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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「ハンギョレ」、公式に天皇は「日王일왕」表記と決定?/日本の教科書や資料集、万里の長城の長さをどう書く?

ハンギョレ」公式日本語版サイトより。

■日本王家の1級宝物、百済が作った?
http://japan.hani.co.kr/arti/culture/13176.html

高さ12㎝、優雅な円模様を本体にちりばめたコバルト色に輝く1300余年前の硝子杯の故郷はどこであろうか。 日本の古代の都、奈良にある日本王家の宝物倉庫、正倉院に所蔵された一級宝物 硝子杯の製作地と由来した経路を巡って韓国・日本の文化財学界の関心が集中している。 ひと目見ただけでも西域の風合いが感じられるこの遺物が百済で作られ日本に伝来したという日本現地専門家の研究結果が発表されたためだ。

 このような見解を発表した専門家は、去る27日からこの硝子杯を含む正倉院所蔵品特別展(11月12日まで)を開いている日本国立奈良博物館の学芸官である内藤栄だ・・・

(略)

756年聖武日王の愛蔵品を本山の東大寺に捧げたことにより始まった正倉院の歴史で硝子杯はいつ誰がどんな経緯で持ってきたかの記録はない。 展示の主管社である<読売新聞>は硝子杯が義慈王が日本王室に送った木製碁盤のように百済王室の朝貢品だという推測記事を書きもした。

自分はあまり器の美術価値というのは、正直見てもよく分からないが、あのガラスの器は教科書などでもよく見た。ガラスって、こんな昔から(作ろうと思えば)作れたんだな、と子供心に思ったっけ。いかにもシルクロドっぽいとも感じたが、そこに新説が出たというのは面白い。

さて、その説は説として・・・上にあるように「日本王家」「日本王室」、そして・・・「聖武日王」。なるほど「ハンギョレ」も、こちらの表記と決定したか。


二度、これを取り上げていた。

■韓国の「進歩派新聞」ハンギョレも、天皇の「日王」表記を続けているらしい(併用?)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120818/p4
 
■韓国進歩派新聞「ハンギョレ」公式日本語版スタート・・・さて訳語は「日王(일왕)」か「天皇」か?
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20121023/p2

補足すると、上の記事の時は、日本語訳は有志グループの行っているもので、文責もそちらにあった。今回の記事は、正式に韓国有数の新聞、それも「進歩派最大新聞」をもって自他共に任じるハンギョレが公式もスタートさせたサイトに載った記事であります。
 

また、政府公式表記としての『天皇』に道を開いたのは進歩派の中のレジェンド金大中であったというねじれもあったので少しく注目していましたが、結局同紙も、日本語の翻訳記事であっても「日王(일왕)」表記で落ち着いたようですね。


上記リンクにも書いたので繰り返さないが「自称、他称」の関係性を突き詰めていけば、批判は自由であっても、最終的には書いている当事者の判断になる、と個人的には思っています。

「日王」はIME辞書にいつ登録されるか?「にちおう」か「いるわん」か?

いま、字を打ってあらためて思ったのは、もはや「きんだいちゅう」と打っても金大中は変換されない、ということ。この辞書登録も世につれ、時代につれ・・・
で、いつ「日王」という表記は一発変換されるようになるのだろうか、と。ひょっとして「にちおう」じゃなくあっちの読み(「いるわん」)で打つと出てくるかと思ったら出なかった(笑)。・・・・そういえばそうで、この「日王」という字は、純粋に韓国での用法なのだから、我々も「いるわん」と読まないとあかんのやなかろうか?てかカタカナ書きがあるべき姿?
たいらばやしか、ひらりんか、いちはちじゅうのもくもくか。
また分かりづらいオチですまん・・・

あ、そういえば記事中に「百済から日本への朝貢」という記述もあるな。

中韓(中朝)関係史・・・服属関係や長城の記述って、うち(日本)はどう書きゃいいのかね?

関連して

■「高句麗は中国の属国だった」…米議会の報告書に韓国驚愕、「米国はもう友好国じゃない」
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1736334.html

またコメント部分がひどいし、そもそもちょっとこの報告書の意味合いの誤解が(韓国メディアに)あるようなのだが・・・そもそも北東アジアの華夷秩序自体が、現在の外交用語に引き当てるとやや実情を反映しなくなるたぐいのものだからね。


それはいいんだけど、ふと「高句麗」で思い出した
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120617/p3 の話・・・

万里の長城、実は2万キロ超 再測量で長さ2.4倍に
http://www.asahi.com/international/update/0607/TKY201206070120.html
「・・・万里の長城は、現存する部分の多くが明代(1368〜1644年)に造られた。同局は2009年、明代の長城の長さを8851.8キロだと発表していた。今回、秦や漢などの時代のものも含めて科学的に測量したところ、全長が一気に伸びた・・・」
 
■中国、高句麗遺跡まで万里の長城だと歪曲
http://blog.livedoor.jp/hangyoreh/archives/1634436.html
「・・・韓国学界では中国が新たに発見したと主張する万里の長城遺跡が、既存の万里長城の概念とは全く異なる高句麗の遺跡だと指摘する。 中国の‘万里の長城膨らまし’の歩みは結局(略)‘歴史歪曲’・・・」

以前の記事に書いたように、たんにモノは同じで、そのモノの定義、名称が違うってだけで・・・「足利義満勘合貿易は『遣明使』とも解釈できる」といった奇説、解釈の問題だとは思うんだけど。

足利義満 消された日本国王 (光文社新書)

足利義満 消された日本国王 (光文社新書)

かつて東アジア世界で日本が日本として生きていくために活躍した、一人の偉大な政治家がいた。その名は足利義満。いま、日本の行く末が不透明になりつつあるなか、六百年前に「この国のかたち」を明確に構想し、周囲の雑音を一掃してその構想に向けて邁進したこの人物に、われわれは学ぶべきことが多い、と思う。とりわけ、彼の「東アジア性」をわたしは高く評価したい。―最新の歴史学の知見と朱子学研究の成果をもとに、気鋭の歴史学者が、逆臣・義満像をくつがえす。


この話って、日本で高校や中学校で採用されたりする教科書や資料集などでは、どう表記することになるのかね?この問題の勃発は今年6月の話題だが、資料集や歴史事典のたぐいが新年度に改版されるなら、いまごろ編集作業が進んでいるだろうな。


ちなみにウィキペディア万里の長城」では、最新の総延長については「・・・と発表された」と記述。歴史歪曲だ、という韓国の主張は記述されず。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%87%E9%87%8C%E3%81%AE%E9%95%B7%E5%9F%8E



ヨーロッパの小国の出版社が、「うちの地図の表記、ここ日本海か東海か・・・なんか両方から注文がきてるんだよな・・・正直どっちでもいいんだよな・・・」という気持ちに似てなくもないか(笑) もっともこの問題は国際水路機関のお墨付き、基準があるけど、長城に関しては・・・どうなるかねえ。まあ野次馬的には楽しみ。