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(筑摩書房・1470円)
- 作者: 呉智英
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2011/07/23
- メディア: 単行本
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◇直球勝負で親鸞「救済の思想」を考える「知識人たちがしばしば自分の思想のつっかい棒として仏教の安直な利用をするのにも疑問があった。野間宏の親鸞(しんらん)論は、ただ人間は平等だと言いたいだけである。吉本隆明の親鸞論は、ただ大衆はすばらしいと言いたいだけである。国粋主義者たちの日蓮論は、ただ日本は世界一だと言いたいだけである。仏教ってその程度のものなのか。そんなはずはないだろう。それなら、仏教はどれほど深く、どれほど先鋭なものなのか」
若き日のこの自問について、64歳の呉智英が答えた一冊。
仏教をキリスト教と比較して論を進めるのが秀逸で、たとえば、
「仏教−−覚(さと)りの宗教
キリスト教−−救いの宗教」
とまず説明する。キリスト教が、原罪を犯し迷える子羊となった人間を救う宗教であるのに対し、他人をどうこうするのでなく自分という存在の根本について目覚める(覚る。悟る)のが仏教の肝所と見定め、日本に現在広く根差す大乗仏教を批判する。
何年か前、死刑廃止論が叫ばれた頃、“死刑反対仇討(あだうち)復活”のメイ言によって人権派の主張の虚を衝(つ)いたが、今回はそうした得意の変化球は止(や)め、なぜか直球勝負……(略)
路上観察学会員でもある藤森氏は変化球担当でもあり、呉智英と縁が無いでも無いとは思うが、やはり新聞の長文書評欄、それも紙面ではトップ級のところにこうやって載ると違和感あるなー(笑)
自分も紹介したかったので一瞬「しまった!」と思ったが、自分が興味もったところとは紹介部分が違ってたので一安心。
まずはそう滅多にないであろう(笑)呉智英著書の読書面紹介を喜び、記録しておきます。