マイケル・サンデルと「白熱教室」の人気が多方面に及ぼす影響はまだ続いていまして、この前書店に行ったら「正義論」の新訳がどーんと平積みになっていました。
実際に著書を読んでいなくても、宮台真司か宮崎哲弥、あるいはアメリカ思想の紹介書方面から「ロールズが打ち出した『正義論』は多方面に思想的賛否両論を巻き起こした」という話は伝わっている。(むしろサンデル氏は、批判的にロールズを論じている由)
ま、いずれかに挑戦してみることもあるかもしれないが、それは後日として、そういうときの常として「訳者あとがき」を開いてみた。
そしたら、タイトルのような話題がありましてね。
「ロールズは京都賞の受賞が決まり、その打診を主催者から受けた。だがロールズは王制というものの存在に、そもそも反対の思想を持っていた。京都賞は慣習的に、受賞者と日本皇室との、会食だったかお茶会がある。『私のポリシーとして、そういうところで王族と和やかに会話するわけにはいかない』と、ロールズは賞金付きの京都賞を辞退した」(※記憶による大意)
♪民主の 主の字を
よくよく見れば
王の頭に 釘を打つ
とは明治・大正のアナキストにちょっと流行った戯れ歌である。
「反対の思想は思想として、一定の礼は保つ、社交の場ではお会いする」という非ロールズ的なスタンス自体はまったく否定しないものの、「よくぞ傾いたり!」というロールズへの喝采も同時に保ちたい。