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John 8:32 Then you will know the truth, and the truth will set you free."  複数ブログの過去記事を移管し、管理の委託を受けています/※場合により、語る対象の「ネタバレ」も在ります。ご了承ください 

麻生太郎を日本の総理大臣にしてはならない。これが事実なら。

今回、安倍晋三麻生太郎が官房・外務に揃い踏みとなった。たしか中国は「総理・外相・官房長は靖国参拝しないという密約がある」としていたが、この面子はその逆をいくからすごい(笑)。そういえば「今週の上村幸治」(byサンデー毎日)ですが、「純粋に外交問題と見た場合、小泉首相靖国参拝”せざるを得ない”」という変わった見方をしています。興味のある人は各自参照を。


で、麻生太郎は次期首相レースでもなかなか優位な場所につけた。
もし首相になったら毒舌・冷笑家で慣らし「MANGAファン」を公言する男が日本国の頂点に立つことになって(麻生太郎と漫画好きに関しては山ほどデータがあるので検索されよ)、なかなかに面白いのだが、残念ながら(べつに彼にとっては残念でもなんでもないだろうけど)私は現在では不支持である。
その理由は前に紹介した

野中広務 差別と権力

野中広務 差別と権力

である。
http://members.jcom.home.ne.jp/u333/ithink040724nonaka%20asou%20sabetu.htm
から孫引く。

 二〇〇三年九月二十一日、野中は最後の自民党総務会に臨んだ。議題は党三役人事の承認である。楕円形のテーブルに総裁の小泉や幹事長の山崎拓政調会長麻生太郎ら約三十人が座っていた。

 午前十一時からはじまった総務会は淡々と進み、執行部側から総裁選後の党人事に関する報告が行われた。十一時十五分、会長の掘内光雄が、

「人事権は総裁にありますが、異議はありますか?」

 と発言すると、出席者たちは、

「異議なし!」

 と応じた。堀内の目の前に座っていた野中が、

「総務会長!」

 と甲高い声を上げたのはそのときだった。

 立ち上がった野中は、

「総務会長、この発言は、私の最後の発言と肝に銘じて申し上げます」

 と断って、山崎拓の女性スキャンダルに触れた後で、政調会長の麻生のほうに顔を向けた。

総務大臣に予定されておる麻生政調会長。あなたは大勇会の会合で『野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ』とおっしゃった。そのことを、私は大勇会の三人のメンバーに確認しました。君のような人間がわが党の政策をやり、これから大臣ポストについていく。こんなことで人権啓発なんてできようはずがないんだ。私は絶対に許さん!」

 野中の激しい言葉に総務会の空気は凍りついた。麻生は何も答えず、顔を真っ赤にしてうつむいたままだった。

……(魚住昭野中広務 差別と権力』講談社 P351〜352)

同様の趣旨は、この本が出る前に「噂の真相」でも掲載されている。これもあの雑誌にしてはいい仕事だった。で、どういう団体かよく知らんが、こういう申し入れ書も出されている。回答の有無はしらん。

http://homepage3.nifty.com/zjr/topics8.htm
http://homepage3.nifty.com/zjr/topics8_1.htm

今のところ、事務所は同書での魚住昭氏の取材に「発言が誤解されて伝わった」としているが、何しろ諜報組織・野中機関の情報力はなかなかに信頼できる(笑)。あと、あの脇の甘い発言から類推しても大いにありえるだろう。


とりあえず、これを事実だと前提するなら、あとの資質も政策も国際情勢も論ずる必要はない。これだけで200%、いや300%「麻生太郎が総理にはなれない理由」を満たせる。


念のために申し上げると、私はまったく違う理由で「野中広務を日本の総理にはできない」と思っていたし、同氏の政治的敗北と失脚、「野中政治」の終焉を喜ぶものである。
また「解放運動」が抱える問題点についても、何度も別冊宝島の「同和利権の真相」シリーズを紹介、絶賛してきたし。寺薗敦史氏のブログを左のはてなアンテナにも登録している。
(これらについてはこのブログを検索してくれ。
例えば本格的に「差別と権力」の書評を書いたのはこれ
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20050515#p1  )


そういうブロガーが、こう言っている。つうことだ。



あと、マスコミなどがやるべきことは何か。
実に簡単で、これこそ就任記者会見で聞くべき話だったと思うんだが、外務省担当の記者はだれもこの本を読んでないのかな?(んな、バカな) オフィシャルな、注目を集める場であらためて否定する様子を伝えるだけでもいいんだよ。

その回答内容によっては当方も「事実関係は保留する」に改めてもいい。古館一朗古舘伊知郎田原総一朗筑紫哲也木村太郎、だれでもよし。聞くべし。将来的には、テレビカメラの前で野中広務と1対1で対決する必要も出てくるだろう。

【付記】その後ひとつ、新情報(の主張者)が出てきた。超重要なのでこちらのエントリもぜひ読んでほしい。
■”麻生太郎の部落差別”説に「そんな事実はない」とするジャーナリストも(先週の週刊朝日など)
http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080923#p3

もひとつ言うと、麻生太郎の発言はこの前日本の「一民族」云々を語ったのも、実に事実関係を抑えておらず脇が甘すぎる。創氏改名に関しても、いくつか基本的なキー・ワードを抑えていなかった。

逆にいうと、いくつかの部分を抑えて表現を改定していれば、「ケシカランけど隙がない!」と相手が歯噛みする、巧妙な発言になっていたのだ。呉智英氏は、一読一見するとどう考えてもまずいような話をよく書いているが、仔細に分析すると隙がないからこそ言論界で生き残っている(彼も「創氏改名」について、いくつかコラムを書いている。「危険な思想家」参照)それができないんだから、毒舌家としても現在二流。漫画ファンならそのつながりで呉智英の著作でも読んでみればいいのに。