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中国で「唐山大地震」映画が大ヒット。福島香織が論ず

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ハルピンで馮小剛監督「唐山大地震」をみたのだけれど、「催涙弾映画」の呼び名どおり、泣かせる、泣かせる。目がはれてしまいました。しかし、はっきりいって駄作でした。泣ける駄作、さすが馮監督!
 
「唐山大地震」は、どこからみてもプロパガンダ映画で解放軍の英雄っぷりとか、先のよめる脚本とか、泣かせる気まんまんの演出とか、しらじらしいイナゴの大群のCGとか、もう恥ずかしいくらいのべたな映画ですが、端役にいたるまで味のある名優で、もう泣いてやるもんかと、思っても泣ける。
 
これは私の想像なんだけれど、馮監督はおそらく、プロパガンダをつくれ、っていわれて、じゃあ思いっきりプロパガンダしてやるよ、とはずかしいくらい、当局好みの宣伝映画をつくったんだと思う。でも、そこで、きっちり紅涙を絞れるのが、職人わざ。
 
ちゃんとスポンサーの酒造会社の酒のラベルをわざわざアップでとって、それがもうしらじらしいくらい長い時間アップなんだよ。いかにも、このくらいたっぷり映したら文句ないだろう、とかいっているみたいで、苦笑。
 
唐山市だけで5000万元だしたらしい。しかし、この映画が映画館を独占したおかげで、上映されない無数の映画たちがいっぱい。
 
中国の映画通のマダム・チャンによると、馮監督はこの映画は中国人のために撮ったということで、アカデミー賞ノミネートを辞退したとか。たぶん、監督は自分で国際映画市場においてはこの映画は駄作だとわかっている、でも中国人はこれを見たいということも分かっている。
 
その国民監督としてのプロ意識というか職人気質にしびれるね。中国の山田洋二監督といわれるだけあるね。寅さんがアカデミー賞とれないけど、日本人は正月に見たい、というのと同じかな?