ここ数週間の新聞書評で、いちばんときめいたもの。
http://mainichi.jp/feature/news/20121104ddm015070005000c.html
今週の本棚:五味文彦・評 『足利義満−公武に君臨した室町将軍』=小川剛生・著
毎日新聞 2012年11月04日 東京朝刊◇いかにして室町殿は朝廷に入ったのか
- 作者: 小川剛生
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/08/24
- メディア: 新書
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室町時代三代将軍の足利義満は、それまで源頼朝によってつくられた鎌倉殿という将軍の型を大きく変えて室町殿の将軍の型をつくり、それは二百年にわたって継承されることになった。
その義満の近年の研究には目覚ましいものがあり、それは次の四点に集約される。
第一は、日明貿易を開始したことに絡んで、義満が「日本国王」と号した点
第二に、義満が皇位の簒奪(さんだつ)を計画したとする点
第三は、義満が太上(だいじょう)天皇となって院政を行ったとする点
第四は、義満の造営した北山第をめぐる新見解が次々に出されている点
それぞれに魅力的で、刺激的な説が提出されてきているが、今、改めて義満の全体像を探ることが求められており、そうしたなかで登場し・・・(略)、いかに義満が朝廷の官職につき、朝廷の内部に入りこんでいったのか、右近衛大将や内大臣などの官職の持つ意味を明らかにしつつ、考察を進める。
(略)
論点のうちとるべき点はとり、否定すべき点は否定する。第四にあげた、最近の新たな見解についても、きちんと位置づけており、本書はまさに義満を知る上での最良の入門書・・・(略)もし本書に注文をつけるならば、義満自身は何を求めていたのか・・・(略)
足利義満は「織田信長」「西郷隆盛」、・・・そしてあえていえば「東条英機」「田中角栄」とならび、「日本における権力と権威なるもの」についての最良の補助線になっていると思う。義満はそういう点で大好きだ。
それを論じ、こう評価を受けた新書が出た、という話し。
過去の足利義満関連の記事
■「足利義満の勘合貿易を『遣明使』と呼んでいいのではないか」
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20111124/p5