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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

「機密費」問題で上杉隆・岩上安身がUstream対談&「機密費」本丸は”野中機関”の検証だ!&「たかじん」で三宅弁明??

上杉隆・岩上安身対談 「官房機密費」について
リンクできてるかな?
全体では2時間半近くあります。私は途中から聞きました。なかなか面白いのでどうぞ。

ただ、週刊ポストその他で語ったことを越えるような新事実とかは出てきてません。まあ無料のトークで語る必要も無いんでそれは当然だ。
私もみながらツイートしたけど、やや話者に批判的に受け取られたかもしれず、他のファンには不愉快だったかたもいるかもですが、140字では書ききれない質問の真意を
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100701#p4
にて書いています。今回の感想も、基本これ以上のことはありません。

ただ、新しい論点として

小沢一郎に「潔白を証明せよ」と悪魔の証明を求めるなら、まずマスコミ自身が機密費問題について潔白を証明すべき。by上杉氏 そのとおり!

というような議論を、上杉氏はUstでしていました。
これに対して、私が即興で書いた文章は、われながらタチが悪かったと思うのでザンゲします(笑)

安倍晋三の集会で、中央に立ってスピーチしたのは母親だった」ことの証明責任は、どっちが果たすべきなのでしょう(笑)

なんか関西「たかじん」の番組でやり取りがあったらしい?

いくつか、ブログに張られたリンクを逆にたどったら分かってきたこと
・「たかじんのそこまで言って委員会」で機密費のテーマがあったらしい
・そこで、三宅久之氏と上杉隆氏が同時出演?
・けっこう言い争いになった?
・「週刊ポストの取材は受けてないのに受けたと書かれた」とか三宅氏が言ったが、実際には受けてた?ただ「ポストと名乗らなかった」と主張?
・私がブログの上に書いた「安倍晋三の集会で母親が云々」に関して上杉氏は「それは間違いだった。訂正したい」と発言した??

らしい
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/mass/1278633586/
どうせYOUTUBEあたりにあるだろうから、あとで探してみるよ

んで、講演会謝礼云々でいえば
三宅氏が以前から言うように、たしかにもらった側はそれが官房機密費なのかどうかなんて分からんというのは事実だが、「領収書を切らなかった」って認めてるんだから、機密費だろうがそうでなかろうがもらった側としての問題(要は脱税)はあるに決まっている。もしくは「原資があやしげなカネだろうから、黙っていよう」という推定を三宅氏はしたのだろう、と外野から推定できるわけです。その時点でお話にならんよ。
さらに言えば、1980年代に100万円単位というのは、いくらショート・ノーティスの依頼で、また講演料は値段が有って無いようなものだとはいえ、金額自体が異様だと言えよう。
だから週刊ポストの記事を読む限り、上杉氏の三宅氏追及は十分に根拠も意義(正当性)もあったと思うよ。上杉氏の「本丸」は自分の体験だ、とは思うのだが(笑。上のリンク、私のブログの7.1付参照)それとは別に三宅氏追及は成果だったと思う。それに東京新聞こちら特報部」も三宅氏に取材していることをお忘れなく。


安倍晋三の集会うんぬんに際しては、まずはそういう訂正発言があったのかを確認しなければいけないけど、訂正するなら本当に一行レベルで「母親は挨拶してませんでした」でいいような気がするけどねー。もともと小さな話で、ただこんな長引かせる必要は無かったでしょう


官房機密費問題で”隠れた本丸”は報道陣を操った「野中機関」だ

官房機密費問題に本格的に火がついたのは、野中広務の講演での発言である。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-161420-storytopic-3.html

野中広務官房長官は、23日に那覇市内で開かれたフォーラムの基調講演の中で、自身が長官在任中(1998年7月〜99年10月)、先例に従い、複数の評論家に内閣官房報償費(機密費)から数百万円を届けていたことを明らかにした。 野中氏は講演で「言論活動で立派な評論をしている人たちのところに盆暮れ500万円ずつ届けることのむなしさ。秘書に持って行かせるが『ああ、ご苦労』と言って受け取られる」と述べ、機密費からの提供が定期的にあったことを明かした。 野中氏は自民党政権時代に、歴代の官房長官に慣例として引き継がれる帳簿があったことにも触れ「引き継いでいただいた帳簿によって配った」と明言。その上で「テレビで立派なことをおっしゃりながら盆と暮れに官邸からのあいさつを受けている評論家には亡くなった方もいる」と指摘した。一方で機密費の提供を拒否した評論家として田原総一朗氏を挙げた。 官房長官の政治的判断で国庫から支出される機密費は、鳩山内閣が昨年11月に内閣として初めて2004年4月以降の小泉内閣から現在までの月別支出額を公表したが、使途については明かしていない。

ところがね、
野中さんって基本、こういうことをぶち上げて「おれはこれだけでない、もっとウラを知ってるぞ」とほのめかしながら、結局それを言わずに尻すぼみにする・・・ってパターンばっかりなんだ(笑)。

麻生太郎に関して「敵ですよ」と明言、例の差別発言の真偽についてもさらなる発言を予告したり「麻生の選挙区に入る」としていたのにそれはウやむや。
 
小沢一郎についてはその「麻生より悪い」と言ってた(これ意外だった)上に、著書で「大きなことを知っている」と言ってたのに結局不発。
 
そして今回の官房機密費。
こんなの「もらってないのは田原総一朗さんだけ」といわずに、自分の記憶と資料で渡した人の名前を列挙すればいいだけじゃないですか。
それを言わないであとはだんまり。


