社会』『体制』『構造』を批判しているっていう意味なんだ」
これは大体の韓国批判本、中国批判本もそういうわな。
「個別の、特定者に対して『劣化』「幼稚」といってるのじゃない。あまりに広い対象の場合、マナーや道徳の点では問題だろうけど、例えば法的に違法とされるのは違う」
・・・これは日本の「現行法」がそういうふうな考え方をとっているとおぼしい。
そして実際、「劣化する日本人」や「日本人は幼稚に…」という書籍(のタイトル)を、違法化するべきか、というと、少なくとも自分はそう思わないのである。
「個人としてのAさんBさん」への名誉毀損は成立するが、もっと広い範囲では名誉毀損が成立しない現行法にも、応分の理がある、ということはもう少し想起されてもいいのではないか。
以前、こう書いた。
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140519/p3
自分は「この国の言論や表現を『白い服の男』には委ねない」をココロの合言葉にしている。「白い服の男」って、誰もが知ってる有名な話、というわけでもないけどさ。この話についてはこちらを。
星新一「白い服の男」ウィキペディアから転載 -
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140116/p1
- 作者:星 新一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1977/09/01
- メディア: 文庫
香山氏の新刊、タイトルと裏腹に(笑)、中では「ヘイトスピーチ」批判してるみたいなんだよな
「第4章 止まらないヘイト・スピーチ――公道で「死ね! 」「殺せ! 」と叫ぶ人たち」
いや、
「志村、うしろうしろ!!」
みたいに
「香山、タイトルタイトル!!」
だよ(笑)。
まあそれはともかく時代は「『死ね、殺せ』自体はヘイトじゃない。生来の属性へのもののみがヘイトスピーチなんだ」という議論もあって、どこまでその論に沿っているか、あるいはそれを論駁してるかに注目。
ちなみに自分は非生来属性でもそうでなくても、そもそも最初から「死ねとか殺せとか使うな」派なわけだが。ブクマとかでも、反省して行動を改めたほうがいいよはてな民諸君(笑)
ただ、時々は「死ね」といわないとバランスが取れない、という意見もある。
https://twitter.com/tako_ashi/status/501600007359705088
小田嶋隆
@tako_ashi
気がつくと婉曲な表現を選んでいる。「不可能」を「困難」に、「嫌いだ」を「好まない」に、「無駄だぞ」を「効果が低い」に書き直す度に、自分が少しずつすり減って行く。ときどき「死ね」って言わないとバランスがとれない。この気持が分からないヤツは死ね。大切なことだからもう一度言う。死ね。 [はてなブックマークで表示]
以上、本当だったら、香山リカさんのキャラクターに合わせてこっちも「受身を取る」(テイキング・バンプ)すれば本来は何事もなく進んだのだが(笑)、ちょっとリング上で不意に「ガチを仕掛け」させてもらった(笑)
2016年初頭、北田暁大語る
https://twitter.com/a_kitada/status/683239903740559360
北田暁大
@a_kitada
ましてや、近年の流行語ともいえる「劣化」、人間を物として形容する言葉を特定の属性の一般的傾向として表現こと、そしてその言い訳として「…さんは別です」という典型的な差別語彙を、さしたる思慮もなく使ったとすれば、発言者に社会学者を名乗る資格はないと思うし、意図的ならば悪意を感じます。ましてや、近年の流行語ともいえる「劣化」、人間を物として形容する言葉を特定の属性の一般的傾向として表現こと、そしてその言い訳として「…さんは別です」という典型的な差別語彙を、さしたる思慮もなく使ったとすれば、発言者に社会学者を名乗る資格はないと思うし、意図的ならば悪意を感じます。
— 北田暁大 (@a_kitada) 2016, 1月 2