ひとつ上のエントリ&togetterまとめで、エネルギー消耗したーー。
本来はこのタイトルのような話をしたかったのだが。そっち関連のツイートを
TAK_MORITA 森田崇@横浜
当初「作者アルセーヌ・ルパン」名義で発表したボワロー・ナルスジャックの「新アルセーヌ・ルパンシリーズ」はどういう扱いだったのかな。ミステリ界の「パスティーシュ」って文化はどういう扱いなのかなあ
TAK_MORITA 森田崇@横浜
そもそもルブラン自身も「ハーロック・ショームズ」問題が…(笑)。そして江戸川乱歩にも「黄金仮面」問題がw ルパン三世とかだってさw
TAK_MORITA 森田崇@横浜
このへん昔は緩かった。そして最近また著作権の考え方も変わってきてる(「正規利用」の範囲を広げる方向)とも聞きました。なんにせよ、盛り上がるのが一番。権利者がおいしくなさすぎると著作業界を生業にする人が減るのも確かだし、どういう体勢が一番文化全体の隆盛に寄与するんですかねえー。
TAK_MORITA 森田崇@横浜
「アルセーヌ・ルパン対ハーロック・ショームズ」も「ルパン三世」も「黄金仮面」も、(※同人版の)ドラ最終回と道義的責任は似たようなもんだよなー でもこれが文化にとって悪か否か?
TAK_MORITA 森田崇@横浜
勿論「アバンチュリエ」も。法的には「作者の死後ウン年…」って意味でクリアしてます。パクリや著作権問題に対して自分が気になる(興味がある)のは文化隆盛に対する道義的な良し悪し。
TAK_MORITA 森田崇@横浜
「遅かりしホームズ」の雑誌初出ではホームズで、その後ドイルの抗議があり、単行本化や続編では「ショルメス」と言うパロディーキャラに…と言われてますRT @masyuuki 僕の感覚では『黄金仮面』が一番危ないような。『ルパン対ホームズ』は確かコナン・ドイルの抗議があったんですよね?
TAK_MORITA 森田崇@横浜
ショルメス(フランス語読み)=ショームズ(イギリス読み)です。僕はイギリス読みに合わせました。
TAK_MORITA 森田崇@横浜
乱歩のはルパン本人に○○までさせてしまってますしねー。あと、二十面相の話でトリックや話を丸丸パクってるのがあって、子供の時混乱した覚えがあります(笑) RT @masyuuki 僕の感覚では『黄金仮面』が一番危ないような。
TAK_MORITA 森田崇@横浜
僕もバランス感覚として納得行く決着なんですよね。ただ、熱心なホームズファンがルパン嫌うのも解ります(^^;)僕はどっちも好きなんですが。RT @masyuuki …)パロディキャラなら仕方がないという決着となったのは、大人な対応ですね。ひとつの前例として尊重したいエピソードです。
あ、こっちもけっこう長いや(笑)togetterにするべきだったかな。
上で、作者の森田氏本人が語っていることは、以前自分が氏の漫画から思い出した「ルパンvsホームズ」について書いたことと、テーマ的には繋がっていると思う。
■森田崇「アバンチュリエ」でルパンvs「ホームズ」?キャラ対決の古典 -
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20111022/p2ま、ともあれ誕生から100年を越えた今、ルブランが「ルール違反」をしたかどうかはともかく、もしそうなら、その”ルール違反”が両方のキャラクターに活力を与え、人気の源になっていることは否定できない。「著作権」が高度に、複雑に、強固になった今でも、何か学べる話
前も書いたけど、自分はホームズ急進派(小林司派)なので、本来的にはルパンを互角のライバルと遇するつもりはないが、しかし100年の歴史の中で、客観的にはそう位置づけられてしまうだろうなあ、というぐらいには見方が穏健的になっている(笑)
まあホームズのライバルとなるのは「犯罪界のナポレオン」モリアーティもさることながら、若き日にエジプトであったアーラビー・パシャ、世界をまたにかけて対決したジャマール・アフガーニー(アサーダーバーディー)、ロンドンでめぐり合った孫文と、その盟友宮崎滔天、晩年はラスプーチン教団、最晩年には単独でイギリスに降り立ったルドルフ・へス・・・などが控えている。
まあ、これらの敵のいくつかは、ルパンと共同戦線を張ったかもしれない。
そういえば、ルパンは第二次世界大戦でフランスのレジスタンスに加わったのだろうか?
