徳島レスリング熱狂とレガシー メダリスト誕生
「金は磨かなくても光り続けるが、銀はさびてしまう。いつまでも自分を磨き続けろと言われているようだよ」。重量感のある銀メダルを手に取り、優しくほほ笑む。美馬市美馬町出身の藤本英男(75)=東京都世田谷区、日体大レスリング部顧問。1968年のメキシコ五輪で徳島県に初のオリンピックメダルをもたらし、現役引退後は母校・日体大の名指導者として功績を残したレスリング界のレジェンドだ。
(略)金メダルを懸けた最終戦の相手は東京五輪で桜間が最後に敗れた旧ソ連のルルア。藤本は果敢に攻め、胴タックルからの投げで2ポイントを先取したがすぐに2ポイントを失う。互角の攻防が続き、勝負は引き分け。決勝リーグまでの持ち点差で銀メダルに終わった。それでも力を出し切り「悔いはなかった」と振り返る。
70年の世界選手権で頂点を極め、72年のミュンヘン五輪(4位)を最後に現役引退。その後は日体大でコーチ、監督、部長を歴任した。2013年3月に退任するまでの約40年間に育てた選手は五輪出場者が延べ61人、世界選手権出場者は延べ212人に上る。「これだけの教え子に恵まれて幸せ。指導者になっている人も多く、世界で通用する選手を育ててほしい」と思いを託す。(後略)
※日付・年齢などは2020年3月19日掲載時のもの