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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

個人的感想。「韓流が裏技・表技どっちにしろ輸出に成功してるなら、怒る前に真似したい」

上エントリhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110804/p4の続きです。
その過去記事にも自分は感想を書いているが

おしん人気は今や昔の話。今は韓国ドラマが視聴率60%の人気で、イランでは日本人は、ヘイ、チュモン!と声をかけられる」という話はサッカー以上に『これは負けてられない!』とナショナリズムを刺激されるし、されてしかるべきだろう。よくいう『健全なナショナリズム』というやつですわな。むろん「どこの国のドラマ・漫画が、どの国で人気だって構うものか。こちらに直接金が入るわけじゃなし」てな立場もそれはそれだが

記事にもあるように「韓流ドラマは輸出時の著作権処理が簡単」というのがあるそうだ。なんでも「再放送や海外放送で俳優や監督にお金を払わないでいい」とも。
日本と本当にそのへん差があるのかないのかしらないけど、結果から逆算を大いにするべきで、もし韓国的な著作権処理が海外販売に優位に立つ効果があるなら、ぜひともマネするべきであろう。これも記事にあるように、ドラマの人気がその国のイメージを上げ、家電や車の輸出に影響するならなおさら…

ヘタリア」に日本のキャラクターが初登場した際「特技は空気を読むことです」と自己紹介していたが、それと同じぐらいのレベルで日本の歴史から…「特技は、表層的でも何でも各国の長所に見境なく飛びつき、学んで、自分の工夫も加えて自家薬籠中のものにすることです」と言っていいんじゃないかと思うのだ。
学ぶことにこそプライドあり、という、これも変形のナショナリズムだと自分じゃ思っているんだけどね。


なんだっけかな…どこかで読んだ今回の騒動の関連記事だけど、「ある韓流ドラマを買い付けたら、買取り額以上の輸出補助金がこっちに韓国政府から入ってきた」と・・・
ああ、検索で発見
http://u1sokuhou.ldblog.jp/archives/50295806.html
http://nihonnococoro.at.webry.info/201106/article_1.html

「韓国ドラマを買い付けると買い付け額以上の補助金がもらえたときもあった」(台湾のテレビ番組の輸出入大手、恒星多媒体の林錫輝・総経理
韓国政府はさらに13年までに3100億ウォン (約230億円)を投じ、映画・ドラマなどコンテンツの輸出額を78億ドルに増やす戦略だ。

日本経済新聞 2010年11月29日 朝刊

これを日本で真似できるか、また本当に長期的に効果があるのかは難しい、という話は「チュモン」のエントリでも書いた。輸出に補助金を付けるより、捨て育ちの自由放任によってこそ競争力のある商品は育つんじゃないか?つう問題があるからな。
ただし経済理論も現実こそがジャッジである。
「ドラマを輸出して稼ぎました」「それ以上の輸出補助金を国が出しました」じゃ納税者の理解も表面上の数字からは得られないかもしれない。

だが実際に
A「韓流ドラマを輸出し(放送枠獲得も込み)て儲けた額」−B「それに対してあっちに払った補助金」という計算式がゼロでもマイナスでも、

=「その結果生まれる韓国の知名度、好印象、親しみ」
 
が残ると!!!!これは確かにそのとーりであって、これを推進した金大中政権の慧眼であったろう。この大統領は北の全体主義者に莫大な裏金を払って外交成果を買ったという一点でも個人的に、全体的な評価は最低点だが、これは成功した政策というべきだろう。
同時に、やはり「国威発揚」や「国家の威信」を獲得するという政策目標に対して大きな比重があるからこそ、補助金をつけてのコンテンツ輸出にも理解が得られるのかな、という気もする。
日本がもし学ぶとしたらそこなんだろう。
麻生太郎が漫画・アニメ好きだという話題から一時こういうものの輸出・海外新興に政府が絡むことが検討され、例の「国立漫画喫茶」という批判や「もともとお上が関わったら、お役所仕事と天下りで成功するわけがない」という根源的な批判もあり、麻生政権の不人気もあってうやむやになった感がある。
 
だが「韓流」への批判、それに対して「韓流、いいじゃないか」という反批判があるなら、それをスライドさせて「今の日本のコンテンツ輸出支援体制は結局どこをどう強化すべきなのか?」をもう一度論じるべきやないかと思うなりよ。そこをメーンにした議論になったほうがいいと思うよ。
そしてさっきの
「コンテンツ輸出+各国の放送枠確保−政府の補助金=日本のイメージが残る」
という方程式の(さらなる大規模な)採用も、あり得るわけで。

「コンテンツの輸出は捨て値でいい。出演者や制作者への還元も不要」という理論。

もいちど、「海外のチュモン人気」記事から引用。

日本の番組輸出は、価格や複雑な著作権問題が絡んで苦戦していると聞いている

ワン・パッケージでの輸出。制作者、出演者には泣いてもらうっ。という路線を取るべきか、否か・・・取るべきだと思うけどね(他人事だから)。
それに70〜80年代当たりか?
世界に大いに浸透した日本アニメ、ゴー・ナガイやオサム・テヅカが意外なほど海外で知られたあの人気・・・あれの大きな理由が「権利をパッケージで売っちゃって、日本国内には利益が入ってこない=現地で安く放送できる」だったからって部分が大きいとも聞く。