あー、年代的には余裕でその時期存命しているな。
ウィキペディアの「ルパン」
そして性格的にも、まあドイツ軍の協力者となるとは思えない(笑)。
とするとどうなのかね。ド=ゴールと面識があるのでしょうか。自由フランス軍に加わったのか、パリで地下抵抗運動をしたのか、それとも単身にてベルリンに潜入したのか。
そういうパスティッシュは既にありそうだけど、試しに「ルパン ヒトラー」で検索したら「三世」がらみの結果しかでなかった。
そんな「アバンチュリエ」の2巻発売迫る。関連テキストをドーゾ
連載開始時に、作者がそのコンセプトをブログで書いている。
http://tak-morita.air-nifty.com/flat_land/2011/01/post-2b40.html
●ほとんどの方がルパンと言えばルパン三世、
あるいは名前のみ、イメージのみでしか知らなかったと思います。
(略)
原作は100年前のフランスの小説ですが、現代の日本の読者にこの面白さ伝わるよう、上手く演出していければと思います。
(略)
●自分はルパンの伝奇冒険ロマンとしての側面を肯定的に捉えてるのでイブニングの煽りの「大人のルパン」と言うプッシュに少々狼狽えています(笑)。
(略)
●「大人の」と言うのは、主役のアルセーヌ自身が大人ということではないです。むしろ、アルセーヌのいかにも「青年」な面、未熟な面、愚かしい面も描くところが「大人の」作品と言えるかも。児童書版のルパンの方が「完全無欠のヒーロー」で「冷静」な大人です。
おじさま。 大半の方がこちらのイメージでしょう。
…が、原作のアルセーヌは、若くて、結構「痛い奴」ですw
でもそこも魅力なんだよな。
この辺伝わると嬉しい。
■森田崇先生の「シャーロックとアバンチュリエのコンセプト」
(※シャーロックとは、一度このブログでも取り上げましたが、ホームズ物語を現代に置き換えた英国BBCのドラマのこと)
http://togetter.com/li/180304
「アバンチュリエ」は「あの時代に生きた」アルセーヌ・ルパンを大事にして描いているつもり。トリックやキャラクターを現代にずらして描くのではなく、むしろ、「あの時代の特性を利用したトリック」が多いことを時代物・歴史物として積極的に楽しんで欲しい気持ち
- 作者: 森田崇,モーリス・ルブラン
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シャーロキアンが生まれた年。1911年
話をまた戻して、こうやって自分のホームズ熱が再現しているのは、この前新書で出た
- 作者: 植村昌夫
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ホームズを実在の人物、その小説を実事件について書かれた文献とみなして研究することのはしりが、ロナルド・ノックス司祭(例の「探偵小説十戒」で有名な人)が行った1911年の講演なのだという。舞台はオックスフォード。
同書より。
「シャーロック・ホームズ文献の研究」は1911年にノックスがオックスフォードで行った講演である。このときの聴衆は大学の教員と学生ばかりだったから、西洋古典学が専攻のノックスはシャーロックホームズを題材にして文献学的研究のパロディをやってみせた。
1911年にはコナン・ドイルは52歳であった。まだシャーロック・ホームズを書き続けていて…(略)ところがノックスは「シャーロック・ホームズ文献」をまるで古代から筆者で伝えられたテキストみたいに扱ってみせた。(略)
この公園は1928年に出版されて大きな反響を読んだ…1932年には研究団体「ベイカー・ストリート・イレギュラーズ」が結成された。
このシャーロキアンたちには、いい年して「フィクション」や「サブカル」をあれこれ考え続ける、そういう…以前は少数派の…人々の地位向上に、たいへん大きく貢献してくれた。ルパンファンも、むしろアンチホームズだという人も、ルパン・ホームズ双方に興味ない人も、ひとしくこの恩には感謝されたい。
モリアーティという男と、その男の「悪魔の発明」について
傑作鉄道漫画というのみならず「理想の日本的職業人」ともいうべき一類型を描いた
- 作者: 池田邦彦