知らないことをすべて知ってるという「ハッタリ野郎」なのかというと、最後の例でわかるようにそうでもないんだろう。結局「ウラ情報を小出しにする」ことで自分はメディアの中心になり、権力ゲームの武器になるという。議員を辞めてもぜんぜんそこは枯れていないのは大したもんだよ(笑)。ひょっとしたら、あれで随分と「目立ちたがり」なのかもしれない。
彼が「私も80を越えたんで、歴史に対して証言したい」とホンキで思っているなんてゼンゼン思わないわい(笑)

んで。野中氏って、とにかく情報に強かった。
いろんな情報を得ていた。
それもなぜか、記者から情報を得ていたという。
記者から情報を得るというのは、かならずしも倫理問題ではない。
野中の方が情報を提供した場合、「情報のバーター」を取材者は行うこともあるだろうし、雑談や問わず語りから野中氏がピン!と来ることもあるだろう。また「XXXXは○○というのは事実ですか?」というような正当な取材が、被取材者には情報源となったりすることがある。


ただし、「野中はメディアから情報を得ていた」というのはそういう、セーフな形での情報収集がすべてだったかどうか。
これ、なんどめの紹介になるのかなぁ。

野中広務 差別と権力 (講談社文庫)

野中広務 差別と権力 (講談社文庫)

一度書いたかもしれないけど、NHK島桂次を追い落とすときに、決定的なスクープを出した朝日新聞がその紙面を作った後、社会部記者の一人は

午後11時すぎ、ワルシャワのホテルにいた野中に佐藤(※朝日の社会部記者)が国際電話で
「あすの朝刊に乗せます」
と告げると、野中は
「わかりました。委員会としては、これから問題をはっきりさせます」
と答えたという。

これも上に挙げたような「情報交換の一環」ならまあ許容できる(つまり政治家・野中広務ではなく取材協力者、情報提供者・野中広務になら掲載を筒耐えてもいい?)かもしれないが、どっちにしても明日の新聞の掲載記事を知れば早く動けて、政治的には強さになるわけです。
そういう関係をメディアと築いていたわけですね。


こっちのほうはもっとあからさま。
麻生太郎最後の日に、あの問題を最後に論じる。(野中広務関係・・・プラス記者問題)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20090830#p3

ある新聞社の記者が僕に手紙をくれたんです。手紙には、こんな内容のことが書かれていた。

麻生太郎が・・・(略、上参照)・・・これは聞き捨てならん話だと思ったので、先生に連絡しました>

タイトルにもうたったが、この証言によって、事実とするなら「麻生太郎は差別発言をしたか」以上に
野中広務は、新聞社の記者から秘密の情報を得ていた。その記者は、記事にするべきニュース価値があることを記事にせず、(それも政敵情報を)こっそり、手紙を書いて政治家に教えていた」
という点が問題になってしかるべき話になる。義憤に駆られたのかもしれないが、義憤に駆られて政治家に手紙で連絡ってねぇ。

んで、
・今回「官房機密費」の問題が出た。
・野中氏は官房長官も経験してる。
・野中氏はそれを実際にメディアにくばったと証言。
した結果、
例えば上の「野中に『麻生のやつが差別発言をしましたー』という手紙を書いた記者さんも、官房機密費をもらってた一人じゃねーの???」という仮説を立てることが可能だと思うんだが、いかがだろうか。

ただまぁ、自由自在に言ったり言わなかったりする「ほのめかし」で「権力ゲーム」をプレーする気が満々な野中広務は、当然これについては口をぬぐうだろう。
いや、むしろ「わたしも80を越えたので正直に言う」というふうに装いながら、ある人物は名や地位をほのめかし、ある人物はまったく隠すという「ほのめかし」度の調整によってそれを武器にする危険がある。今、「自分が渡した」という立場なら「あいつに渡した」という発言は政治的暗殺の手段にもなるからだ。(これについては上杉氏もしっかり認識していて、「途中の渡し役が抜いた可能性」や「攻撃のための偽リスト」の危険性には再三言及している)


で、あるから。
実は厄介なことに「野中本人が語った」というのは、否応無く出発点にしなきゃいかんのだけど、と同時に野中広務の周辺にいたなぞの人脈を、別に追わないと全貌が明らかにならないと思うんですな。
これが「本丸」なのは、田中内閣・中曽根内閣までいくともう当事者死んじゃってることが多いから(笑)。野中が権力の階段を駆け上がったのは90年代だから、そういう点でリアルタイムの影響があるわけです。


でも、ある意味政界を”敗北”して引退した男が、ここまでいまだに注目を浴び、焦点となるのはそれだけですごいよなぁ。こういうポリティカル・モンスターはよかれあしかれ(個人的にはよかれ、だと思う)、今現在の混迷した政局からは出てきてない。

野中の、記者に対する脅し、すかしと反面の人情など、そこしれぬ凄みは魚住本よりむしろ

闇将軍 (講談社+α文庫)

闇将軍 (講談社+α文庫)

に詳しいです。