現在の各国のコンテンツ動向はJETROのレポートが詳しい

とこの前教えてもらったな。
http://www.jetro.go.jp/industry/contents/reports/

こんなのがある。
■中国市場への韓国コンテンツ進出実態調査とその波及効果分析(2011年3月)
http://www.jetro.go.jp/industry/contents/reports/07000621

中国では「韓流」はもはや一時の流行・ブームではなく、ポップカルチャー分野の一カテゴリーとして広く深く定着している感もあり、それに比べ、日本コンテンツの露出は極めて少ないのが現状だ。本調査では中国人1000人にアンケートを行い、また年代・属性別のグループインタビューを行った。アンケートの結果、日本と韓国と比較したとき、韓国のほうが「よい」と判定されたのはテレビドラマ(81%が韓国のほうがよい。以下同)、ファッション(71%)、歌手(69%)、化粧品(56%)などで、国全体のイメージとしても66%が韓国のほうがよいと回答している

 
http://www.jetro.go.jp/industry/contents/reports/07000622

韓国政府は「冬のソナタ」以降、コンテンツの持つ海外への伝播力を強く認識している。政府機関では、「韓流」の人気により、どれだけの輸出がもたらされたかを計測し、「韓流」の人気が各国別で持続しているかどうかについても計測を行い、韓流人気を支えている。さらには、中南米、中東・アフリカなど民間では入りにくい地域に対し、公的機関が版権を買い上げ、無料ないし廉価で配布している。

しかしコンテンツが安い・タダだといって放送して売れるわけじゃない!なにかしら面白いものがあるんとちゃう?

と、疑問形なのは、自分は初期の映画以外、冬ソナ・チャングムも含めドラマ見てないからなんだよな。たしか午前中とかに結構放送してるんだっけ?そういうその他大勢のドラマ、日本と比べてどう面白いかは見ている他人に任せます。

ただ、逆に・・・これは以前からこのブログで言ってたんだけど、「生活水準や、言論の自由などの背景が似れば似るほど、外見上も近い日本・韓国・台湾のサブカルは似通って、相互に受け入れやすくなるんじゃないか?」つう話でした。
これは主にこのブログのメインテーマである格闘技についての論考だった。
結果的にK-1は韓・台両国で興行を実現、成果を生み出しかけたが、現地のスター候補(チェ・ホンマン)が上にあがれなかったことなどもあり中途半端に終わった。

ドラマや歌での「韓流」ならぬ「台流」…これは一時、そんな注目もあったが火がついた感じはないね。それは冬ソナ・チャングム的なブレイクスルーの作品がまだ無いことか、一番影響力の強いNHKでまだ台湾ドラマの紹介が少ないゆえか、その基盤として韓国のような輸出振興政策が無い(?)ゆえか。

一方で、台湾の消費者は見巧者であるとも言われ「ここでヒットすると全アジアでヒットする」とも「韓流の発祥地は台湾」と言われているとも。


一方で外国産コンテンツの割合を制限する法律ができるとか。
http://toua2chdqn.blog.fc2.com/blog-entry-297.html
フランスもこういう規制があったし、そもそも当の韓国にもあるから別に問題は無いだろうが、日本の番組も含め外国コンテンツすべてを制限する法律なのに「韓流規制法案」と通称されること自体が金大中政権以来の、韓国のコンテンツ輸出の成功を示しているのではないっすかね。


「自由に流せばいい、自然と市場で淘汰される」との論者
 
■フジテレビは韓流ドラマでも何でも自由に流せばいい
http://www.j-cast.com/kaisha/2011/08/02103168.html?p=1


たとえば推理小説って、世界各国のトップはどれもおもろいんと違うかな

「SF」を挙げてもいいんだろうけど、まあこっちのほうが普遍的かな。
推理小説はやっぱり斬新に密室やらアリバイとかを考えたもんの勝ちじゃん。文体だ人物描写も必要だろうけどさ。
そうすると韓国の推理小説、台湾の推理小説、中国の推理小説インドネシア推理小説
どれも「その年一番の収穫!!」と各国のファンサイトで称されるようなものは、他国に持っていっても受けるんじゃないかしらね。


エッセイスト高島俊男は大学教員の生活も長かったが、同僚と話したことも含めての結論としてこういう。
「Aランク大学のビリと、Bランク大学のトップ、あるいはBランク大学のビリとCランク大学のトップ・・・これを比較すると、絶対にどのレベルの大学であろうと「トップ」連中は優秀なのだ」


コンテンツもこれに近かったりするんじゃないかな?全体的な平均値や、隆盛度はさておいて、トップ連中はどこの国でもおもしろい。
あとは世界にそれが広まる切っ掛けがあるか無いかだけで。
韓国のNo.1推理作家はだれか。
「中国の江戸川乱歩」はいるのか。
 
こういうところで、受信アンテナが日本が一際高くありたいものだ。いいものを受信する力がなくて、いいものを生み出せるわけがない。

その一方で高岡蒼甫ふかわりょうの挙げた声は間違いじゃないっしょ

コンテンツの露出が過剰だったら、韓流ドラマだろうが日本アニメだろうがジャパネットたかだのショッピング番組だろうが批判は出るだろうし、そのコンテンツが売れると放送局が子会社などで儲かる、という下心が透けて見える、音楽やタレントのプッシュはナンシー関の時代から冷笑・批判を受けていた。
そのカテゴリーに入る話だろうに、と最初に騒動に触れたときに思ったのだが。