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この1巻で・・・モリアーティについて書かれた一編がある。
モリアーティも、ドイル先生がホームズを急に打ち切るために(人気ないから打ち切りではなく、有りすぎてうざくなったから打ち切り、というのが贅沢だ)設定を練ることなく登場させたとおぼしき悪のボスキャラ。
だから、設定にいろんな穴というか不明点があり、それがいろいろと考察のもとになっていると。
実は上で紹介した「シャーロック・ホームズの愉しみ方」では、モリアーティの(オモテの)経歴について、日本では長年誤訳に基づく誤解が広がっている、としている。
ウィキペディアの「モリアーティ」は、もうその指摘を反映して直っているから、ネット上では展開しにくいが(笑)、出回っている大家翻訳の書籍と見比べるといいかもしれないっす。
このほか、レストレード警部とグレグソン警部の張り合いに関しても、多くの書籍が誤訳をしている、との指摘もあり、翻訳夜話としても興味深い。
んで、話は別の書籍になります。
ホームズの原典にある記述をみごとに多数取り込み、それなのに(むしろ「それゆえに」、か?)原典の記述とは正反対ともいえる筋書き、説明を無理なくやりきってしまった。ホームズパロディ史の最高峰に位置しているといえる
シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険―ワトスン博士の未発表手記による (扶桑社ミステリー)
- 作者: ニコラス・メイヤー,田中融二
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あまりに出来がいいパロディなので、パロディなのに映画化されているのもすごい話だ(笑)
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これはまことに奇妙なことだよ、ワトソン君!!
で、逆に、スケールの大きい方向に想像をめぐらせた考察もある。
ちょっと寄り道。
いま、話題のベストセラー&人気ドラマ、おまけに今月はコミック化もされた「謎解きはディナーのあとで」がありますよね。
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謎解きはディナーのあとで 1 (フラワーコミックスアルファ)
- 作者: 川瀬あや,東川篤哉
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これは正直、われながら理不尽な意見だとは思うけど・・・この程度の類似に問題は無いし、むしろ発展進化させたというべきだと思うけど・・・
「ああ、アシモフ『黒後家蜘蛛の会』の換骨奪胎・新バージョンね」と、最初にこの作品が「本屋大賞」を受賞して、ちょっと読んだ時に思ってしまったのでした。
世間的にはこの2作の対比ってどんなんかんなー?と思って「謎解きはディナーのあとで 黒後家蜘蛛の会」と2タイトル並べて検索したら、グーグルでは2300件ほど引っかかりますた。
まあ、これ以上深入りはしません。謎解き役の性格設定は正反対ですしね。
ちなみにはてなキーワードを転載しておこう。
黒後家蜘蛛の会
アイザック・アシモフ作の短編推理小説のシリーズ名。安楽椅子探偵物。創元推理文庫で5巻まで刊行された。内容
タイトルでもある『黒後家蜘蛛の会』というクラブの会員が、毎月一回開く晩餐会でミステリ談義がおこる。会員は化学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号専門家の6人でそれなりの知性と教養の持ち主である。彼らは毎回ゲストを呼ぶのだが、そのゲストがちょっとした謎を提示するとたちまち素人探偵となり、あれこれと謎を解明しようとする。だが、結局最後に謎を解く(もしくは正解と思われる回答を提示する)のは、メンバーの誰でもなく給仕のヘンリーだった、というお話。テーマは殺人などの本格的な犯罪ではなく、ゲストが日常生活の中で今まで疑問に思っていたようなことの裏には、実は意外な真実が隠されていた、という展開になる事が多い。
