http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3496.html
出家のための儀式「得度」を悪用した新たな犯罪「出家詐欺」の実態が、NHKの取材で明らかになった。多重債務者を出家させて戸籍の下の名前を変えて別人に仕立て上げ、金融機関から多額の住宅ローンを騙し取る手口だ。京都府警は組織的に融資を騙し取ったとして、住職やヤミ金融業者らを全国で初めて摘発。さらに取材を進めると、ブローカーが暗躍し、「出家詐欺」が水面下で広がっている
(略)僧侶としての名前・法名を与えられた多重債務者に、家庭裁判所で戸籍の名前を変えさせていたといいます。
三浦住職が作成した得度を証明する書類です。
この書類と得度の写真を示せば、僅かな時間で手続きは終わったといいます。詐欺グループの関係者
「完璧な書類そろえていると、修行した風景もあると。
やっぱり信用するでしょ、誰しも。
やっぱり宗教でしょ。
宗教の力でしょ。」
出家詐欺で融資をだまし取る手口です。
(略)多重債務者が名前を変えたことを、なぜ金融機関は見抜けなかったのか。
改名したことを確認するには戸籍謄本などを調べる必要がありますが、提出を求めることはほとんどないといいます。
銀行関係者
「高度なプライバシーが戸籍には載っていますので、戸籍謄本でなければだめだとお客様に説明するのは、非常に難しい。
下の名前をどんどん変えていくというのは、正直ほぼ見抜くのは無理。」
出家詐欺はどこまで広がっているのか。
インターネットで検索すると、出家をあっせんするホームページが複数見つかりました。“改名のメリットは計り知れない。”
“ブラックも消えて人生リセット!”
自分は、この詐欺自体というより
「Aさんとは、間違いなくあのAさんである」ということを証明する仕組み、
さらには「その仕組みを破って、BさんがAさんになる、AさんがAさんである証明を消す」…というハッキングの形式に以前から興味があった。
それはこの前の大屋雄裕氏の新著
自由か、さもなくば幸福か?: 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う (筑摩選書)
- 作者: 大屋雄裕
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/03/12
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (47件) を見る
どうやって「別人」になりきるか?行政・警察はどう「本人」を確認するか?オウム事件は示唆に富む -
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120610/p2
以前実話誌に載っていた「身をくらます」方法(要:同性同年代の親友)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120610/p3
オウムのような資産や組織を持っているところでも、「最後は市役所の窓口で、似た感じの人を覗き込む」という力わざというか、運任せみたいなやり方だったという(笑)
これを防ぐ方法は既にある、だが
21世紀である。
指紋 掌紋 手首の静脈、眼紋、DNA…やまほど「その個人であることを証明する」ものはある。
簡単に言ってしまえば、指紋をすべての人が役場に登録し、本人確認は指紋で行えば99.999%の成りすましは防止できるだろう。
しかし、要は「それはやだ」と社会が合意しているから、成りすましのリスクを想定しつつ指紋の国家登録は無い。
そういうものだろうな。