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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

呉智英うんちく。「ローマの休日」の別の意味。同種の例は「カサブランカ」でも

漫棚通信でちょっと話題になっていた。
http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2009/06/post-5ac3.html
http://sankei.jp.msn.com/culture/arts/090610/art0906100834003-n1.htm

・・・この名画は本当にローマにおける休日を描いたのだろうか。原題は確かに「Roman Holiday(ローマの休日)」だし、某国のアン王女のローマにおける一日の息抜きを描いてはいる。しかし、この名画の邦題は原題を直訳した一種の誤訳である。正しくは『はた迷惑な王女様』か『王族のスキャンダル』としなければならない。

 ちょっと大きい英和辞典でこの言葉を引けば分かるが、「Roman Holiday」は熟語である。ローマ帝国では、奴隷戦士をライオンと戦わせる見世物があり、ローマ人は休日に娯楽としてこれを観戦した。見ている方には娯楽でも奴隷戦士にとってはいい迷惑である。このことから、「ローマの休日」で他人の迷惑を楽しむ、あるいは、面白いスキャンダル、という意味になった。ここでは、王女様の楽しみがはた迷惑であり、王女様の恋がスキャンダルとして騒がれそうだ、ということだ。欧米の教養人ならすぐ分かるしゃれが日本人には分からない。

使いまわしという話でいえば、呉智英のコラムでこのネタが出てくるのは初出ではない。コメントランにもあるが

ですでに言及されている(だが呉氏の名誉のためにいえば、言い回しや構成は変えている、当たり前だが。そのまま自分の著書をそっくり引用して行数を稼ぐ佐高信流のアレではない)。

だが面白いので紹介しました。
私の知っている、こういう「あっちの人にはわかる寓意があるだろうけど、説明なしではわからない」ネタとして、鴨下信一氏の本で読んだ「カサブランカ」の話があります。
あの、心ならずもフランスの対独協力政権に協力している警察署長さんは、最後にミネラルウォーターのびんを投げ捨てるが、そのウォーターは水どころとしても知られる、対独協力政府の本拠地「ヴィシー」の水だそうだ。
つまり、署長はこれから、その対独協力姿勢を投げうち、レジスタンス側にたつ・・・ことを暗示しているんですって。

(ちょっとうろ覚えの記憶による。違ってたら失礼)


まあ、わかんなくても仕方ないやな。
日本漫画やアニメが海外に出るときだってそうであろうし、またそれをこういう形で専門書やウンチク・コラムで知るのも、それはそれであちらのファンの喜びであるのだろう。


余談 「ローマの休日」は、元ネタの先行映画があるのをご存じですか…「或る夜の出来事

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