ちょっと上の、「ハイブリッド・リーグ」とも関連させて。
このテーマは何度も書いているのですが、野球に関して自分はまったく詳しくないものの、いやだからこそ、野球に際して、ファンも巻き込んで、安打数だセーブ数だ得点圏打率だといった「数字」を持ってきての愉しみ方の豊かさにはいつも感心させられる。
サッカーも愛好者の数では勝っていて、各種の数字分析もあるけど、これはゲームの性質としてずっとひとつながりに近いサッカーと、打席や回ごとの区切りが多い野球の違いで、やはり「記録で遊ぶ」という点では一日の長がある。
さて、丸谷才一氏の比較的近年の著作に
- 作者: 丸谷才一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/09/03
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この中に「野球いろは歌留多」という一節がありまして。
この本によると、丸谷氏は、今回映画化される前から「マネー・ボール」原作本を「私の知る限り、野球関係の本の中で最高のもの」と高く評価していました。
んで、同書(同映画)のキモである「選手を評価するもっとも重要な数字は…出塁率なんだ!!」という点(そこから派生して「バント不要」「盗塁不要」という常識を覆す議論も出てくる)、ここに丸谷氏も「ほう、そうなのか」とかなり感心し、当時書評を執筆していた毎日新聞で紹介しました。
その際、担当記者は日本の出塁率を調べたが・・・なんと「出塁率」を公式記録に含めたのは1985年からだったそうです。つまりそれ以前、王や長島全盛期の記録はない。
それだけでひとつの発見ですが、記者さんはたいへんノリがいいことに、自分で調べて過去の出塁率の一覧を作った。
いちばん右で、ちょと見難いけど、王貞治って1973年に「.496」の出塁率だっていうんだよ!!他と比較するほどの知識はないけど、これってかなり凄くね?すごくね??
当時(今も)、出塁率がもっと注目されていたら、シーズン終盤とかの四球でもっとファンが盛り上がっただろうね。「夢の出塁率5割に、また一歩近づいた!!」みたいに。
野球を基本的に見ない自分が、これだけこういう話に興味を引かれるのはやっぱり、「数字・数学によって、同じ現象への見方が変わる。価値観が変わる。隠された真実が明らかになる」というところにロマンを感じているからであろう。
- 作者: 冲方丁
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/12/01
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いやまあ、数学は野球以上に知識が無いんだけど。
ちなみに映画「マネー・ボール」も見たんだが
やっぱり「映画的に盛り上がる」シーンを作りづらいのはちょっとつらいね。自分のような見方をこの映画にしている人はともかく、一般的な映画ファンがどれだけ面白がれるかはちょっと疑問を感じた。
それでも印象的なセリフやシーンはあったので、あとで機会があれば。