いつも紹介するときに「新進気鋭の」とつけてしまいますが、新進気鋭の中東イスラーム学者・池内恵氏がブログを最近開設…でいいのかな?少なくとも、最近わたしが、ブログの存在に気づきました(笑)。
そして、エジプトでまた痛ましいテロが発生。犠牲者には追悼を申し上げたい…。そしてエジプトという国にとっても、のど笛を締め上げられるような深刻な事態なんであります。
氏のブログから。
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シナイ半島は部族問題や低開発や差別など、中央政府の無策がたたって無法地帯化しており、イスラーム主義過激派が勢力を伸ばしている。
現在はシナイ半島のイスラーム主義過激派とエジプト政府がかなりの規模で戦闘中。
今回の事件の新しいところは、これまでは軍や警察の車両や治安部隊の施設などを狙っていたのが、今回は一般人の観光バスが爆破されたこと。意図的に観光バスを狙ったのか、軍の車両などを狙った爆発物に観光バスが触れてしまったのかはまだ断定できない。
エジプトについては、日本では事態の深刻さにピンと来ていない関係者が多いので困る。
シナイ半島は、荒れたカイロを通らずにロシアや西欧から直行便でシャルムシェイクなどの空港に観光客を飛ばせるので、観光客誘致には命綱。
すでに軍用ヘリを落とした地対空ミサイルは導入されてしまっているので飛行機も全く安全とは言えなくなってきた。ここで観光バスがあぶないとなると、いっそう観光収入は望めなくなる。
警察と軍はもっぱら丸腰のムスリム同胞団の弾圧に一生懸命で、その間に、ムスリム同胞団と競合していた過激派組織が急速に活動を活発化している。どう考えても政府は不正なんだから、イスラーム主義過激派に一定の支持が集まるのは誰でも予想できる。
問題は、エジプトの警察にそれを抑え込める能力がないこと。最大の原因は、地元民が、低開発だけでなく、警察の横暴なやり方に怒っていて協力しないから。このあたりはエジプトのメディアはあまり書かないが、誰でも知っている・・・(後略)
日本も、ファハミー外相とか、英語を上手にしゃべる渉外担当の人にコロッと騙されて援助を出したりしてはダメですよ。国民の税金です。彼らはお金を取ってくるのが仕事で、どう使うかについては、何を約束しようが、まったく守れません。なぜかというと、お金の使い道に権限など持っていないからです。
こんなこと当たり前だと思っていたのだけど、本当に日本の外交・援助関係者ってそのことを知らないみたいだ。欧米と仲が悪くなったエジプト政府が、日本をちょっとおだてるだけで、舞い上がってしまってカモにされないでね。
あと、現地在住の日本人。彼らが「軍が出てきたら安定する」という話をして、それを信じてしまう程度の報道関係者が多い。現地在住の日本人というのは実際には…(後略)
その続編は
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「アラブで安全な国がなくなりますね。」