切り抜きを紹介するシリーズ。
2013年9月16日の朝日新聞「東西トーザイ」。抜井規泰記者が書いている
39歳・旭天鵬、声援ある限り 歴代5位の高齢で白星
【抜井規泰】魁皇を抜く歴代5位の高齢幕内力士となった(年6場所制となった1958年以降)。でも旭天鵬はここ2年ほど、場所のたびに引退に近づいている自分を実感している。
最悪だったのが、2勝13敗に終わった2年前の名古屋だ。「もう、ダメかも」と漏らしていた。一人でもねぎらってくれる人がいたら「間違いなく引退していた」と振り返る。だが師匠も家族も友人も、みんなから「頑張れ」と励まされ、折れた心を接ぎ直した。
いま目の前に、20歳若返るボタンがあったら―。旭天鵬は「俺は、押さないよ」という。「土俵での苦労をやり直せる自信が無いよ、俺」。
(略)
異国の地で、21年余。「短かった」と振り返る。土俵に思い残すことは、もうないという。いま、「応援してくれる人たちのためだけに戦っているんだ」。
(略)
モンゴル出身で、日本国籍を取得した太田勝、39歳。
「来年の土俵に旭天鵬はいないよ」と笑う。そしてぼそりと「なんて言葉がウソになるのを願っているんだ」。