そうだ、日本のミステリ運動の中で80年代ごろ?に「日常の謎」を描く一派が出てきたですよね。その先駆けでもあるのかもしれない。
んでな。
アシモフ先生、このシリーズが大好きでした。
というのは、こういうコンセプトの「ちょっとした謎」を拡大解釈しまくり、自分の趣味・うんちく・日常体験などをすべてこの「黒後家蜘蛛」のコンセプトに落としこんでしまう方法を身に付けた先生、ほんとになんでもかんでもこれに書いちゃうようになったのだ。
だから日本の読者には、またアシモフの興味の範囲にすべてついてこられないような人には置いてけぼりを平気でくわせる、そういうような短編も多い。
で、アシモフの興味の範囲に、だれがすべてついていける?(爆笑)
そんな「趣味をそのまま黒後家蜘蛛の会に」の一作として
「モリアーティの著書「小惑星の力学」は、はたして具体的にはどんな研究だったのか?」というテーマの一本がありマスのデス。
自分は第何巻に載っていたかとか忘れてしまっていたが、ネットはやはり有り難い。二巻に掲載されている由。
終局的犯罪
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ゲスト:ロナルド・メイスン。ベイカー・ストリート・イレギュラーズ会員。シャーロキアン論文を作るために、モリアーティ教授が書いたとされる論文をとりあげる。
もともと「架空のお遊び」であるシャーロキアン論文に「正解」があるわけでもないハズなのだが、みながうんうん唸って「こういう研究だろう」「いやそれは『悪の天才』らしくないよ」とか考えるっていう光景が…それが小説になる、というのが……ある意味すごいというか、フィクションも、これだけ愛されれば幸せですよね。
たとえば、仄聞するに女性の漫画好きの方の一部に「カップリング論争」というのがあるそうじゃないですか(笑)。あの論議を洗練させて、「黒後家蜘蛛の会」みたいな対話劇として、第三者の読者が楽しめるエンターテイメントに……できるかもしれないな、なんか彼女たちのクリエイティブ能力の高さを考えれば(笑、でもまじめに)。
注意:ここから上のエピソードのネタバレになります。いやな人は避けてね。
会員たちのあれやこれやの推理を受けてのヘンリーの1アイデアは、こういうものだった(ウィキペディアにそのまま載ってたよ)
「小惑星の力学」の内容に関しては、SF作家アイザック・アシモフが自作『黒後家蜘蛛の会』において、「小惑星(群)を作り出すのに必要な力学」、すなわち普通の惑星、はっきり言えば地球を爆砕して無数の小惑星にしてしまう「終局的犯罪」の研究論文ではなかったかという、SF作家ならではの大胆な考察をしている。
これは、アシモフがシャーロキアンのクラブに入るときに必要となる論文として実際に執筆したものを、「これを黒後家蜘蛛の会のお話にして、みんなに広めちゃおう」というコンセプトだったらしい。
実際、ストーリー的に非常に優れたシャーロキアン論文というのもたくさんあるんだろうけど、たしかに論文が論文としてクラブに提出されるだけでは日の目を見ないこともたくさんあろう。
まあ、こんなふうにだれかが小説仕立てにしてくれてこそ、ホームズ設定の考察なんていうのも注目を浴びるのだと思う。
だが、小説以外にもそういう「すぐれたシャーロキアン論文」の紹介者がいてくれないものかな?英語に堪能で、いわゆる「発信力」のすぐれただれかが。
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こういう細かい考察マニアは
「ガンダム」ではほぼ、そういうワールドができつつあるように見えるが、例えば「銀河英雄伝説」にもいたりするのだろうか。
わたしも初期に参加していた「田中芳樹を撃つ!」は氏への批判も多いけど、設定の穴を見つけて、こっちで自主的に埋めるようなお仕事も、だれに頼まれたわけじゃないけどしていた(笑)
このへんか。
http://www.tanautsu.net/the-best01_01.html
http://www.tanautsu.net/the-best01_02.html
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